新しい仲間が増えた
街へ戻るとリコの腹が鳴った。そしてリコが俺のほうに早く飯を食わせろみたいな視線を送ってくる。今回はリコがかなりクエストに貢献してくれた..というよりほぼリコの手柄だったのでリコのリクエストに従うことにした。
「リコ、何が食いたい?」
「いっぱい」
答えになってない。いっぱいってなんだよ。食べられればなんでもいいのかよ。とリコの答えに対してあからさまに不満な目線を送っているとダイヤモンドが
「さっき近くの冒険者に聞いておいしくてボリュームのある店を聞いたのでそこにしますか?」
と助け船を出してく入れた。さすが年長だけあってこの辺の手筈の整え方は完ぺきだった。もうこいつのためにいろいろ考えるのもめんどくさいしせっかくダイヤモンドが聞いてくれたんだからその店に決めてさっさと食事をとろうと思いダイヤモンドに案内を頼んだ。
店につくと時間がお昼を外れているからか客は一人もいなかった。
「いらっしゃいませ何名様ですか?」
店に入ってすぐにサファイアと同じくらいの年齢であろう店員が話しかけてきた。
「5人です」
ダイヤモンドが答えると店員は笑顔を振りまいて席に案内してくれた。そしてそのまま俺たちと同じ席に座りいろいろ話しかけてきた。
「こんな時間にお昼ですか?もしかして冒険者の方々ですか?あっおすすめはこれとこれです。量を重視するならこれですね」
なんかすごい話す。質問しながら料理を進めてきた。一応質問には俺が答えておく。
「あぁ俺たちは隣の国のギルドから来たんだ。この国から依頼を受けたんでそれを終わらせてきたからこんな遅い時間になってしまった。もしかして営業時間外だったか?そうだったら出直すが?」
「いえいえいいんですよまだギリギリ営業時間ですから。それにしても隣の国にわざわざ依頼する案件となるともしかしてドラゴン討伐ですか?」
「んー正確にはドラゴンゾンビだったけどな」
「ドラゴンゾンビ!?どおりでうちのギルドの連中じゃ倒せないわけですね。それにしてもドラゴンゾンビを5人で倒すなんてすごいねこの中に大魔術師でもいるの?」
「大魔術師はいないがこいつが一番火力出るな」
そう言ってリコの頭に手をのせると手を振り払われ不機嫌そうに
「ごはん」
とつぶやいた。こいつを怒らせると後が怖いのでとりあえず注文する。注文が終えると店員は厨房のほうに下がっていった。
「しかしあの子なんか気になることを言っていたな。うちのギルドってなんだ?」
「ギルドの関係者かなんかでしょうか?身のこなしからそれなりの実力は備えているようでしたが隠しているのでどの程度なのかはわかりませんでした」
ダイヤモンドは今の短時間で実力まで図っていたらしい。この手の作業はダイヤモンドが一番得意なので俺はいつも任せっきりである。
こんな話をしている間にもルビーはリコと話をしていた。俺はリコの面倒見るのがめんどくさかったのでルビーがいるとかなり助かる。ちなみにサファイアはさっきの戦闘でかなり消耗したのかずっと机に伏せていた。なので俺はダイヤモンドと会話を続けることにした。
「それにしても今回のクエストで俺たちのパーティの魔法攻撃の火力不足が顕著に表れたな。リコがいなかったら撤退するまであったぞ」
「そうですね。4人で一斉に攻撃すれば倒せたかもしれませんがそれだと詠唱している間に誰かが反撃されることになりますね」
「リコみたいに無詠唱で最大火力の魔法を使えれるやつがいればそいつが最後まで引き付けて離脱してから同時に攻撃できるが今のところ誰もできないしな」
そんな風に今回の反省点を二人で話し込んでいるとリコと話していたルビーが突然話に入ってきた。
「私が無詠唱魔法をリコちゃんに教えてもらいます。リコちゃんも教えてくれると約束してくれました」
どうやらクエストが終わってからずっとルビーはリコにこのことを交渉していたらしい。そして交渉の末におやつをくれる間は無詠唱魔法について教えるといううことで落ち着いたらしい。リコの食い意地もすごいがルビーの向上心も立派だった。サファイアにもこれくらいの向上心があればすぐにランクアップするのだが当の本人は気付かず机に付したままいびきまで掻き始めた。まぁ今回はずっと前衛で頑張ってくれたから勘弁してやろうと思いそのまま放っておいた。
しばらく会話をしていると店員が料理を運んできた。
「お待たせ~」
そう言って料理を次から次へ机に置いていく。そしてテーブルが埋め尽くされる頃になってようやく
「注文の品は以上になります。デザートなどが欲しい場合は少し早めにおっしゃってくれれば食後にお出しできますので」
そう言い残し厨房の方へ帰っていった。
俺たちはテーブルに置かれた料理を見て少し不安になった。
((((これ食べきれるかな?))))
戸惑っているとリコが先陣を切って食べ始めた。見ていてもしょうがないので俺たちも後に続き食事を始めた。
結果から言うと料理はどれも絶品だった。どれも味付けがちょうどよく食材を生かした料理になっていた。問題だった量はリコがすべて解決してくれた。よって俺たちは気持ちよく食事を終えられたのであった。
食事が終わってすぐに店員が話しかけてきた。
「すごい食べっぷりだったね。作ってるとき少し多いかなと思ったけどよく完食してくれたよ。ところで君たちはパーティを組んでいるのかい?」
「ごちそうさま。おいしかったよ。確かに俺たちはパーティを組んでいるがそれがどうかしたか?」
「君たちのパーティに私を入れてくれないか?」
「...うちのパーティはランクA以上が最低条件でしかも何か売りがないと入れないが君はどうなんだい?」
そううちのパーティはそれぞれ特技を持っている。サファイアは近、中、遠距離どれにでも対応できる器用さがあり、ルビーは使える魔法が数えきれないくらいある。そしてダイヤモンドは近距離戦においてはほぼ無敵と言っていいほどの反射神経である。
俺が条件を提示すると店員の子は
「なら大丈夫っすね。私はこう見えてもAランクですし、売りもあります」
「ランクはいいとして君の売りは何だい?」
「私はあらゆるバフ、デバフを使いこなせて、しかも特殊スキルでそのバフ、デバフは2倍にできる」
正直これは驚いた。バフ、デバフはどちらかしか使えないのが基本である。どっちも使える時点でかなりのアドバンテージがある。そのうえその効果が2倍となると唯一の人材と言っていい。これは即戦力である。特にパーティメンバーに加えるのに問題はない。ダイヤモンドもこっちを見て頷いていた。
「君はかなり貴重な人材だと思う。だからパーティに入れることはできる。しかし俺たちはまだ会って間もないしお互いの実力も把握していない。まずは仮パーティメンバーとして入ってもらうことになるがそれでいいか?」
「はい、それで問題ないっす。よろしくお願いします」
「よろしく。俺はゲンマ。そこのお姉さんがダイヤモンドで隣がサファイア。俺の多なりにいるのがルビーでその隣がリコだ」
「皆さんよろしくっす。私はフラーレンです」
こんな感じで俺たちに新しい仲間ができた。
「ところで俺たちは隣の国のギルドに属しているんだがフラーレンはギルドに入っているのか?」
「私はこの街のギルドマスターの娘なんですが親のギルドに属するのが嫌でフリーで活動してたんでどこにも属していないです。」
「だからさっきうちのギルドって言っていたのか。どこにも属していないなら俺たちと同じギルドに登録するのがいいだろう。拠点をこっちに移すことになるだがいつ頃移れそうだ?」
「そうですね皆さんと同じギルドで登録します。1時間ほどあれば荷物まとめられるので今日でも大丈夫っすよ」
「そうかじゃ俺たちは街をぶらぶらしているから夜にこの店の前に集合でいいか?合流したら一緒に向かおう」
「わかりました。じゃ準備してくるんで会計は厨房にいる店長さんに任せますね。じゃまたあとで」
そう言ってフラーレンは厨房に向かった。厨房から店長らしき人の驚いた声が聞こえたので、たぶんやめることを伝えたのだろう。そして手を振って店を出て行った。
店にずっといても迷惑になるので会計を済まし外に出た。会計の際に店長がまた新しいバイトを探さないとと言っていたので一応謝っておいた。
俺たちは夜までやることがなかったので街の中心部の栄えているところで自分の国で買えないものをいろいろ仕入れることにした。