不審者?
食事を終え、リコの説得で疲れた俺は散歩するために外に出ていた。ついでに食事前に発見した魔方陣を起動させようと考えていたので安全のため町の外へと向かっていた。
「よし、ここまで来れば大丈夫だろう」
魔法陣の書かれた紙に魔力を流す。するとかなりの量の魔力を吸い取られたところで黒いローブを着た何者かが現れる。この簡易的な魔方陣の描き方からして実体のあるものを召還するなどは無理なのはわかっている。なのでこの黒ローブの何者かが俺に攻撃を仕掛けてくることはないので戦闘態勢から少し気を緩めた。すると次の瞬間、黒ローブが話し始めた。
「初めましてゲンマくん。私はザクト。今は正体を明かせないが名前だけ覚えておいてくれ。そのうち私自ら会いに行くだろうからな。さて、時間も限られているので本題に入るが私は君のパーティと戦いたい。戦いたい理由はただ力を試したいだけだ。しかし今の君のパーティでは物足りない。だから早くパーティ全員がSSランクになれるように育ててくれ。私からは以上だ。何か質問があればダンジョンの深層にある癒しの祭殿にメッセージを残してくれ。あそこのメッセージは私に届くようになっているからな。では失礼する」
黒ローブが話し終えるとすぐに魔法陣の描かれていた紙が発火し、紙が跡形もなく燃え尽きる。
「癒しの神殿...」
よりによって明日からダンジョンに潜ろうというこのタイミングで深層にある癒しの神殿が出てくるということは
「普段から監視されているな。しかもかなりの近距離で」
とりあえず用事は済んだので家に帰りながらいろいろ考えるが、力を試したいなんてやつ姉貴以外に思い浮かばないんだが...まさかな。
この件はダイヤモンドにも話して意見を聞くことにして、とりあえず保留にすることにした。
家に着くとリビングでみんながお茶を飲んでいた。ルビーだけ見当たらなかったのでダイヤモンドに聞くと今日から泊まることにしたので、いったん帰って服とかいろいろ持ってくるらしい。俺も明日の準備があるため部屋に戻った。
部屋で道具を整理しているとリコが入ってくるのが横目で見えたので目線は道具の方にこていしたまま俺はリコに話しかけた。
「どうした?もう寝るのか?」
「ねない...おふろ」
リコはそう言って、俺の手を引っ張り始めた。
「いや風呂ならサーヤたちと入れよ。俺は1人でゆっくり入りたいんだが」
めんどくさがっていることがリコに伝わるようにやんわり断るとリコは何かを考え始めた。そしてしばらく一人で悩んだ末にいきなり俺に拘束魔法を使ってきた。油断していた俺は簡単に動きを封じられる。
「おいリコ、なんだこれは?」
「いうこときかないから...」
リコはそれだけ話して、風呂のほうに向かった。当然、拘束魔法で捕らえられている俺はリコに引きずられ、脱衣所まで連れていかれた。
脱衣所について拘束魔法を解いてもらえると思いきやまさかのそのままリコが俺の服を脱がせようとしてくる。
「ちょっと待てリコ!服を脱がすのはやめてくれ」
「ふくぬがないとおふろはいれない」
「わかった自分で脱ぐから!だからとりあえずこの拘束を解いてくれ」
「にげない?」
「ここまでされたら逃げる気もなくすわ!ほら早くこれを解けよ」
リコは少し疑ってから拘束を解いた。ここで逃げるという行動をとるのは簡単だが逃げられなかったとき拘束されたまま風呂に入れられるリスクを考えると素直に従ったほうがいいと思い、服を脱いで風呂場に入った。
体を洗っているとリコが入ってきてそのまま湯船に飛び込んだ。
「あっリコ!お前体流してから入れよ。後から入る人もいるんだから」
俺が注意すると湯船からのっそり出てきて俺の前に座った。
「あらって」
今更遅いのだが...それにいくら恋愛対象外年齢だとしても女の子の体に直で触るのは抵抗があるため体は自分で洗うように言った。最初はめんどくさがっていたが髪を洗ってやるという条件で落ちついた。
お互い自分の体を洗い終えたので俺がリコの髪を洗う。シャンプーを取り、リコの髪を洗い始める。人の髪を洗うのは初めてなので力加減がよくわからないが鏡を見るとリコが気持ちよさそうな顔をしていたのでたぶんちょうどいいのだろう。泡を流し終えたのでリコを湯船に入れ、自分の髪を洗った。そして湯船につかる。
「ふぅ~やっぱ風呂は気持ちいいな。お前がいなきゃもっと広々使えるんだがな」
そう言いながらリコのほっぺを掴み、痛くない程度に軽く伸ばす。リコは特に反抗もせずなすがままである。
「あぁそうだサーヤとアリスの仕事が決まったからあとで褒めてやれよ。2人ともお前のこと大好きだから喜ぶぞ」
「んっわかった」
そこから2人とも何も話さずにお湯の心地よさを堪能して、十分に温まってから風呂を出た。
風呂を出るとリコは眠くなったのかふらふらと俺の部屋に向かっていった。俺はさっきの黒ローブの奴の話をダイヤモンドに話しておこうと思いリビングに向かった。
リビングではダイヤモンドと家から荷物を持ってきたルビーが話していた。
「ルビーもう戻ってきてたのか。早かったな」
「はい、荷物といっても最低限の物はここにあるので必要なものだけ持ってすぐに帰ってきました」
「あぁ前に荷物置いていったけどあれか?」
「はい、泊まることもあるのでいろいろ置かせてもらってます」
「まぁ収納量はまだまだ余裕があるから必要なものは全部置いといていいからな。それより2人に話しておかないといけないことがあるんだが今大丈夫か?」
「大丈夫ですよ」
「はい、今は特にやることないので大丈夫です」
2人とも大丈夫みたいなので俺も椅子に座ってさっきのことを話す。




