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美由起の日記

 


  「雪村さん。私のリクエストでイチャイチャデートしてくださってありがとうございました。



  イヤがるんじゃないかな、と心配してたんだけど、でも思い切ってお誘いして良かったよぉ。



  とっても楽しかったしキュンキュンしました。本当に本当に楽しかったです。


  雪村さんは『こんな場所慣れないなあ』なんて言っていたけど、しっかりエスコートしてくれて嬉しかったょ。


  帰りのイルミネーションも綺麗でしたね!!

  私、『いつかここでカレシと散歩できたらなあ』ってずっと思ってて。

  その夢が叶ってしまって嬉しいんです。


  それに……、私達、一歩進んだね。

  兄さんを超えたよね?


  チューした時のシーン、今でも思い出すと嬉しくてちょっぴり恥ずかしくってでも嬉しくてキャーッってなるょ。


  ん、あー、今もマクラを思いっきり抱きしめて抱きしめてやっと落ち着いたところです。



  だけどね、でもね。やっぱりミリちゃんの事が気になって。。


  いくらあの兄さんでも小学生に声をかけるなんてすごくショックだったし、、、


  あのね、怒らないでね。

  私、あの後兄さんに問い詰めちゃったの……。


  私の友達の、妹に色目使ったでしょう!! って。


  兄さんには言わないように、って雪村さんに注意して貰ったのに、ごめんね。。


  でも、そしたらね、兄さん、ミリちゃんの事覚えてなかったの。

  『そんな覚えは無い』って。


  兄さんはそういう事でウソをつく人じゃないし、、、もしかして人違いだったのかなぁ?


  だったら安心するんだけど。

  だってね、私、ミリちゃんにちょっぴり嫉妬しちゃったんだもの。。

  兄さんにナンパされただなんてさ。


  たまに思うんです。

  もし私が兄さんの妹じゃなかったら、兄さんは私をナンパしてたかなぁって。


  馬鹿ですよね。


  でも私には雪村さんがいてくれて、優しくしてくれるし、すごい幸せだなぁって思ってるんだ!(´∀`*) (←俺注・この絵文字は手書き)


  兄さんの事ばかり書いてごめんなさい。(俺注・一応自覚はあるんだね……)


  兄さんはいつ元に戻るのかなぁ???

  今だってすごく心配してるのに。


  でもでも、またイチャイチャデートしましょうね!! もう次にイチャイチャデートするのが楽しみです!!

  今度は兄さん絡みにならないといいな。


  おやすみなさい〜! そろそろ寝ますネ!!



  美由起」




  登場した回数。


  『雪村さん』→4回


  『兄さん』→12回


  まあ別にいいけど。

  いや、さすがにちょっとはこの結果に嫉妬している自分がいる。


  君のカレシは兄さんじゃなくて俺なんだけど。


  そして美由起は実際に会う時、俺に対して敬語を使うのになぜか日記では砕けた調子だった。

  普段が硬すぎるから俺的にはこれくらいが丁度いいかな。



  それにしても小鳥遊たかなしは、ミリちゃんの事を忘れていたらしかった。

  でもアイツ、委員長を口説いた事は覚えてるんだよな。


  同じ学校に通ってて、毎日顔を合わせているから記憶がリセットされてもまたすぐ思い出すのかって?


  なんか、違うと思う。



  高居たかい・ブラジャーとパンツ・麻里沙まりさ、噴水のお姉さん、ミリちゃん、田園調布のお嬢様。


  あと、飛び級イギリス人のベル嬢の方はどうなっているだろう。


  ーー上に挙げた、小鳥遊に忘れられた女の子達には共通点がある。


  それは。



 

  『小鳥遊をこっぴどくフった女達』だって事。




  これはどうしたものだろう、と俺なりに考えたんだが。

  そして今となっては仮定の話にはなるのだが。



  アイツは気にしてない風を装っていたし、実際すぐに忘れてしまうらしかったけども。

 

  小鳥遊は小鳥遊なりに、女の子に振られる度に心を痛め傷ついていたのではなかろうか。


  ましてやーー例えば、パンティー麻里沙の小鳥遊への拒絶の仕方は、側で見ていただけの俺でも傷付くこっぴどいものであった。



  小鳥遊の、海馬だか何だか知らないが、とにかく脳みそのどこかは。

  その忌まわしい振られ方を消去する為に、麻里沙の存在自体まで消去したのではないのだろうか、と。



  そしてそれは、他の女の子達にしても同じ事だと俺は思った。



  俺は試験勉強を一時中断して、美由起への返答日記を書く事にした。



  兄さんだけじゃない、一応俺だって君と軽めだけどキスしたオトコのコなんだよ、となーー。




  それにしても、何だかその夜は風が強いようだった。


  窓の外が騒がしく、木々がゆらりゆらりと上下左右に激しく揺れている。

  日記を書く手を少し休めて、俺はしばらく、それら木々の様子に見惚れていたのであった。

 

 

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