1話前半
僕が通っている“新間学園高校”の2‐Cに突然転校生がやってきた。
髪の毛が長くて、きれいな黒い髪の毛だ。
「彼女は朝倉奈津さんです。以上」
担任の西條先生の説明は本当に短い。
大事なところはきちんと話しているが、もっとほかに大事なところを抜かしている。
なので、後から僕たちが転校生の事を聞かなくてはならない。
「朝倉さんの席は、窓側の一番後ろの席ね」
転校生は声で返事をせずに、こくりと頷いた。
なぜだろうか。
先生の問いには、普通は言葉を通して返事をするものではないか?
彼女は、窓側で一番後ろの席に座った。
こないだ転向して行った奴の席で、僕の隣の席だ。
「よ、よろしく・・・?」
すぐには返事をせず、いきなり鞄の中からノートを取り出して、なにやら書いている。
そして、その何かを書いたページを切り取り、僕の机にそっと置いた。
『よろしくお願いします』
僕は、なにやらおかしな子だな・・・としか思っていなかった。
そして、1時限目、1時限目・・・その内、6時限目も終わり、清掃も終わった。
教室に戻ろうとしていた時、後ろになにやら気配を感じた。
『あの、後で屋上に来てくれませんか?』
スマートフォンでいきなり伝えられた言葉。
僕にはすぐに理解することが出来なかった。
だから、咄嗟に「返事をしないと」と思い、「わかった」と言ってしまった。
『では、放課後4時に』
「うん・・・」