誤解
日立の拳を喰らった甲賀は気絶した。
そんなことは全く気にせず日立は口を開く。
「お前には聞きたいことがあるがまず名前を聞いておくわ。お前、名前は?」
「剣崎道尾だ。」
「お前まさか豪夜の弟か!?」
剣崎豪夜。
この高校の生徒会長兼剣道部部長で道尾の兄だ。
正直道尾はその兄のことがあまり好きではない。
「そうだけど?」
「そうか。豪夜が心配してだぞ。今日道尾が朝練に来なかった!って言って号泣してたし。」
そう道尾の兄は弟が好きすぎて好きすぎてたまらない人間なのだ。
道尾が転んで怪我をしただけで救急車を呼ぼうとするわ少し咳をしただけで病院に連れて行こうとするわ午後5時までに帰らないと警察に捜索届けを出そうとしにいくわと本当に弟のことが好きすぎてたまらないのだ。
「あの馬鹿は心配しすぎなんだよ。」
「ははは。まぁ豪夜はお前のことが好きすぎるだけだから大目に見てやってくれ。じゃあ本題に入るが。」
・・・おそらく少し前の甲賀という奴との戦闘のことについてだろう。
維持隊のことだから道尾に暴力でも振るうつもりだろう。
だが器穂だけには手は出させない。
「俺は煮るなり焼くなり好きにしていい。だけど器穂だけには何にもしないでくれ。頼む!」
日立は首をかしげる。
何か道尾が間違ったことを言ってるかのように。
「お前何か勘違いしてない?俺別に何もしないけど。」
道尾は呆然とする。
さっき同じようなことを言われ道尾は騙された。
今度はもう騙されないと誓った。
だが日立の目には悪意を全く感じられない。
むしろ目から正義感が感じられる。
・・・信じるしかないようだ。
「どういうことだ?」
「お前は何か誤解をしてるってこと。まぁ維持隊の真実ってのを話してやるよ。」
「早く聞かせてくれ。」
「まぁまぁあせんな。とりあえず場所変えようぜ。えーっと倉橋!」
「なに?日立君。」
「この器穂って子を保健室に運んでやってくれ。」
「・・・それが人に物を頼むときの態度?もしそうならあなたの臓」
「すいません・・・。倉橋涙奈様その器穂という女の子を保健室まで運んでもらえませんか!」
「しょうがないから運んであげましょう。今は寝ちゃってるみたいね。」
こうして倉橋は器穂をおんぶして保健室へと向かった。
「さてと・・・多目的室にでも行くか。」
道尾と日立は多目的室へと向かった。




