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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第4章:季子の猛抗
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第34話:先生の記憶

ライリーの食べる量もさながら、その料理が尽きる前に骸骨メイドがあたらしい料理を運んでくる。

わんこ蕎麦の様に食べているライリー。


「おい待て、骨食ってるぞ」


「あら」


骸骨メイドが困り顔でライリーを覗く。

ごめんなさいと手を合わせて食らいついていた腕を放す。


「もう少しゆっくり食べなさいライリー。はしたないわ」


ミレイ・ノルヴァがそう宥めると、ライリーはしゅんとして、ゆっくりと口に運んだ。


食べる事をやめるって選択肢はないのね。


「あらあら、貴方立派に母親やってるじゃない?私の子だけどね」


マヨイ・ヴァレンが悪戯な顔でそう言うと、ミレイ・ノルヴァは眉間に皺を寄らせた。

フンと鼻を鳴らし料理を再び頬張る。


チーズフォンデュ用の釜が用意され、中のチーズがトロリと溶け出す。

右手にラスク。

フォークで刺し、ゆっくりと絡めつける。

トルコアイスの様に糸を引くチーズから発せられる湯気が、俺の空腹ゲージをマックスにした。


ライリーがあそこまでがっつくのも理解出来る。

これは本当に美味しそうだ。


口に入ったラスクは、その本来の硬さを忘れたかのように口内でとろけだした。

チーズの香ばしさと、微かに感じるパリッと爽やかな食感。


気付くと次のラスクに手が伸びていた。


そのあまりの美味しさに呆気に取られていると、骸骨メイドは満足気な表情でこちらを覗く。

さっきからずっと気になっていたのだが、表情筋がないのにどうやって表情を作っているのだろうか....。


しかしそんな些細な奇妙を全て吹き飛ばす驚異的な美味しさだ。


白いナタデココの様なモノが乗せられた杯。

スプーンでひとすくいすると、その重みに再び呆気に取られた。

旨みを何処まで凝縮したらこんな重みが出るのかと言いたくなるような重厚感。


パンパンに腫れ上がった四角形。

口に頬張ると、ジュワァーと液体が広がって行く。


甘い。美味しい。


これ以上ない幸福感に包まれながら、口の中でゆっくりと転がす。

転がせば転がすほど味が広がり、それは収まることを知らなかった。


どこまで行っても出続ける味。

歯で噛み砕くと、それはより一層強度を増して口内を刺激した。


小麦粉で作られた棒のようなものが出され、目の前にはさっきのチーズフォンデュに似た釜に、溶けたホワイトチョコレートの様なものが入っていたのだが、その中に紫色の....飴?の様なモノが混ざっている。


クッキーの様な感覚を持つその棒を釜に浸す。

飴玉を十分に絡んだスティックを口に含むと、その瞬間口の中で大爆発が起こった。

飴がパチパチと弾けたのだ。


ホワイトチョコレートと絡められた味に、炭酸に似た刺激を飲み物では無く食べ物で与える。

ユニークを通り越してもはや尊敬の念さえ抱く。


これは....本当にヤバイ。


骸骨メイドの出す料理の魔力に翻弄されながらも、時間はゆっくりと過ぎていった。


「さて、これからバーミアに拠点を置くわけだが。何かやり残したこととかはあるか?」


先生がそう切り出す。


「私はないです」


「えぇ、私も大丈夫」


季子と奈恵先生が即答する。


やり残したこと....。俺も別にこれといってやり残したことは無い。

家族に別れの挨拶をしていないとは言え、自分の能力さえあればバーミアに言ってる間の空白の期間を消すことが出来る。


だから別に特段これといってやり残したことは....。


あった。


ひとつあった。


「ひとつありました、俊介先生。俺は....俺に委託された【怠惰】を、克服したいです!」


俺のその一言で場が凍る。

先生は驚いた表情を見せた。


「お前、それを何処で?」


「ヴィクセンの日記で....」


先生がヴィクセンの方を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた。


「実は....あの後どうも辻褄が合わない点があったから気になって調べてたさね。それで....」


ハーと頭を抱える先生。


数秒悩んだ様な素振りを見せたが、何処か吹っ切れた様な様子でこちらを覗く。


「あぁ、分かった。せっかくだ勝治。お前に僕の記憶を見せてやる」


先生の記憶。


先生が歩んだ【記憶共有的異世界物語】の全て。

それをこのタイミングで、こんな状況で見ていいのか?


いや、今しかない。


この期を逃せば二度と来ないであろうチャンスだ。


「では....失礼します」


ゆっくりと先生の記憶世界にダイブする。


━…━…━…━…━…


圧倒的な光に包まれ、その光がゆっくりと引いていく。

その瞬間、先生の広大すぎる記憶世界に不意をつかれた。


人間じゃありえないレベルの広大さだ。


ミレイ・ノルヴァやヴィクセンなんかもこのサイズなのだろうか?


その異様としか言えない大きさの記憶世界に、俺はワクワクを押さえる事が出来なかった。


しかしそのワクワクを保てたのも数秒の話。

あっという間に先生の深すぎる闇を見せられることになった。


「....奈恵?しっかりしろ!奈恵!」


「シニタクナイ....シ...シニタ....ナイ」


地面に倒れて苦しそうにしてるのは若い頃の奈恵先生だろうか?

目が虚ろに鳴り、幻覚の何かに殴られたかのような苦しみ方をしている。


一体何が....


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