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俺が兄であることに不服か?  作者: Fukuju
第壱章 SPRING -春編-
7/12

第三話 俺の妹はやはり可愛い‥ ①

午前授業も終わり、先ほどまでの暗い空気が嘘のように晴れ、皆 活気に満ち溢れていた。


仁 自身もやはり学校が終わり少なからず喜んでいるようだった。


だが一つ問題がある。それは‥


『じーん!早く約束こ妹ちゃんの個人情報教えてよー』


身体をこちらに向け、椅子の背もたれに両手を乗せた状態の朝日が、こちらに笑顔を向け、平然と大変な事を言っている。

”個人情報って‥‥他に言い方あるだろう”


約束というのは もちろん 妹の事だ。


今にも飛びかかってくるんじゃないかと思うほど前のめりになり、目を光らせている。


『お前さぁ、なんでそんなに音のこと知りたいんだ?』


まるで、その質問を待っていたかのように朝日は腕を組みだした。


『あぁ、あれは朝の事だ‥‥』


目をつぶり、語り出した。


######


時は少しさかのぼって五時間前。


『ルンルンルンルン♫』


朝日は今朝、いつもより早めに起き、学校に向かっていた。


その理由は恐ろしいほど単純な理由。


新入生の女子を視察するためである。


『今日から俺は二年生。そして!!』


身体を横に一回転させ、空に向け人差し指を突き立てたポーズをとり


『後輩というフラグ立ちまくりの存在ができる!!』


と一言。


本人は 決まった とばかりに顔に笑みを浮かべていたが、周りからすればただの馬鹿である。


そんな中、一人の女子の声が背後から聞こえた。


『あのー、すいません。柳葉高校の生徒さんですか?』


振り返るとそこには白髪で腰ほどまであるロングヘアーに、クリッとしているにも関わらず 凛とした瞳の女子が立っていた。


朝日はその女の子に完全に見惚れていた。


『あのー‥‥』


我に帰る朝日。


よく見ると着ている制服が柳葉高校の物であることに気づいた。


ゴホン!


咳を一つ。ワザと声のトーンを下げ、返答した。


『あっ、ごめんごめん。柳葉高校はこのまま真っ直ぐ行くと坂道があるから、その坂を登れば着くよ』


すると、その女子は満面の笑顔を顔に浮かべ、


『ありがとうございます』


その時、朝日の中で何かが大きく脈を打ち出した。朝日は声のトーンを下げたまま話を続けた。


『なんなら、俺と一緒に学校に行‥』


話の途中でその女の子は一礼をし、軽い足取りで走り去っていった。


#########


時は戻り現在。


『その時の女の子がなんと!!新入生代表で現れ、お前の妹というじゃないか!これはもう運命以外の何物でもないだろう!!なぁ!仁!!』


目を見開き、机を ドンッ と叩き仁が居た前方に向かって言い放った。


だが、そこには仁の姿はなかった。


『図りやがったなーー!!』


######


『う、』


鳥肌がたつのを仁は感じた。


”あいつ、もうそろそろ気がついた頃だろう…”


何故かそう思った。


そんな仁を横目に音が心配そうに顔を覗かせていた。


『兄に、どうかしたの?』


『別に‥何でもないよ』


笑顔を作り返答すると、嬉しそうに

良かった

と言ってくる妹が正直 可愛かった。


『音の住む家まで送るから』


音はまた笑顔を作り、こちらに向けてきた。


”それにしても‥‥可愛くなりすぎだ!”


俺が小学六年の時に親の海外への転勤が決まり、俺は地元に残りたいのもあり、祖母が居たため地元に残ったが、両親は音を連れ海外へ行った。


”まぁ、高校入学を機に夢だった一人暮らしを今はしているのだが‥”


あれから五年‥


妹は見事なまでに、容姿端麗で成績優秀な女の子に成長していた。


兄からすれば誇らしいほどに‥‥


『兄に!』


突然 音が話しかけてきた。


『ん?どうした?』


『どうしたじゃないよー、家に着いたよ』


物思いにふけりすぎたなと少し反省しながら音が住む家を見て仁は驚いた。


『おい‥ここって‥‥』


少し頬を紅くさせ、両手の人差し指をツンツンさせながら恥ずかしそうにチラチラとこちらを見ている音。


『うん‥兄にの住んでるアパートに引っ越してきたの!』


仁はあまりの驚きに気絶し、その場に倒れてしまった。


『兄に?兄に!?』


今日を最後に仁の人生は大きく変わることを仁は薄々感じていた‥‥

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