ダイヤモンドとお出掛け
9時50分、ダイヤモンドが支度を終えて、リビングにやってきた。
「ゲンマ様、準備ができました」
本を閉じ、ダイヤモンドの方を見ると普段よりさらに美しさが増していた。元から素材もいいがオシャレをするともはや女神レベルである。
なんとなく気恥ずかしいなって顔を背け胸の高まりが収まるのを待つ。やっと落ち着いたところでダイヤモンドが
「どうかなさいましたか?」
そう言って、顔を覗き込んでくる。意識してしまうと冷静にいられそうにないので
「リコが起きる前に出掛けよう」
そう言ってドアを開けた。
ドアを開けると冷たい風が吹きつける。晴れてはいるが風が強いため気温は低い。軽く身震いをすると後ろから手を握られた。
「寒いので手を繋いで行きましょう」
俺はいきなり手を握られたのでビクッとしたがダイヤモンドの手は温かく、繋いでいるだけでだいぶ寒さが和らぐ。しかもダイヤモンドがこんなに積極的に来るのは珍しかったので手を握ったままギルドへ向かった。
ギルドの前まで来て俺は握っていた手を離した。ダイヤモンドは少しガッカリしていたけどこれは仕方ない。なぜならこの姿をユリさんにみられたらしばらくネタにされてイジられるだろう。それはできれば回避したい。
ギルドに入り、受付に行くとユリさんは休憩しているらしく別の人が対応してくれた。ダイヤモンドが申請書を提出すると別の部屋に案内された。俺もついて行こうとしたがダイヤモンドが1人でも大丈夫と言ったのでクエスト掲示板を見に行くことにする。
何かいいクエストがないかぼぉーと眺めていると後ろから肩を叩かれた。
「あれ〜誰かと思えばギルドの前までイチャコラしていた冒険者のゲンマさんじゃないですか!ここはデートスポットじゃありませんよ?」
ユリさんがニヤニヤしながら話しかけてきた。完全にいじる気満々である。よりによって1番みられたくない人に発見されていた。
「おはようございますユリさん。今日はランク昇格申請に来たんですよ」
俺は話をすり替えようと試みた。ギルド職員ならランク昇格がなによりも大切なことなのでこの情報を流すことでイジられるのを回避しようとした。
「へーよかったわね!で!!!ダイヤモンドさんと付き合うことにしたの?」
ぜんぜん話がすり替えられなかった。むしろランク昇格に対する熱意が感じられない。仮にもギルド職員なら人の色恋沙汰よりランク昇格について聞けよ!と思ったがまぁユリさんなので何を言っても無駄だろう。
「特に何もないですよ。今日は寒かったので手を繋いで寒さを軽減していただけです」
「...な〜んだつまんないの。あんたもう早く誰か選びなさいよ!また新しい女の子パーティに入れてたし.
..まさかハーレムでも作る気なの??」
「たまたま能力を持ってるのが女の子だったってだけですよ。それにサファイアもいますしハーレムなんてありえませんから」
そう言うとユリさんも引き時だと思ったのかはぁつまんないと言って仕事に戻っていった。あまりイジられずに済んでホッとしていると申請を終えたダイヤモンドが帰ってきた。
「お待たせしましたら。試験は予定通り明日で大丈夫だそうです」
「そうか、なら今日はもうギルドに用もないし買い物に向かうか」
俺たちはギルドを出て隣町へ買い物をしに向かった。
隣町に着くと俺たちはまず日用品を揃えるために雑貨屋に入った。日用品の消耗具合はダイヤモンドが把握しているため全て任して荷物だけ持っていた。ダイヤモンドは慣れた手つきで必要なものを買い足していった。
日用品を書い終えると次は服屋に向かった。最近は以前よりクエストに行く回数が増えたため戦闘服の買い足しはすぐにするので間に合っているのだが、その分普段着があまりなかった。ダイヤモンドも久しぶりに普段着を買うためいろいろ試着していた。俺はすぐに服を選び購入した。ダイヤモンドの方を見るとまだまだ時間が掛かりそうなので店内をぶらつくことにした。
ちょうどアクセサリーのコーナーに差し掛かったところで女の店員さんが話しかけてきた。
「お客さんはあのめちゃくちゃ美人のお姉さんの連れですか?」
「あぁそうだが、何か用か?」
「連れの方にプレゼントとか考えていませんか?喜ばれると思いますよ」
ふむ..プレゼントか。まぁ普段からお世話になっているしそのお礼として買うのも悪くないな。しかし...
「俺には女物のアクセサリーを選ぶセンスが全くないのだが...」
「大丈夫です!!私がいくつか候補を挙げるのでその中から1番似合いそうだと思ったものを選べば失敗はしません!」
なんかすごい自信がありそうだったので任せてみることにした。
「じゃあお願いするよ」
「はい!任されました。えーとまず予算はどのくらいですか?それによって物も変わってくるんですが」
「特に限度はないかな。値段とか関係なく彼女に似合いそうなものがいいかな」
「わぉ!太っ腹ですね。じゃあこっちも全力で選んできますね」
そう言って店員さんは真剣な顔でアクセサリーを選び俺の前に3つ持ってきた。
「この3つはどうでしょう?」
さすが全力で選ぶと言うだけあって3つともダイヤモンドに似合いそうなアクセサリーだった。
「んーどれもいいけど...この透き通った丸い形の宝石がいいな。見た瞬間引き込まれるほど美しかった」
この宝石ならダイヤモンドの美しさをさらに引き立ててくれるだろう。
「お客さん...お目が高いですね。これ千年竜の額に埋め込まれている宝石ですよ。あっでも値段がかなりすごいですけど大丈夫ですか?」
「まぁ金はだいぶ貯めてるから多分大丈夫だ。それを貰う」
「そうですか、ありがとうございます。ではプレゼント用のラッピングをしますので少々お待ちください」
店員にラッピングをしてもらい会計を済ませ、しばらく話し込んでいるとダイヤモンドが服の購入を済ませ戻ってきた。適当なところで店員との話を切り、ダイヤモンドと店を出る。
「何を話していたんですか?」
「ん?ダイヤモンドが美人だって話」
プレゼントは帰りにサプライズで渡そうと思っていたのでプレゼントのことを隠すために購入後に話していた内容を教えた。
するとダイヤモンドは少し赤くなり、
「そうですか..ありがとうございます」
と言って顔を逸らした。俺も言ってから少し恥ずかしくなる。しばらく沈黙が続き何か話さなければと考えていると俺の腹が鳴った。
ぐぅ〜〜〜
その音を聞いてダイヤモンドも気が紛れたらしく
「昼食にしましょうか」
と言って店を探し始めた。近くにレストランがあったのでそこに入って食事をとることにした。




