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メリークリスマス。

皆さま、おはようございます! ほしのななかです。


化けクリ、(><)進行ペースが遅れていてすみません! 直しに直しているので、本当にごめんなさい!


そ、それでは本編を、(><)どうかよろしくお願いいたします。


(この物語はフィクションです。実在の事例、国、人物と、この物語は関係ありません)




【2033年、イバラキ。飼葉タタミ】




 わたし達は街で『コブタ』を拾った。コブタと言っても本当の豚ではなく、『コブタ』と呼ばれた人間の男の子だった。


「僕は子豚じゃない! 食おうとするな!」


「け、けど、すごく美味しそう」


 わたしが笑いかけるとその男の子は本当に怖がる。


「おい! あんた、コイツをどうにかしてくれ!」


 助けを求める『コブタ』をわたしが先生に紹介した。


「先生。この子、弄られてないのにすごく頭いいの。きっととっても心強い味方になってくれる」


「当然さ。僕は上流階級の生まれだからね。って、おい、お腹の肉を引っ張るな!」


 その子はわたし達チーム『化けクリ』が保護することにした。彼も戦災孤児だった。わたし達と同じ名前を持たないただの『ジャンク』、わたし達と同じ『要らない子供』だった。


 彼は高慢でヒトの話を聞こうとしない。たぶん、ヒトに拒絶され続けたからだろう。信じる事を良しとしない。その気持ちは痛い程分かった。


 だからわたしは、『コブタ』の友達になれるよう、彼へ笑顔を送り続けた。




※※※




 わたし、『飼葉タタミ』には秘密がある。それは、きっと誰にも話せない。そして、


 ……誰も信じてくれないと思う。


 けれど、わたしは意を決してその秘密を打ち明ける事にした。


「――先生、わたしの話、聞いてもらえる?」


 それは一族の秘密。自分たちが『中立な立場の一族』だったから、だから誰にも秘密を話す事が出来なかった。だからわたしには本当の意味での仲間は居ない。


「わたし、本当は『タタミ』って名前じゃないの。飼葉コーポレーションの嫡女でもないの」


 先生は真剣な表情でわたしの話を聞いていた。


「けどね、本当の名を、素性を知られてしまったら、わたしは外を歩くことが出来なくなってしまうの。知られてしまったら、それこそあの『フォーチュン』みたいに顔を隠して生きていくしかないの」


 先生は目を閉じ時間をかけてわたしに応えた。


「よく分からないけど、使ったらいけない名前を持ってるんだな、タタミは」


 その時の先生は、何故かものすごく考え込んでいた。藁の椅子に座り眉間にシワを寄せずっと、何かを考えているようだった。


 わたしは先生に余計な心配をさせたらイケないと思い、


「……うん」


って、ただそれだけを答え微笑んだ。




※※※




 時間だけはただただ進んでいく。裕福なヒトにとって今日はクリスマスイヴ。わたしは『化けクリ』のみんなにケーキを配りたかった。けれどわたし達に余裕なんてあるはずが無い。


 でもただ1人にだけは喜んでもらいたくて、わたしは日々の貯金をはたいて、たった1つ小さなケーキを買ってきた。


 そっぽを向いてわたしがその品を渡すと、先生はその片方だけの腕を振り上げあからさまに驚く。


「お、俺に? こ、こんな高いものを?」


 先生のあまりのびっくり様にわたしの方が困惑してしまう。思わず焦っていると、楽々が余計な事をチクった。言わなくていいのに先生へ話してしまった。


「それ、タタミが緋色隊長の為に! って鼻息荒げて買ってきたんだよ! どれがいいかすっごい悩んだ上に選んだ1個なんだよ!」


「な、何を言っているのかな、楽々さんや。べ、別に、せ、先生の為ってわけじゃ」


「いいのか? 俺にだけ、こんな」




 ……ま、まぁ。そんなに欲しいなら。


と、頷く。


 先生は農場隅のテーブルに座り、スプーンで一口ずつ、ゆっくりと噛みしめてくれた。


「美味い。美味いなぁ。このチーズケーキ」


 先生は何度も、何度も、……美味しい。と繰り返した。


「こんな美味いの。俺、生まれて初めて食べた!」


って。体格に似あわない切れ長な瞳に、大きな涙を浮かべて言ってくれた。




 食事を終えた先生が、農場の裏にわたしを呼び出す。もしかしたらジャガイモのつまみ食いがバレタのかも。わたしはちょっとだけ身構えて、その場所へ向かった。


「前にタタミ言ってたよな。名前の話」


「え? うん」


 意外な話だった。先生はわたしの前でその言葉を口にする。


「もしよかったら、俺からタタミに『名前』を贈らせてくれないか? タタミが人前でも堂々と名乗れる『名前』を」


 この世界で『名前』はもっとも貴重なモノの1つだった。何にも代えられない世界のただ1つだった。


「今日、このクリスマスに因んだ名前なんだ。魔を遠ざける聖なる飾り『クリスマスリース』から名をとって」


 優しい笑みで先生がその名を口にした。


「『柊真衣ひいらぎ まい』。って名前、どうかな?」


 先生がこの胸に名前の書かれた黄色い札を付けてくれる。わたしは心の中でその『新しい名』を何度も反芻した。


 初めて他人に誇れる名前が出来た。その事実に溢れるモノが抑えられない。わたしは先生の頬にゆっくりと唇を押し当てる。


 それがわたし、飼葉タタミの、いや『柊真衣』の、……ファースト・キスだったの。

ここまでお読みいただき、(><)本当に本当にありがとうございます!


なるべく早く続きを更新しますので、どうかどうかよろしくお願いいたします!


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