勇者、戦線離脱!?
ダイヤモンドが洗濯で部屋を出て行った後、俺は棚から1冊本を取り、ベッドに腰掛けて読書をしていた。
しばらく読んでいると外が騒がしいことに気づいた。
何かあったのかと思い、窓を開け様子を見る。すると掲示板の前に人だかりができていた。かなりざわついている。なんかあったのかと思い周りを見渡すと1人の青年と目が合った。
「あっゲンマさんおはようございます」
青年は目が合うとすぐに駆け寄ってきて、挨拶をした。
「あぁおはよう、サファイア」
彼の名はサファイア。ダイヤモンドの部下である。こいつはダイヤモンドには様付けなのにその上司に対してはさん付けで呼ぶ面白い奴だ。
まぁ俺が許しているってのもあるがな。
最初の頃こそダイヤモンドも 注意していたが俺が
「男同士だし年も近いから、親近感のあるさん付けでいい」
と言ったところ、納得してくれたようだ。
「なぁサファイア、何かあったのか?」
「えっ?ゲンマさん身内のことなのに知らないんですか?」
身内のこと?なんか嫌なイメージが脳内に駆け巡る。
が覚悟を決め何があったか聞いた。
「いや知らんな、何があった?」
「姉御が勇者様をぶん殴ってケガさせたらしいですよ。全治3ヶ月だそうです。ちなみに姉御は指名手配中です」※この箇所以外にも所々怪しい日本語があるため、お時間がある際に見直してみてください
姉御も通常運転ですねと笑いながら付け足していた。
一方で俺は頭を抱えていた。指名手配中に娘連れて逃げ回るわけにもいかず俺に預けてきたということか。もう勘弁してくれよ。
サファイアは気楽そうに笑っていたのでいじめることにした。
「なぁサファイア?」
「なんですか?」
「勇者のランク知っているか?」
「なんですかいきなり、ダイヤモンド様と一緒でSSランクですよね?」
「あぁその通りだ。それでいつも勇者はSSランク任務をこなしている。SSランク任務は適正パーティが少ないから常に人手不足となっている。」
「ここで勇者が抜けたことによりSSランク任務をこなすパーティが1つ減った。するとどうなると思う?」
「いやーわからないですね。どうなるんですか?」
「残りのSSランクパーティにランダムに割り振られる。しかし今回の人手不足は俺の姉貴が原因だ。そして俺たちのパーティランクはSSランク。これが何を意味するかここまで言えばわかるよな?」
ここでサファイアも気づいたのかだんだん顔があおざめていく。この顔が見たかった。満足満足。俺がニヤニヤしているとサファイアは恐る恐る質問してきた。
「あのーゲンマさん?ちなみにクエストの受付はもう済みました?」
「いや午後にでもギルドに行って面白そうな依頼がないか確認するつもりだ」
そう答えるとサファイアは、ホッとした表情になり、一呼吸置いてから俺に詰め寄ってきた。
「今回自分は留守番してます!!」
そう宣言してきた。サファイアはAランクである。Sランクのやつらと比べても劣らないほどの戦闘力を持っている。しかしやはりSSランク任務となると適正ランクでないので逃げ回るだけで精一杯だ。
下手すると死ぬ。これまでも何度か死にかけている。まぁ俺とダイヤモンドが死なないように面倒見てるから死ぬことはないがな。ただ怪我くらいなら俺らは見向きもしない。だからこそサファイアは自力でなんとかするしかない。そんな無理をここんとこ3回くらいさせている。結果SSランク任務を全力で回避する動きをするようになった。
まぁダイヤモンドに命令させればついてくるけどな。
だが今回はこれを見越して話を振ってきた。
「サファイアは留守番がいいか。なら1つ任務をやってもらう」
「えっSSランク任務は無理ですよ?」
「安心しろただの子守だから」
そう言い俺はこれまでの経緯を説明し始めた。