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お母ちゃんが泣いた日

作者: sey-oyama

おかあちゃんが泣いた日


今日はしずちゃんのクラスの参観日です。みんなのお父さん、お母さんが授業を見に来る日です。

しずちゃんはいつにもましておちつきがありません。

お母さんが来るからです。


廊下の方から大きな笑い声が聞こえました。しずちゃんのお母さんでした。しずちゃんは恥ずかしくて机に座ったまま下をむいていました。


授業が始まると先生がいつもみたいに名前を呼んで出席をとりました。

「山本 しずこさん!」「あ、はい…」

きんちょうして声が出ませんでした。

今日は宿題で書いてきた作文を読みました。

先生が男の子と女の子の作文を一つづつ選んでくれて、わたしは女の子代表で自分の作文を読みました。


先に男の子が読みました。

次は自分の番だからきんちょうしすぎて男の子の作文はぜんぜん聞こえませんでした。


先生がわたしの名前を呼びました。

となりのよしこちゃんが小さな声て「がんばれ!」って言ってくれました。

わたしはちらっと後ろを見たら赤い派手な服を着たおかあちゃんがいました。

嬉しそうに笑ってました。


わたしは勇気を出して作文を読み始めました。



わたしの家族

4年1組 山本 静子


わたしの家族はおかあちゃんとわたしの二人きりです。

なぜならば私が幼稚園の時、おとうちゃんは車の事故で死んでしまったからです。

わたしはまだ小さかったのでおとうちゃんがいなくなった事、死んでしまった事がよくわかりませんでした。

おかあちゃんはいつも大きな声でわらいながらわたしに話しかけてくれました。

いつも元気なおかあちゃんのおかげで寂しくありませんでした。

いつも大きな声でガハガハしゃべるので友達と一緒の時、恥ずかしくて一度だけ「おかあちゃん、ガハガハしゃべるの止めてや!」って言いました。

その時少しだけおかあちゃんの顔が寂しそうに見えました。


夕方家に帰るとおかあちゃんがカセットテープの歌を聞いていました。

おとうちゃんが昔カラオケで録音した歌でした。

おかあちゃんは背中を丸めて夕陽に照らされてましたが泣いているように見えました。


その時わたしは気がつきました。

いつも元気で明るく大きな声でガハガハしゃべるおかあちゃんが本当はわたしが寂しくならないように一生懸命に話しかけてくれてた事に。


その時のおかあちゃんの寂しそうな背中が今でも忘れられません。


それからわたしはもうおかあちゃんがガハガハしゃべっても恥ずかしくなくなりました。

これがわたしの大好きなおかあちゃんやって分かったからです。


おかあちゃんいつも元気くれてありがとう!

わたしも大人になり結婚して子供できたらおかあちゃんみたいな母親になりたいです。


そしておかあちゃん、いつまでも元気でおとうちゃんの分まで長生きしてください。

山本 静子


最後まで読み終わるとバチパチとはくしゅがあり、少し恥ずかしかったです。


振り返っておかあちゃんの顔みたら真っ赤になって涙が出てました。

おかあちゃん泣いてた。

初めてわたしの前で涙みせたんや。

わたしも涙が出て泣きました。

でも嬉し涙でした。

多分おとうちゃんも天国で嬉し泣きしてると思います。

わたしおとうちゃんとおかあちゃんの子供で良かった。




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