リコはどこ行った
ダイヤモンドたちギルドへ帰ってくると先にクエストを終了させたゲンマたちが奥の席で話し込んでいた。ルビーとサファイアに先に先に向かうように言って自分は受付にクエストの完了報告に行った。
「お疲れ様です。クエスト完了しました」
受付に報告するとユリさんが出てきた。
「お疲れ様です。すいませんねいきなり2つも頼んじゃって」
ユリさんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「いえどちらもそんなに難しいクエストではないですし、ルビーとサファイアにとってもいい訓練になったのでむしろ感謝しています」
「そう言っていただけると助かります」
「それと1つ報告することがありまして。まだ確定ではないのですがサファイアのSランク昇格を考えているのですが大丈夫そうですか?」
「はい、こなしているクエストからして問題ないですよ。むしろ彼の実力からするとなんでAランクなのか不思議なくらいなので」
「そうですか、ならゲンマ様の許可が出たら申請に来ます」
「お待ちしております。クエスト完了を確認しました。お疲れ様でした」
ユリさんは会話をしながらもしっかり仕事を進めていた。そして報告も終わったのでみんなのいる先に向かった。
「おう、ダイヤモンドもお疲れ!」
そう言いながらゲンマは飲み物を渡した。
「今回は私は何もしていませんけどね」
「あぁそれは聞いたよ。いい判断だったと思うぞ。しかし何もしなかったというのは言い過ぎだな。ダイヤモンドがいるから2人は安心して実力を発揮できたんだからな。いつもありがとうな」
ダイヤモンドの礼を言ったタイミングで料理が運ばれてきた。みんなで食事を始めようとした時ルビーが
「あれ?リコちゃんはトイレですか?」
「えっ?」
俺はてっきりルビーについて行ってると思ったから気にしていなかったがこの様子だと違うみたいだ。
「ダイヤモンド、リコはそっちのクエストについて行ってないのか?」
「はい、私たちは3人でした」
「フラーレンはリコをどっかでみたか?」
「見てないっすね」
「じゃ家に置いてきたのか?ちょっと見てくるからみんな食べててくれ」
そう言ってゲンマは家へ向かった。
家に着きリコを探していると寝室で朝渡したパンを後一口のところまで食べて力尽きたようでパンを手にしたまま寝てた。
「おいリコ、みんなギルドで飯食ってるけど行くか?」
小さい声でリコに話しかけると
「...いく」
すごい眠そうに目をこすりながら返事が返ってきた。
「よしじゃついてこい」
そう言って部屋を出ようとすると服を思いっきり引っ張られた。
「...ゲンマ...おんぶ」
「...あぁもうわかったよ!だがまずそのヨダレを拭け!」
「..わかった」
リコはそう言って俺の布団でヨダレを拭いた。
今日は来客用の布団で寝ることにしよう。時間もないのでリコをおんぶしてギルドに向かった。
ギルドに着くとルビーがリコを引き取ってくれたので俺は食事を始めた。みんな一通り食べ終わってだいぶ満腹になっているみたいで食べているのは俺とリコだけだった。それなりに腹が膨れ、一休みしながらダイヤモンドに布団の洗濯を頼んでおいた。明日の朝に洗ってくれるらしいので来客用の布団は今日の夜だけの我慢だ。リコが寝ている時にヨダレたらさなければこんなことにはならないんだけどな...
「なぁリコ、お前なんで寝ている時ヨダレたらすの?口が緩いのか?」
「ゆめみるの...ごはんの...」
リコは食事のペースを落とすことなく答えた。こいつこれだけ食ってさらに夢にも食事が出てくるのか...気が狂いそうな生活してるな。そんな風に思ったがリコにはそれが幸せなのだろう。起きている時より寝ている時の表情が柔らかいのはそういうことなのだろう。
そんなことを考えている間にもリコは追加で頼んだ食事もきれいに完食していた。
食事も終わり、ダイヤモンド達と今日のクエストの情報共有も済んだので今日は解散することにした。
「みんな今日はお疲れ様。明日は休みにするから各自休んでくれ。明後日は11時にギルド集合な」
さりげなく集合時間を遅らせ、みんなに明後日の予定を伝えると後ろから誰かに叩かれた。
「あんた何どさくさに紛れて集合時間を遅らせてんのよ。今日無理言って2つやってもらったから明日は休みで問題ないけど集合遅くしようとした罰として明後日の集合は9時にしなさい。わかった?」
ユリさんはそういう時はしっかり話を聞いてるんだよなぁ...。しょーがないので頷くとユリさんは満足して受付に帰っていった。
「あー..というわけで明後日は9時集合で...お願いします」
俺がユリさんに逆らえない姿を見てみんなクスクスと笑いながら了承してくれた。
夜も更けてきたの今日はこれで解散することにした。