Sランククエストをやることになったダイヤモンド達の方は....
フラーレンがヒドラを倒したまさにその時、ダイヤモンド達がSランククエストの任務地に到着した。
「はぁー久しぶりにAランククエストに行けると思って早起きしたのに...」
サファイアはゲンマがいないのをいいことに任務地までずっと文句を言っていた。最初はルビーも相手をしていたが途中から相手をしていられなくなって完全に無視を貫いていた。
「サファイアそろそろ着きますよ。集中して!」
ダイヤモンドに注意されてサファイアはいやいやながら戦闘準備に入った。Sランククエストはベビードラゴンの討伐だった。ベビードラゴンは普通のドラゴンより小さく攻撃は弱いがその分動きが速い。今回はゲンマがいないのでイレギュラーが起きると撤退もあり得る。ダイヤモンドだけではどっちかをかばうのが精いっぱいだからだ。なのでダイヤモンドはいつもより慎重になっていた。
「今回は私とサファイアが前衛でルビーが後衛です。ルビーは自分の判断で私たちのサポートをお願いします。もし討伐が厳しそうであればすぐに撤退しますので2人とも無理はしないように」
「「はい」」
ダイヤモンドの指示を受けた2人の顔には油断など1ミリも見られなかった。その顔を見て2人の成長を感じ、ダイヤモンドは少し安心した。
「ではいきましょう。私が先制攻撃を仕掛けるので2人は少し遅れて入ってきてください」
そう言い残してダイヤモンドは先制攻撃を始めた。
戦闘に入るとダイヤモンドはいつも通り一番危険の伴う相手の標的になる役割を請け負った。そもそもダイヤモンドはSSSランクなのでこの程度の相手には遅れは取らないがこれはルビーとサファイアの訓練みたいなものだ。だからダイヤモンドの攻撃でベビードラゴンに致命傷を与えるわけにはいかない。なので手加減して戦っていると戦闘準備を終えたサファイアが参戦してきた。
サファイアはここ最近前衛をやっていただけあって動きに無駄がない。これなら大丈夫だと思っているとベビードラゴンがブレスを使おうとしている。
「ルビー!!」
「はい大丈夫です」
ルビーにブレスから防御するように指示を入れたがルビーはすでに詠唱を終えて準備が整っていた。こちらも後衛の役割を完璧にこなせている。これなら2人だけでも討伐ができるだろうと確信し、予定を変更した。
「サファイア!ルビー!今回はSランク任務なので2人きりで討伐してもらいます。私はあのブレスが終わり次第離脱するのでくれぐれも油断しないように」
「えぇーダイヤモンド様それはきついですよ!」
「きつくてもやってください。これはあなた達のためのクエストなんですよ」
ダイヤモンドサファイアに厳しく言う。するとサファイアは何か言いたげな目をしながらも
「...わかりましたよ。でも危なかったら助けてくださいね」
「えぇそれはもちろん。でも今のあなたの動きなら間違いなく倒せますよサファイア」
「まぁダイヤモンド様が言うならやれるだけやってみますよ...」
ダイヤモンドが励ますとサファイアは少しやる気を出してベビードラゴンに向かっていった。
そしてしばらくサファイアがベビードラゴンと戦い、たまにブレスを吐くタイミングでルビーが魔法でサポートと息の合ったコンビネーションで攻撃を重ねていると相手も弱ってきたのか隙ができ始める。その隙を狙いすましたかのようにサファイアが剣で切りつける。それを繰り返してるうちにやがてベビードラゴンは抵抗をやめ、動かなくなった。それを見てサファイアは後ろに下がる。そしてサファイアが後ろに下がったタイミングでルビーが魔法で攻撃した。
「炎の聖霊よ、わが魔力を糧としあらゆるものを燃やし尽くす炎を授けたまえ。フレイムストリーム」
ルビーが放った魔法によってベビードラゴンは炎に包まれそして肉体がすべて焼き尽くされた。戦闘が終わり2人はハイタッチをする。
「「お疲れー」」
そしてサファイアが座り込んで空を見上げる。
「あぁやっと1人で前線できた...」
そんなことをつぶやくとダイヤモンドが来て
「2人ともお疲れ様です。サファイアはしっかり前衛をこなせていましたし、ルビーの後衛からの補助も完璧でした。サファイアはそろそろランクアップの申請を出してもいいかもしれませんね」
ランクアップの申請には自分よりランクの上の人にギルドへのランクアップ申請書を書いてもらう必要があるのでこのダイヤモンドの発言は実質ランクアップの確約みたいなものだ。
「えぇー!!いいんですか?」
「はい、そもそもSランククエストの前衛を1人でこなすのにAランクではおかしいですしね。ゲンマ様の許可を得たら私の名前で申請書を書きましょう」
「いやったーーーーー!!!」
サファイアはとても喜んでいた。ルビーがSランクになってからサファイアは自分がこのパーティ内で自分だけAランクだと焦りもあったのかもしれない。
「サファイアよかったね」
「ルビー..ありがとうやっと追いついたよ!」
「ランクはね?実力はまだまだ私のほうが上ですよ!」
「すぐ追い越してみせるよ」
2人とも自信とやる気をつけたようなのでダイヤモンドは一安心だった。
そして休憩をはさんでから3人はギルドへと帰ることにした。