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和真vs深月

電話を終えた雄三が部屋に戻ってきた。

「どうしたんだ?」

和真と深月の異様な雰囲気を察していた。

「親父、この女最低だ」

「深月が?かわいくていい子じないか」

優しい目で深月を見た。

「この女認めたんだぞ!金目当てだって!」

それでも、雄三は微笑みながら深月に聞いた。

「そうなのか?」

すると、どこか楽しそうに深月も答えた。

「そんなわけないじゃないですか。さっき、ちょっとからかっただけですよ」

くすくすと、手を口にあてて笑う。

「てめぇ…!」

和真は深月の態度の変わりように思わず睨みつけた。

「そんな怖い顔しないでくださいよ。私は雄三さんに何も悪いことはしませんよ」

深月の言葉に雄三も加わった。

「そうだぞ。和真も子供じゃないんだ。私が誰と付き合おうと自由だろう」

なぁ、と雄三は深月の肩に手をおいた。

「そんなんだから、彼女と長続きしないんだぞ」

「それとこれとは関係ないだろ!」

吐き捨てるように言って部屋から出て行った。

その様子を見て、雄三も深月も一つ溜め息をついた。


一方、和真は自分の部屋へと戻った。

「なんなんだよ、あの女!」

クッションを床に叩きつけた。

「親父も何騙されてんだ!」

財産狙いなのはみえみえだ。

父親も気がつかないはずないのに、何も気にしていない。

「おかしいだろっ…」

ぶつぶつと文句を口にしていると、

コンコン

とノックがした。

「何だ?」

声が聞こえたのか、扉が開いた。

「どーも」

そこにはさっきまで雄三の隣でにこにことしていた女だった。

「入るな」

「いいじゃないですか。少し、お話があるんですよ」

深月は和真の言葉を無視して、中に入り扉を閉めた。

「何で簡単にばらしちゃうんですかね」

突き刺さる声で深月は和真に言った。

「それが本性かよ」

さっきまでとは違い、どこか冷たい印象を持っていた。

「まぁ、雄三さんはそんなこと気にしないでしょうけど」

余裕のようだ。

「それをわざわざ言いにきたのか」

はぁ、と和真は溜め息をつく。

「いいえ、少しは仲良くなろうかとおもってきたんですけど…」

深月は肩をすくめた。

「無駄みたいですね」

小さく呟いた。

「俺は仲良くなる気なんかない。それに、親父との仲も認めない」

「わかりました」

簡単に深月は引き下がった。

「必ず化けの皮剥がしてやるからな」

そして、和真は深月をいっそう睨み付けた。

「和真さん、そんなんだから彼女できないんですよ?」

和真の視線をそらしながら深月は話題を変えた。

「はぁ?」

なぜ、この女に言われなければならないのか、という目で深月を見た。

「どーせ、全員財産目当てだと思ってきたのでしょう?」

図星だったのか、和真の勢いは少し弱まった。

「なっ」

「それに実際、財産目当てだったということですかね」

「…」

深月は続けた。

「確かに和真さん顔も頭もいいし、お金も持ってる。モテるのもわかるけれど、中には本当にあなたのこと好きだった人もいると思いますよ?」

深月は近くの棚にあった写真に手を伸ばした。

「それとも、友達のことも金目当てだとおもっているんですか?」

写真には大学時代であろう和真と何人かの友達が笑顔で写っていた。

「そいつらはそんなんじゃない」

「そう言い切れるのなら、女の子だって…」

深月は写真をおいて、部屋の中を見渡した。

「お前には関係ないだろ。第一、財産目当てのくせに何いってんだ」

吐き出すように言った。それに対して深月は楽しそうに返した。

「だって、私はお金大好きですから。私は私ですよ」

しかし、少しだけテンションを落とした。

「ただ、あなたには近づく全ての女を財産目当てと決めつけてるのでしょうね。それはやっぱり寂しいことですよ…」

そのどこか憐れむ口調に、和真は声をあげた。

「うるさい!お前に何がわかる!」

そして、扉を指差した。

「出ていけ!」

深月ははぁ、と一つ溜め息をついて大人しく和真の部屋から退散した。

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