トラウマ
「なぁダイヤモンド、リコは何で不機嫌なんだ?」
家を出て歩きながらダイヤモンドに質問する。
「たぶんサーヤに付きっきりで教えていたのが気に入らなかったんだと思います。リコ様はゲンマ様のことが大好きなのでサーヤに取られたくないのでしょう」
えーもっとサバサバしてるやつだと思ったのに意外とめんどくさいな。
「ダンジョンから出てきたらどこにでも好きなところ連れて行ってやるから機嫌直せよ」
そう言ってリコの頭を撫でる。
「ふぇろむいせき...」
「フェロム遺跡?あんな所に行きたいのか?何もないところだぞ」
フェロム遺跡はだいぶ昔に発見された遺跡で発見当初は経験値の高い魔物がいっぱいいたため冒険者達のボーナスステージとして有名だった。しかし有名になってたくさんの冒険者が来るため魔物がいなくなってしまった。今では一般向けの観光地みたいなものになっている。
「ふーんまぁいいや連れて行ってやるよ」
ちゃんと約束をするとリコの機嫌が少し直った気がした。
「フェロム遺跡...なるほど」
ダイヤモンドが何かぶつぶつ言っているがはっきりと聞こえないため聞こえていないふりをする。
「リコはダンジョンに入ったことあるのか?」
「ある」
「姉貴と入ったのか?」
「うん..おいてかれた」
「ん?おいてかれた?」
小さい時のトラウマが脳裏に浮かび上がる。
あれは12歳の誕生日を迎えた次の日、姉貴が誕生日プレゼントを用意したからと目隠しをされ、手を引かれて歩くこと1時間。さすがに不審に思った俺は姉貴に声をかけた。するともう目隠しをとっていいと言われた。目隠しをとると目の前にはシャイニングワイバーンの群れ。姉貴はプレゼントフォーユーと言い残し、ダッシュで帰って行った。
そこからは俺のことを獲物と判断したシャイニングワイバーンが次々と襲い掛かってくる地獄絵図。何とかすべてを倒し終えた俺はフラフラになりながらもダンジョンから脱出した。
「姉貴は自分の娘にも同じことやっていたのか..それでリコはどうやって帰ってきたんだ?」
「ふつーにぜんぶたおした」
「それは普通ではないけどな」
本来ダンジョンはパーティーで挑まないと中層でも死にかねない。それを1人で生還するということはそのダンジョンを圧倒するほどの力の持ち主ということだ。俺がダンジョンに置いて行かれたのは12歳の時。置いて行かれた場所にもよるけどその時のリコは12歳の俺と同等もしくはそれ以上に強いということになる。
サファイアがやられるのもわかる気がする。そしてもしかしたら俺より強い可能性も...そんなことを考えているとダイヤモンドが話しかけてくる。
「ゲンマ様、ダンジョンは地上層から入りますか?」
「んー時間もあるし慣れるために地上層からでいいと思うんだが。飛ばしていきたいか?」
「いえ、ゲンマ様の計画通りで大丈夫です」
「計画は特にないんだがとりあえず地上層の階層主で肩慣らししようかなと思って」
「そうですね。階層主なら上層の少し強い魔物と同じくらいの強さなので丁度いいかもしれませんね」
「じゃ地上層の魔物は階層主まで無視して進むことにしてレア素材の有無だけ確認だな」
「了解です」
「リコも珍しいものがあったら拾って収納魔法に入れといてくれ」
「わかった」
方針確認を終え、しばらくするとダンジョンの入り口についた。




