#angel talk2
「サンキュ……」
「結局投げ出した?」
「………」
「俺も、『カズオ』の真似して『お人好し』やってみたけど、別に悪くないな。彼女、可愛いし」
「『斉藤さん』はどこいったんだよ」
「あの仕事はとっくに終ったろ? 今は『人気ビジュアル系バンドのギタリスト』、『RYO』。今回の対象者はそのバンドメンバーだからさ」
「はぁ……『斉藤さん』とは真逆なキャラをよく演じてらっしゃる」
「オマエみたいに不器用じゃないからね」
「喋り方まで変ってやんの。オマエのほうが、よっぽどコスプレ好きじゃん」
「こういう仕事は、なりきって楽しまないとさ」
「へぇ、羨ましいかぎりだぜ。こっちは……」
「なんなら、この仕事、引き継いでやってもいいよ。俺、彼女気に入ってるから」
「………」
「かわいそうになぁ、あんな体であれだけ走り回って、あげく薬中に殺されかけて」
「………」
「それでもまだ、探してるよ。自分のこと見捨てた天使を」
「もう、俺が側にいなくったて、アイツは大丈夫だよ」
「あっそ。じゃあ、俺がオマエのかわりに回収してやるから、オマエはとっとと帰んな。俺はオマエを見習って、彼女に近づいて優しくしてやるよ。あと少ししか生きられない彼女を支える『RYO』、なんて、人間が好きそうなネタじゃねぇ?」
「あおってんの、俺のこと」
「約束が違うだろ?」
「なんで、こんな仕事しなきゃなんねぇんだよ」
「オマエが自分で、勝手にこんなふうにしたんだろ。まったく、見損なったぜ」
「………」
「見ろよ、彼女、このまま走り続けたら、間違いなく死ぬぜ。確かにそれでこの仕事は終るけど、本当にオマエはそれでいいの?」