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結びの日は青空で

 


  巨乳貧乳美乳に囲まれながらようやっと生きる気力を取り戻したように見える小鳥遊を眺めながら、俺は超巨乳の水倉メイに尋ねた。



  「ーーどうして、アイツが自殺を考えているという事が分かったんですか?」


 

  水倉メイはその大き過ぎる胸をぷるんと振りつつ、遠い目をして俺に答えた。



  「……昔、と言っても2、3年前だけど、男友達が自殺しかけてね。今はもうちゃんと生活しているけど。ーー1人で失恋に悩んでいたのね、私はそれに気付く事が出来なかった。その罪滅ぼしかしら、思えばあの時見せていたその友達の目が、さっき小鳥遊くんがしていた目つきと一緒だったから」


  「あの女の子達に、小鳥遊を虐めるように指導したのも貴女でしょう」


  それこそ水倉メイの目つきを見て納得がいった俺は、自分の事は棚に上げて彼女を睨んだ。

  水倉メイはフッと笑い、



  「あのままじゃ小鳥遊くんは『成長』しないままでしょう」



  と、クールに言い放ち、俺の腕にイタズラっぽく抱きついた。

  柔らかな感触が腕を覆う。


  「……ラノベ作家の俺の従兄弟に近付いたのも、彼が同じ目をしていたからですか」


  そんな疑問を投げかけた瞬間、美由起の大声が飛んで来た。



  「ちょっと!! 何してるんですか、その人は私の彼氏です!!!!! 離れて!!!!!」


  「あらあら、ごめんなさいね!」



  水倉メイは俺の腕から超巨乳ーーじゃなくて腕を外し、ウィンクした。


  その目は「そう、その通りよ」と語っていた。


  やっぱり水倉メイはちょっと風変わりな『超巨乳天使』だった。




  ※※※




  「何だよ、不死鳥フェニックス、元に戻っちまったのか?」



  取り巻き2号がつまらなさそうにあくびをした。

  いつもの昼食の時間である。


  不死鳥と呼ばれた小鳥遊はおずおずと静かにうなづき、「おれ、つまんないかな。ゴメン」と呟いた。


  「まあこれから小鳥遊のナンパが見られなくなるのは残念だけど、元の脳みそに戻れて良かったな」


  と、弁当の唐揚げをつつきながらフォローをしたのは取り巻き3号だ。


  「ーーそれで」


  俺は焼きそばパンを食べつつ小鳥遊に話しかける。


  「例のあの美少女達とは今、どうなってるんだ? 自然消滅?」


  然して小鳥遊は俺の予想に反して、困ったようにスマホを取り出し、俺に着信メールの画面を見せた。



  「うわあ……」



  俺は恐怖のため息をついた。


  画面には、美少女達のメールでいっぱいだった。

  中には下着姿を自撮りして添付している子もいる。


  それもかなり際どい下着だ。


  胸のてっぺんにある2粒の『小さめのさくらんぼ』しか隠れていなくて、し、下乳したちちがーーはみ出ている。



  「これって、からかわれてるのかな?」



  自信無さげに言う小鳥遊に、俺は激昂した。


  「馬鹿かお前!!! これは『モテ』てるんだよ、馬鹿か!! 女の子達の全力アピールがすげーよ!!!! 羨ましい!!!!!」


  ああ、もう、何でコイツばかりがモテるかな。

 

  「……こんなヤツらのどこが『上の上のオンナ』だよ」


  俺はまたまた、嫉妬混じりで吐き捨て、そして気付いた。

 

  もしかしたら小鳥遊は、不死鳥時代、元の自分をも好きになってくれそうな女の子達に声をかけていたんじゃないかな、と。



  不死鳥は、それだけ勘に優れていたという訳だ。

  自分の身と心を守る事に。

  自分が幸せに出来そうな女の子達を見つける事に。


 



  4人でワチャワチャしていたその時、屋上のドアが開いた。

 

 

 


  「みんな、相変わらずここにいたのね。私もーー良かったらーー久しぶりに、ま、混ぜてくれないかな?」



  そこには、最初からガチで『男』としての小鳥遊を見つめていた、綺麗に三つ編みした委員長が恥ずかしげに立っていたのだった。





  10年後、俺と取り巻き2号3号は、2人の結婚式に呼ばれる事になる。



  ただし、俺は小鳥遊勇一の『義弟』としてーー。



  式場ではかつての『美少女』達が来賓客として笑顔で拍手していた。

 

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