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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第4章:季子の猛抗
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第32話:厨二ガチ勢なオカマ

「大丈夫?」


そう声をかけたのは季子だった。


ヴィクセンの部屋。ヴィクセンの日記。

天界。マヨイ・ヴァレン。


止まっていた思考が再び動き出し、今までの状況が整理されていく。


「あ、あぁ」


【失われた怠惰の委託は死神の計画。取り出すのはおろか、見つけ出すのも困難さね】


ヴィクセンの日記の最後の一節。

ふとその言葉を思い出し、先生やミレイ・ノルヴァが常に探していたモノを理解する。


俺の怠惰はミレイ・ノルヴァの一部。

世界に広がった【怠惰】を異常に集める怠惰。


その怠惰を、探していたのだ。

消すために、少しでも....。


ガタッと音が鳴り、その方向を向くとヴィクセンが居た。

顔を真っ赤に染めるヴィクセン。

その目線の先には季子の持っている日記があった。


「み....見たさね?」


数秒の沈黙。

ヴィクセンの尻尾がクルクル動き回る。


「えぇ」


季子の容赦無い一言が、グサリと突き刺さる。

尻尾がピンと天を突き、ゆらゆらと地面に落ちる。


「ま、まぁいいんじゃないか。普通に為になる内容だったと思うぞ」


ヴィクセンの手に【壊】の文字が浮かんだ。

その文字をボールの様にこちらに向かって投げる。


ヒュッと音を立てながらこちらに近づく文字。

スガッと妙な音を立てて文字は地面に急降下した。


バゴッ、メキッとえげつない音を立てながら文字に触れたものがボロボロと崩れていく。


えっ、待って俺今これぶつけられそうになってたの?


「まぁ落ち着きなさいって」


グリシア重力を弄って文字を落としてくれたようだった。

こればっかりは感謝してもしきれない...。


「んで?どこまで読んださね?」


「俺は最初の方だけだけど季子は一通り全部....」


季子が苦虫でも食べたかのような顔でこちらを睨む。

ヴィクセンは手で顔を覆っていたが、そんなに恥ずような内容だろうか?


まぁ人を調べる為のストーキング日記なんて、人に見せるようなモノではないだろうが。


「...はぁ。まぁいいさね」


コツ...コツ....と足音が鳴る。


「今の何の音?」


不思議そうな顔をしてやってきたのはライリーだった。

しかしそこに復活当初のやつれた様子は無く、健康的な....インストラクターでもやってそうな佇まいに変わっていた。


ヴィクセンの開けた穴を見てアチャーと言わんばかりの表情をするライリー。


半泣きになっていた感情をグッと抑え、フンと鼻を鳴らすヴィクセン。


「さ!ライリーの食事も済んだことだし、マヨイ様の所に行くさね」


「りょーかーい」


グリシアがヴィクセンに付いていく。

それに合わせて俺らも付いていった。


「....れで?貴方達結局これからどうするの?」


「だから何度も言ってるだろ、みんなでバーミアに行くさ」


「まぁそれが一番妥当ね」


マヨイ・ヴァレンの机の前にミレイ・ノルヴァと先生。キムナエ先生も揃っていた。


「うん、全員揃ったみたいね。じゃぁ早速案内するわ」


「何処に?」


ミレイ・ノルヴァが眉間に皺を寄せて聞く


「記録神の所よ」


「え、それ私も行かなきゃダメ?」


「ダメに決まってるでしょ。ほら行くよ」


そう言うとマヨイ・ヴァレンは立ち上がり、こちらを手招きした。

その誘いに乗り彼女の後をただひたすら付いていったのだが、記録神。一体どんな人物なのだろう。



━…━…━…━…━…


しばらく歩くと、古びた洋式のお屋敷が見えてきた。

さっきまで無かったはずの赤い月に紅の雲。


どうやらこの場所だけそうなってる様だが、もはや自分にその原理が理解できるとは思わない。


ライオンの口から垂れたリングをドアに叩きつけるマヨイ・ヴァレン。


こんなもの映画とかドラマでしか見たこと無いぞ....。


コウモリがバサバサと飛び立っていたが、その目が赤く光っており恐怖を感じた。


睨まれてる....?


ギィィと鈍い音を立てながらゆっくりと開くドア。


マヨイ・ヴァレンが何の迷いもなく屋敷に入っていったので、それに続いて入っていった。


「おじゃましまーす」


小声で軽く挨拶する季子。

その目は何処かワクワクしていた。


赤い絨毯がレットカーペットの様に敷かれており、その一本道を辿っていった。

食堂の様な大部屋を越えると螺旋階段が設置されていた。


2階に上がると下の食堂を見渡せる仕組みになっていたのだが、一体ここの家は何人家族なのだろうか?


しばらく付いていくと、一つの小部屋にたどり着いた。


その小部屋には難しそうな本が大量に並べられており、机の上はグッチャグチャにされた本で山積みになっていた。


「生きてる?」


マヨイ・ヴァレンがそう言うと、山積みにされた本がガタガタと揺れだした。


「あら、その声はマヨイかしら?」


「ごめん、ちょっとこの本どけてもらっていい?」


男の声。


ドスの利いたその声に、何処か聞き覚えを感じた。


グリシアが右手を上に上げると、本は爆発を起こしたかのようにあたりに散らばった。


「グリシアちゃんも来てたのね」


ムクリと起き上がった男の腕や足は異様な程に華奢で、その内蔵が潰れてんじゃないかと思うほどのクビレは人と言うより骸骨だった。


「あら、ヴィクセンちゃんもいるじゃない。元気してた?」


「んで、えーと....あら、もしかして貴方達ノルヴァ家の人?本当に仲直りしたのね~」


あぁ、なるほど。この人....。


オカマか。




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