#Here we go again
あ、俺、天使。
ここは、俺のお気に入りの場所。
一番高い木のテッペンで残業の仕上げ中。
「これで、終了……っと」
送信すると、あっという間に返信が来る。
『記憶の消去完了しました』
結局サービス残業だったなぁ。
色々あったけど、まあ、いっか。
ああ、来た来た、みなさんお揃いで。
「陽子ちゃん、久しぶり」
生まれたばかりの彼女には、俺が見えるんだな、こっち向いて笑ってる。
この特別の場所、教えてくれたの俺だけかと思ったら、アイツもここに来たことあったんじゃん。
つまんねぇの。
「すごい……きれい。こんな場所、あったのね」
「ヨーコの父親が亡くなったあと、一度だけ、一緒に来たことがあるんだ。たぶん、ヨーコ、ここに来たかったんじゃないかな。ヨーコが倒れてた電車、この町に向かってたからさ」
サトルの手の中にあるのは、ヨーコの灰。
ここに撒いてやんのか。
たぶん、ヨーコが知ったら、喜ぶだろうな。
「だけどさぁ、ヨーコの側に誰かいたんだよ、なんかさぁ…そんな感じじゃなかったっけ?」
あれ?
阿呆なダイスケの記憶、消し忘れたっけ?
「それがさ、ネコ」
「ネコ?」
情けない顔したサトルに、ヤスコとダイスケは目を丸くして聞いてる。
「俺も、てっきり誰かいるんだと思って家に行ったんだ。けど、そこに居たのは、かわいいネコが一匹。俺、ネコに負けたんだぜ?」
マジで? って叫んでダイスケもヤスコも大笑いしてる。
そう、この先俺ができないことは、オマエにまかせたぜ、サトル。
ふうん、人間もまんざら悪くないかもな。
転属願いでも出してみっか。
『回収命令』
再び届くメール。
さぁてと、名誉挽回といきますか。
「次は、どいつだ?」
= F i n =