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自分たちの国に帰ります

いろいろ買っているうちに夜になったので昼食を食べた店に行くと少し大きめのリュックを背負ったフラーレンがすでに店の前で待機していた。


「すまん遅くなった」


「いえ、私も今来たとこなんで」


「そうか、それにしても荷物そんな少なくていいのか?」


「大丈夫っすよ、必要になったらその都度買うので本当に必要なものだけ持ってきたっす」


まぁ本人がそう言うなら別にいいか。俺たちも時間がそんなにあるわけではない。ギルドの受付は21時で閉まってしまうのだ。リコが転移魔法を使えるて本当に助かった。そんなわけでリコに転移魔法の準備をしてもらう。


「これからリコが転移魔法使うからもう少しこっち寄ってきて」


こんな感じでフラーレンに近くに来るように指示すると


「ええっ!?走るんじゃないんすか?てかゲンマさんじゃなくてこの子が転移魔法とか何かの冗談っすよね...」


フラーレンはリコが転移魔法を使えることに対して半信半疑の状態だった。そもそもこの年で魔法が使えるやつなどほかに見たことがないのだろう。俺も姉貴以外は見たことない。なのに一番難易度の高い転移魔法を使うというのだから疑うのも無理はない。


「あー信じられないのも無理はないが実際に体験するのが一番だと思うぞ」


リコの準備もできたようなので転移魔法を発動してもらう。行きと同じように大きな魔力を感じる。フラーレンはリコのほうをじっと見ていた。そして発光とともに俺たちは転移魔法によって帰国した。


転移魔法で着いた場所はギルドの前だった。時間が時間なので周りには人がいなかった。しかしなんか女性陣から目をそらされている気がする。不思議に思いサファイアのほうを見るとなぜかズボンを穿いていない。瞬間的に自分の下半身にふと寒さを感じる。そして下を見るとやはり俺もズボンを穿いていない。この状況はさすがにまずいので隠すものを探しているとフラーレンが自分のバッグを漁って長めのタオルを二枚貸してくれた。俺とサファイアはありがたくそれを借り、腰に巻く。そして何でこんなことになったのか原因を考えているとリコが服の袖を引っ張った。


「なんかてんいするものがおおくてズボンなくなった..」


つまりフラーレンが増えてさらに荷物まで転移させることになったため魔力調整が難しくなり男性陣のズボンだけ転移に失敗したらしい。なんでよりによってズボンなんだかわからなかったがとりあえずクエストの達成報告はダイヤモンドとルビーがやってくれるということだったので俺はサファイアとリコを連れ自宅に戻った。


幸いなことに自宅に帰るまで人とすれ違わなかったため、変質者として通報されることはなかったがかなりの精神攻撃になった。家に着き俺のズボンをサファイアに貸し、2人ともズボンを着用したのちにさっきの状況を振り返り、リコに注意した。


「リコ、転移魔法を使う際難しかったら俺に一言声をかけてくれ」


「なんで?」


「今回は俺らだったからよかったがこれが女性陣だったら大変だ。お前もルビーが悲しむ顔は見たくないだろ?」


「...わかった」


しぶしぶながら了承してくれた。最近ルビーと仲良くなっていたので引き合いに出せばうまくいくと思ったがここまで上手くいくなら今後も活用していこう。


「それにしてもダイヤモンド達遅いなぁ。俺たちもギルドに行ってみるか」


リコとサファイアを連れ、俺たちはギルドに向かった。

ギルドに着くとダイヤモンドがユリさんと話しながら書類を書いていた。俺たちが来たことに気づいたルビーが状況を説明してくれた。


「実はギルド同士の連携不足でクエストの詳細が間違って伝わってたみたいです。それでダイヤモンド様が討伐した時の詳細情報をまとめて向こうのギルドに虚偽の報告でないことを証明するみたいです」


ルビーの話から推測するに隣国のギルドは強いドラゴンの討伐依頼を出した。しかしうちのギルドが達成したクエストはドラゴンゾンビの討伐であった。

俺たちのパーティですらリコがいなかったら撤退しなければならなかった。これが他のパーティなら撤退できずに全滅する可能性もあった。それを注意するとともに依頼の達成報酬をドラゴンゾンビ討伐分請求する為の書類作りをダイヤモンドが任されたということらしい。


「書類はダイヤモンドが書くのが1番正確だからな。俺なんかが書いたら怪しさが増すだけだ」


そんな冗談をルビーに言うと笑いながら


「確かにそうですね」


と言ってきた。そこは否定しろよ!まぁ可愛いから許す。

そんなやりとりをしていると書類を書き終わったのかダイヤモンドとユリさんがやってきた。


「ゲンマさん、今回はギルド側の不手際で迷惑かけてすいませんでした」


ユリさんが珍しく真面目に謝罪してきたので俺は軽いノリで返した。


「あぁ俺たちのパーティでよかったな。他のパーティなら全滅もありえたぞ?まぁいつも迷惑かけている分とで今回はチャラだ。おーけー?」


いつもの不真面目さをここでチャラにしようとするとユリさんの表情が変わった。


「はぁ?バカなの?今回迷惑かけたのはギルド!それを代表して私が謝罪したの。それに対していつも迷惑かけられているのは私個人!チャラになるわけないでしょ」


怒らせてしまった。なんか理不尽な気もするが口喧嘩でこの人に勝てるかはしないので話を変える。


「じょ..冗談だよ。これからもユリさんにはお世話になります」


軽くユリさんを持ち上げておく。するとユリさんはフンと鼻を鳴らし受付の締め作業に向かっていった。フラーレンのギルド登録がまだなので慌ててユリさん追いかけ、事情を説明するとめんどくさそうに登録作業をおこなってくれた。


「はい、ギルド登録はこれで終わり、受付閉めまーす」


やる気のない声で仕事を終えたユリさんだった。登録作業を終えたフラーレンは上の空だった。


「おいどうしたフラーレン。ユリさんに惚れたか?」


「いえ、女同士は嫌いじゃないっすけどあの人とは相性悪そうです。それにしても手際よかったっすね。感心しちゃいました」


「大ベテランだからな。...ここだけの話、年齢の話はNGだ。言うと殴られるぞ」


コソッとフラーレンにユリさんのツボを教えてやった。するとフラーレンも俺の耳元で


「気をつけます..」


と呟いた。

一通り作業も終えたので俺たちはギルドを出た。


「フラーレンはこの国は初めてか?」


「初めてっすね。近くまではきたことあるんすけど中に入ったのは初めてっす」


「そうか、なら歓迎パーティーをしよう。ダイヤモンドこの時間でもやってるとこあるか?」


「個室の店でよろしければすぐ近くにあります」


「よし、じゃそこでフラーレンの歓迎パーティーだ!」


「ありがとうっす。...あっでもまず今日泊まるとこを確保しないとなんで少し待ってください」


「いやしばらく俺の家使っていいぞ!いきなり連れてきたのはこっちだからな。それくらいはさせてくれ」


「えっ!?いいんすか?..でもゲンマさんと2人きりなんて...」


「俺の家はダイヤモンドとリコもいるから2人じゃないぞ!」


さすがに今日知り合った男と2人きりで同じ屋根の下で寝るのは抵抗があったのだろう。


「あっそうですか。なら大丈夫ですね」


そう言って安心していた。


「よし、泊まるとこも覚悟できたし飯だ!ダイヤモンド案内を頼む」


みんなでワイワイしながらダイヤモンドについていった。







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