フラーレンは...
次の日ゲンマは珍しく早起きした。体を起こすと自分が端に寄っていることに気付いた。不思議に思いリコの方を見ると下着姿のフラーレンがリコを抱きしめて寝ていた。リコの裸を見ても何とも思わないが流石にフラーレンくらい歳が近くスタイルもいいと刺激が強くてつい顔をそらしてしまう。なので2人にしっかり布団をかぶせて部屋を出た。
久しぶりに朝シャワーでも浴びようかと脱衣所へ向かうとダイヤモンドが洗濯物を持って出てきた。
「おはようございます、ゲンマ様」
「おはよう、いつも早いな!」
「昔からの習慣ですので..勝手に眼が覚めるんです」
「それは羨ましいな。もう風呂場は使っていいのか?」
「はい、大丈夫です。タオルがないと思うのですぐに持ってきますね」
ダイヤモンドがタオルを取りに行っている間に俺はシャワーを浴び始めた。
シャワーを浴びながら姉貴のことを考える。今どこで何をしているのか...あの規格外の姉貴の行動は長年一緒にいた俺でも読めない。ただ一つ確かなことは
「近いうちに姉貴が訪ねてくるかもなぁ...はぁ..」
ため息をついているとダイヤモンドがタオルを持ってきてくれた。
「ゲンマ様タオルは棚の上に置いておきますね」
「あぁありがとう」
ダイヤモンドが出て行ったことを確認してシャワーを止め風呂場を出た。外出用の服に着替えリビングに向かった。
リビングではダイヤモンドいて、コーヒーを飲んでいた。
「ゲンマ様の飲みますか?」
「じゃもらおうかな」
ダイヤモンドはキッチンにコーヒーを淹れに行った。
ちょうど入れ違いでリコが起きてきた。目をこすりすごい眠そうだ。
「珍しいなお前が早起きなんて」
リコは午後にならないと自分で起きないので珍しいと思い声をかけた。
「...ねぐるしかった...あいつじゃま」
そう言って窓際の日が当たる場所でスヤスヤ寝始めた。フラーレンはあいつ扱いか、まぁしょーがないな。起こしても相手にするのが面倒くさいのでそのまま放置することにした。
しばらくしてダイヤモンドがコーヒーとパンを持ってきた。時間かかってるなぁと思ったら食事も用意してくれたらしい。やっぱり気がきくと感心しているとダイヤモンドはリコに気付いたみたいで、
「リコ様の分も必要ですか?」
「いや、寝てるし別にいいだろ」
そう言って2人で食事を始めた。食事をしながら今日、申請書を出した後に何をするか考える。
「なぁダイヤモンド、今日申請書を出した後何か用事あるか?」
「いえ、特にありませんが」
「そうか、じゃ買い物付き合ってくれない?」
「装備の買い足しですか?」
「いやふつうに私物買いに行くだけだ。面倒くさかったら断ってもいいぞ」
「是非ご一緒させてください!!」
「おぉう...」
ダイヤモンドが食い気味に言ってきたので少し驚いたがとりあえずこれで今日の予定が決まった。リコは...悪いがフラーレンに任せよう。
食事を終えてダイヤモンドに10時頃出ることを伝え、フラーレンの元へ向かった。
自分の部屋だが出て行く前のフラーレンの姿を考えるとそのまま入るのは気が引けたのでノックをした。
コンコン!
「フラーレン?まだいるか?」
「あっゲンマさん!まだいるっすよー」
「入ってもいいか?」
「いいっすよー」
許可が得られたのでドアを開けると下着姿で仁王立ちしているフラーレンがいた。俺はとっさの判断で部屋を出てドアを閉めた。
「全然入ってよくないじゃんか!何で下着姿で仁王立ちしてんだよ!!」
「別に見られたら恥ずかしい体はしてないっす!まぁ胸はダイヤモンドさんに比べたら小さいっすけどね」
「いやそういう問題じゃないから!少しは恥じらいを持てよ!女の子として!」
「大事なところは隠れてるんで大丈夫っす!」
「歳の近い女の子の下着なんて見たら俺が大丈夫じゃねぇんだよ!」
「それくらいで興奮しないでくださいよ!あっもしかしてゲンマさん童貞っすか?」
「...そうだけど悪いか?てかその言い方だとお前は経験ありみたいだな」
「何言ってんすか未経験っすよ!にしてもパーティにあんな美人さん2人もいてしかも片方とは一緒に住んでいるのに手を出してないとかゲンマさんかなりヘタレっすね」
「...もういいよヘタレで。とにかく服きてくれよ」
「じゃこのパーカー借りるっすね」
そう言って部屋にある俺のパーカーを羽織って部屋から出てきた。しかしそのパーカーは男物でぶかぶかのためさらに危ない格好になっていたのですぐ自分の部屋に行って着替えるように言ったら素直に従ってくれたのでなんとかことなきを得た。
着替え終わったフラーレンに今日一日リコの面倒を見てくれと頼むと二つ返事で了承してくれた。
10時までやることもないので部屋から本を取り出し、リビングで読むことにした。