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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第2章:ジェミニの陰謀
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第13話:真の脅威

ミレイ・ノルヴァの冷たい瞳がこの部屋を凍らせる。


テラも季子も表情が凍っている。


理解不能が作り出す静寂....。


俊介の所に連れて行け。....何故?


心なしかテラが嬉しそうな表情を見せる。

俊介に会いたいのだろうか?


「それが...」


「それが?」


「俊介と連絡が取れないんだよ」


電話を取り出す。

俊介にかけるも、やはりさっきと同じ....。


ツーツーツー....。


画面をミレイ・ノルヴァに見せると、彼女はニヤリと笑った。


「そんな機械に頼るからいざって時に困るのよ」


そうして指を振るミレイ・ノルヴァ。

空間に円形の歪みが発生した。


その円の奥には不思議な空をした世界が広がっていた。


「あー。今【バーミア】に居るのね....」


「バーミア?」


「俊介から聞かなかった?地球とは別の世界。正確には【地球】が存在する世界と、【バーミア】が存在する世界。って分け方なんだけど....」


「そのバーミアって方に今俊介が居るっぽいの。そりゃ携帯も通じないわ」


バーミア....初めて聞いた。

俊介の記憶が読めればその正体も分かるのだろうが....。


と言うかその世界に俊介はどうやって行ったんだ....?


「まぁこのまま待ってるのも退屈だし、行きましょうか。【バーミア】に」


ミレイ・ノルヴァがそう言うと、歪んだ円形はどんどん広がっていった。


「あ!忘れてた」


ミレイ・ノルヴァの目から一瞬ハイライトが消えた。


気絶している男が中に浮き、体が曲がっちゃ行けない方向に曲がりながら中心に向かって圧縮される。

バキッ...メシッと言う生々しい音と共に小さな球体になった男は、音も立てずにパッと消えた。


カラン....と仮面だけが落ちる。


彼女がロストブランクを唱えた瞬間、テラを人質にとった男は消えた。


存在ごと、【0】に出来るのか....。


冷や汗が地面に落ちた。


何もなかったかの様にケロッとしてるミレイ・ノルヴァは再び円形の歪みを広げる。


「さ、入って」


━…━…━…━…━…

空が緑色のようで、雲が赤色。

地球とは別の【バーミア】と呼ばれる世界。


こんな能力があるなら、わざわざ俺に「俊介のところに連れて行け」なんて言わなくても良かったんじゃないだろうか....。


少し歩くと教会が見えた。

ステンドグラスが綺麗な教会。


石作りのお城の様にさえ見える豪華な外装は、高校生の俺の中の何かをくすぶった。


そう、どうみても【格好いい】。


格好良い....これほどこの教会にピッタリな言葉があるだろうか?


本当に...格好いい。


ミレイ・ノルヴァは教会にそのまま入っていった。

中には俊介が座っていたが、ドアの開く音と同時にこちらを向いた。


目をまん丸にして驚く俊介。


そんな俊介の珍しい姿をみて、こっちも驚いた。


「なんで...お前が....」


「久しぶり俊介。何年ぶりかしら?」


「今でもあの手応えを忘れていない....。お前は確かに....。僕が....」


俊介の動揺っぷりが異常だ。


2人の間に一体何があったって言うのだろうか....?


今にも涙を流しそうな俊介。

そんな中、視界に俺等を見つけたらしく、俊介は慌てていつものテンションを取り戻した。


苦笑いで手を振る季子。


....やめたれよ。


「フゥ....で。なんでお前等までバーミアにいる訳?」


無言でミレイ・ノルヴァを指差すみんな。


頭を抱える俊介。


「ったく....。で?どうやって生き返ったんだ?」


「生き返ったと言うよりは【転生】したって言うのが妥当かしらね」


「今の私は女神であって女神じゃ無いの」


「あぁそうかい....。で、そんなミレイさんが僕になんの用ですか?」


呆れ口調で話す俊介。


本当にこの2人の間に何があったのだろうか....。


「シュンが生きてるわ」


瞬間、辺りに静寂が訪れた。


ガタッと立ち上がる俊介。


その表情は、【怯えて】いた。


「ブラックジョークが過ぎるぞ....ハハ、復活そうそうそれはキツイっての....」


「事実よ」


目が死ぬ俊介。


シュン....また知らない名前が出てきた。


季子とテラは眉間に皺を寄せながらもこの状況を理解している様だった。


もう本当にその情報処理能力を分けてくれ....。


さっきから何が何だかサッパリ分からない。


「どこでそれを?」


「【遺品】が見つかったの....天界で」


「その遺品からはシュンの【生命エネルギー】が検出されたわ」


「遺品はどれも特殊能力を持ってる....最初にそれを発見した神は遺品に触れて能力が暴走したせいで自分ごと食べて死んだわ」


「待て、その神ってまさか....」


「えぇ。ライリーよ。私の....ノルヴァ家の大事な...」


「その遺品は今どうなってるんだ?」


俊介が言葉を遮った。

ライリー....?俊介やミレイ・ノルヴァと同じ神なのだろうが....。


「誰も触れられ無いように保護されてる」


「ライリーは自分を喰らい尽くす前に『集めないと....』って連呼してたわ」


「恐らくだけど、あの時の彼女は貴方と互角かそのレベルまで強かった....。そしてその能力と共に何かしらの【命令】に従っているみたいだった」


「つまりシュンの遺品は、手に入れた生物に能力を与えて【命令】を強制させる....そんでその目的ってのが【遺品を集める事】....なんだな?」


「それで今の弱体化したままの自分だと問題を解決できなさそうだから僕を頼りに来たと....」


「勝治達を連れきたのもそれが理由だな?」


「えぇ」


俊介とミレイ・ノルヴァの会話を聞いてもやはり理解できない。

情報が足りなすぎるんだ。


「なら本当に....厄介な事になったな....」


俊介の目は依然――――

死んでいた。


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