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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第3章:贖罪を求めて
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第24話:過去の戦友

「根本にいる僕か....正直それは僕自身見えていない」


「いなかったからこそ自分探しの旅なんてやってたんだけどね」


ハハハと苦い笑みを見せる先生。


涙を拭い取るキムナエ先生。

一つ深いため息をつく。


「...んで?今度はどんな面倒事に巻き込まれてる訳?」


「面倒事って....」


心なしか俊介先生の言葉がさっきから詰まっている。

どうやら彼女との再開は、先生にとってそれほどまでに大きいものだったらしい。


キムナエ先生がクルリとこっちを向く。


「貴方ってうちのクラスの勝治君よね?貴方が今回の面倒事?」


「面倒事って....」


思わず先生と同じリアクションをとってしまった。


それより奈恵先生はいつの間に俺の名前を覚えたのだろう?

クラスが始まる前に名簿をもらってるとしても、クラス開始初日に名前と顔を一致させることなんて出来るのか?


先生は深刻そうな顔付きをして、奈恵先生の肩をガバッと掴む。


「....シュンが生きていたんだ」


「へぇ~....そうなの」


「へぇ~....って、これ結構ビックニュースだと思うんだが」


「いやまぁ、私貴方がシュンを倒す前に死んじゃってるし?」


言葉を詰まらせる先生。

ニヤリと意地悪な笑みを見せる奈恵先生の顔は、どことなくミレイ・ノルヴァに似ていた。


「それで?シュンと勝治君になんの関係があるの?」


「君の記憶を元に戻したのは彼だよ」


奈恵先生がキョトンとした顔でこちらを覗く。

数秒の沈黙の後、奈恵先生は指をカプッと噛み、掌に血文字を書いた。

それは地球の文字とは違う特殊な記号の様なものだったが、グニャリと変形しシャボン玉の様なモノになり、具現化した。


フワリフワリとこっちに近づいて来る。


シャボン玉に映る映像。

感じるデジャブ。


シャボン玉に映ったのはやはり美和子との記憶だった。


「それはナエラさんの魔法ですか?」


パチンと割れるシャボン玉。


「やっぱり記憶を読むことも出来るのね....」


「こぉら~!人の記憶覗くのはプライバシーの侵害だぞっ☆」


奈恵先生は突然砕けた話し方になった。


ナエラ....奈恵先生の記憶にいた、奈恵先生のドッペルゲンガーだ。

バーミアの世界にいる奈恵先生...と考えたほうが楽かも知れない。


彼女の魔法は、知識記憶として奈恵先生の中に入っている。

どうやら感覚記憶もそのまま共有しているようだ。


正直もうなんでもアリだ。

頭がついて行ってくれない。


「その喋り方はもう卒業したもんだと思ってたよ」


「私ね、今最高に気分がいいの!だってそうでしょぉ?」


さっきまで涙ぐんでいた奈恵先生には満点の笑みが浮かんでいた。


「歳をわきまえろよ、奈恵」


「まだ三十路前ですぅ~ピチピチですぅ~」


奈恵先生は何処か【ワクワク】しているようだった。

何か新しいものを発見した子供のようにはしゃいでいる。


奈恵先生が20代と言う事は、俊介先生もそうなのだろうか。

とても20代には見えない。


見た目年齢的には10代って言われても違和感無いけれども、中身が完全に仙人のそれだ。

たくさんの修羅場をくぐった玄人みたいな目つきをしている。


ふぅ....と一つため息を着いた奈恵先生。


「それで?私は何をしたらいいの?協力するわ」


「ダメだ」


「もうこれ以上奈恵を巻き込みたくない。教師として生活が出来上がってる以上尚更だ」


「....そう?」


奈恵先生が胸元から石の様なものを取り出した。

その石は赤く点滅し、カスレカスレだが音が出ていた。


「だってさナエラ。どうするの?」


「え~....ざん...だなぁ~」


奈恵先生が石をふる。


「今度こそ全員揃ってまた旅ができるからと思ってシュンの遺品リストまとめて置いたんだけどな~捨てちゃおうかなぁ~」


「待て、お前ナエラか?」


石から聞こえる奈恵先生に似た声。

俊介先生が露骨に動揺する。


「奈恵ちゃんが来れないならしかないなぁ~」


頭をかく俊介先生。

眉間に皺が寄っている


「っ~。あ~もう分かったよ!お前の事だ、もう全員に声かけてあるんだろ?」


「えぇ、GOサイン一つでいつでもバリッシュさんの店に集合できるわ」


「ホントお前のその用意周到な所クッソ嫌いだ」


「そんな褒めんなって!」


プツリと音を立てて、石の光が消える。


「あらら、久しぶり過ぎて感覚忘れちゃった」


「あぁ、それでいいよ。本来こことバーミアは干渉しちゃいけないんだから」


「貴方ミレイ・ノルヴァみたいな事言うのね、すっかり神色に染まっちゃってまぁ....」


「でも根本にはちゃんと僕がいるんだろ?」


「えへへ~」


なんだろう、俺は一体何を見せられているんだろう。

イチャイチャしている2人を尻目に、馬場さんが何処かに電話している。


「季子の意識が回復したみたいだぞ」


突然の吉報。

耳に入ったその情報を処理するのに数秒かかった。


「そうだな、じゃぁ奈恵。君に看病を頼んでいいか?」


「私に出来ることならなんでも任せて」


胸に手を当ててそう言う奈恵先生。

その顔は、何処か自信に溢れていた。


o0O○O0o0O○O0o0O○


俺が開けてしまった記憶。


これは本当に開けていいものだったのだろうか?


何処か物凄い悪寒がする。

季子のいる病院に急ぐとしよう....。


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