歓迎会だー!
「それでは新しいメンバーが増えたこととドラゴンゾンビ討伐成功にかんぱーい!」
今回の歓迎会ではフラーレンが俺以外のやつに慣れるようにという狙いもある。その狙いは始まってすぐ達成された。
「へーダイヤモンドさんは近距離戦闘が得意なんすか意外ですね。賢い人の立ち回りをしていたので遠距離からの魔法攻撃とかの方が得意かと思ってました」
「魔法も使えないことはないですがやはり近距離戦闘が1番とかですね。基本的にどの距離でも攻撃はできるのでクエストによって使い分けています」
「いやー私は基本後衛で戦闘補助しかできないので羨ましいっす。ルビーさんは遠距離戦闘が得意そうですよね」
「はい、私は基本的には後衛戦闘が得意ですね。中距離までなら魔法も使えますし。でも今は近距離戦闘をゲンマ様に鍛えてもらってます」
「確かにソロの時は近距離戦闘がほとんどなんで鍛えといて損はないっすね。私の能力だと少し厳しいかもしれませんが慣れてきたら少し鍛えて貰うっす。サファイアさんの戦闘スタイルはどんな感じなんすか?」
「あぁ自分はまだランクも低いので基本的にゲンマさんの指示に従ってその都度適切な戦闘配置されてますね。最近は近距離と中距離をローテしてます」
「へー前衛特化なんすね。私とは正反対って感じっすね。いやー皆さんバランス良くて羨ましいっす」
フラーレンが周りのレベルの高さに自信を無くしかけていたのでフォローを入れる。
「ダイヤモンドは別だがルビーとサファイアは俺が鍛えた結果、前衛と後衛をこなせるようになったからな。フラーレンも努力次第でそれなりに前衛ができるようになると思うぞ?」
「マジっすか?なら頑張るっす!皆さんの戦闘を後ろから見て参考にさせてもらうっす」
前向きで素直ないい子だ。これならしばらく面倒を見れば軽く前衛はこなせるようになりそうだ。そしたらダンジョンに潜るのもありだな。そんなことを考えている間に机の上が空き皿のみになっていた。
「みんなもう満腹か?注文の必要がもうないなら会計してくるが...」
リコと目が合った。何かを訴えている目だ。
「なんだリコ、まだ足りないのか?お前1番食ってただろ。まぁいいや、何がいいんだ?」
「もうおなかいっぱい」
何を訴えてたんだよ。満腹なら会計させろよ。そう思いながら会計に向かおうとすると服を引っ張られた。
「デザート...たべたい」
満腹って言ってたじゃん。だから会計しようと思ったのに...
「他にデザート食いたいやついるか?」
一応聞いてみると満腹だったはずのパーティメンバーの俺とサファイアを除く全員が手を挙げた。全員女性だった。するとサファイアがすかさず俺の方にやってきて小さい声で
「ゲンマさん、これが女性特有の[甘いものは別腹]ってやつですかね?」
とニヤつきながら言ってきた。俺はそれを受け流してデザートを4つ注文した。
女性陣がデザートを食べ終え、俺が会計をすませると今日は解散する流れになった。
ルビーとサファイアに明日、ギルドに10時集合と伝え俺たち4人は家に向かった。
家に着いてまずフラーレンに貸す部屋へ向かった。
「この部屋は好きに使っていいから。隣の部屋はダイヤモンドだからわからないことあったら聞いてくれ」
「ありがとうっす。こんな立派な部屋で寝れるなんて最高っすね」
フラーレンは喜びながらベッドに飛び込んでいった。
「風呂沸いたら呼びにくるからそれまで休んでいてくれ」
「了解っす!」
フラーレンが返事をしたのを確認してドアを閉めた。そして自分の部屋に向かった。
部屋に着くとリコがベッドで大の字になって寝ていたので中に入らず方向転換をしてダイヤモンドの部屋に向かった。
コンコン!
「はい」
「俺だ!明日の打ち合わせにきた」
ドアが開いてダイヤモンドが出てくる。部屋着に着替えているため少しドキッとするが顔には出さず話を始める。
「明日なんだがフラーレンの実力を確認したいからとりあえずAランク任務を受けようと思う。時間が余ったらSランク任務も行こうと思うがそれでいいか?」
「はい、大丈夫です。フラーレンかなり貴重なスキルを持っているのでしっかり育てたいということですね?」
「あぁ、バフ、デバフはとても貴重だからな。すでにAランクということもあって俺たちのパーティにはぴったりだったしな」
「そうですね。魔法の底上げもできるのでクエストの幅が広がりますし」
「そうだな。全員Sランクになったら1度ダンジョンに行こうと思ってる」
「ダンジョンですか。久しぶりですね...」
ダイヤモンドと2人だけの時はたまにダンジョンに潜っていた。ダンジョン攻略はギルドからの報酬は出ない。ただ得られる経験値が外とは比べものにならほどいい。だから修行の場として使われることが多い。しかし今はルビー、サファイア共に生活するためにお金が必要なためダンジョンに入らずクエストを受けている。
「まぁダンジョンのことは今は気にしなくていい。とりあえず明日のことだけ話しにきただけだからな。じゃ俺は風呂入ってくるわ」
俺はダイヤモンドの部屋から風呂場に向かった。今日は変な汗いっぱいかいたから風呂が気持ちいいだろう。
体を流し湯船に浸かる。お湯の温度もちょうどよく最高の気持ち良さだった。しばらく使っていると脱衣所に誰か入ってきた。またリコが入ってきたのかと思って声をかける。
「おい、リコ今日は1人で入れ。俺は1人で入りたい」
「へぇーゲンマさんリコちゃんといつも風呂入ってるんすね。意外っす」
リコじゃなかった。フラーレンだった。
「なんだフラーレンか。悪いな先入っちゃって」
「いえいえ私は最後でいいっすよ。色々借りている身なので。あっお礼に背中でも流しますか?」
「...遠慮しとく」
魅力的な提案だったが断った。するとフラーレンはそうっすかといい脱衣所から出て行った。
風呂から上がりフラーレンに風呂が空いたことを伝えに部屋に向かう。
コンコン!
「フラーレン、風呂空いたぞー?」
「私は最後でいいのでダイヤモンドさんに先に入ってもらってください」
やっぱり少し遠慮してるのかと思ったが初日だし仕方ないと思い、部屋に戻った。
部屋に戻って本棚から1冊魔法に関する本を取り出す。目次を見てバフについて書いてあるページを開く。仲間になったフラーレンの能力について理解するためだ。しかし基本的なことしか書いていないためあまり参考にならなかった。
そして少し眠くなってきたのでリコを少し移動させ、ベッドで横になった。久々に魔法を全力で使い、疲れていたのか俺はすぐ眠りにつくのだった。