第二十三話:森の防衛線とゲリラ戦の準備 ~血は流させない。猫たちによる「えげつない嫌がらせ」作戦~
温室での騒ぎから場所を移し、私たちは屋敷の広い食堂に集まっていた。
大きなオーク材のテーブルを囲むように、ハク、クロ、エルフの青年たち、そして山猫のリーダーが席に着いている。
王都から逃げてきた避難猫たちも、テーブルの周囲の椅子や床に座って、しっぽをパタパタと動かしながら、こちらの話に耳を傾けていた。
人間と魔獣、そしてエルフ。
普通なら同じ食卓につくことなどあり得ない種族たちが、一つの目標に向かって真剣に話し合いをしている。
それは、これから向かってくる王立騎士団の精鋭部隊を、どのようにして迎え撃つかという大切な会議だった。
相手は戦いの専門家であり、重い鎧と鋭い武器を持った大集団だ。
まともにぶつかれば、こちらにも大きな被害が出ることは避けられない。
だからこそ、知恵を絞って一番安全な方法を見つける必要があった。
『私から、一つ提案があります』
静かな声で口火を切ったのは、漆黒の毛並みを持つクロだった。
彼はテーブルの上にきちんと揃えた前足を置き、とても真面目な顔をしている。
『今回の戦いにおいて、この屋敷の敷地内、および建物の内部を戦場にすることは、断固として避けるべきです。執事として、カトリーナ様やハク様の住まいが、野蛮な人間たちの血や泥で汚されることなど、決して許すことはできません』
クロの強い言葉に、私は深く頷いた。
私とクロ、そしてハクの魔法で、この屋敷は長い時間をかけて廃墟のような状態から、とても快適な住まいへと生まれ変わったのだ。
毎日丁寧に掃除をしている美しい木の床や、綺麗に拭き上げられた窓ガラスが、騎士たちの土足で踏みにじられるのは、私としても絶対に嫌だった。
それに、みんなで苦労して耕した畑や、大きなガラスの温室が荒らされてしまうのも見たくない。
「私もクロの意見に賛成よ。せっかく綺麗にした屋敷を汚されたくないもの。私たちの生活の大切な場所を、あんな連中に壊されるいわれはないわ」
私がそう言うと、エルフの青年が静かに口を開いた。
「我々も同じ考えです。あのような武装した集団をまともに相手にすれば、被害は避けられません。ですから、彼らがこの離宮にたどり着く前に、森の中で相手の戦力と気力を徹底的に削ぎ落とすのが得策でしょう」
「森の中で……具体的にはどうやって足止めするの?」
「我々エルフは、森の植物たちに働きかけ、周囲の景色を本来とは違うように見せる幻惑の魔法を使うことができます。道があるように見せて行き止まりに誘導したり、同じ場所を何度もぐるぐると歩かせたり。彼らは森の中で道に迷うことになるでしょう」
エルフの青年は、自信に満ちた声で作戦を説明してくれた。
重い鎧を着て森の中を歩き回るだけでも体力を消耗するのに、道に迷って出られなくなるというのは、相当な疲労につながるはずだ。
果てしない迷路に閉じ込められれば、屈強な騎士たちも少しずつ冷静さを失っていくに違いない。
『なるほど、それは素晴らしい考えですね。エルフの方々の魔法で敵を迷わせている間に、私が彼らの足元に特別な罠を仕掛けてあげましょう』
クロが、感心したように頷きながら提案を重ねる。
『私が土属性魔法を使えば、彼らが歩く地面を、底なし沼のような深い泥に変えることができます。重装備の騎士たちにとって、足元がぬかるむことは最大の苦痛になるはずです。歩くたびに足が沈み込めば、体力の消耗は計り知れません』
「それはすごいわね。重い鎧を着て深い泥の中を歩くなんて、想像しただけでもすぐに疲れてしまいそう」
エルフの幻惑魔法と、クロの土魔法による足止め。
この二つを組み合わせれば、騎士団は屋敷にたどり着く前にボロボロになるだろう。
力で正面からぶつかるのではなく、相手の体力を奪うことに特化した、とても賢いやり方だ。
『それなら、俺たちの出番だな!』
山猫のリーダーが、元気よく声を上げた。
彼は鋭い牙を見せて、口の端を吊り上げている。
『道に迷って泥まみれになり、疲れ果てた連中が、夜になって眠ろうとした時が俺たちの狙い目だ。暗がりの中から忍び寄って、奴らの食料袋を爪で切り刻んでやる。水筒にも穴を開けて、飲み水も奪ってやるぜ』
山猫の言葉を聞いて、避難猫たちがざわめいた。
王都から逃げてきた彼らも、何か自分たちにできることはないかと身を乗り出そうとしている。
『今度こそ、俺たちも手伝うニャ! 一緒に森に行って、あいつらに嫌がらせをしてやるニャ!』
避難猫の一匹が、しっぽをピンと立てて叫んだ。
しかし、私はすぐに首を横に振った。
「気持ちはとても嬉しいけれど、やっぱり、あなたたちはこの屋敷の中にいるべきよ」
『どうしてニャ? 俺たちだって、姉ちゃんの役に立ちたいニャ!』
「あなたたちは、王都の人間たちからひどい扱いを受けて、ここまで逃げてきたのでしょう。あんな野蛮な騎士たちの前に、あなたたちを立たせるわけにはいかないわ。森の中は夜になると危ないし、万が一のことがあったら大変よ」
私が優しく言い聞かせると、避難猫たちは少し不満そうにしながらも、素直に耳を伏せた。
「それに、この屋敷の中で留守番をしてくれる誰かが必要なの。私が料理を作ったり薬を用意したりする間、万が一ネズミや虫が入ってこないように、しっかり見張りをしてほしいのよ。それは、あなたたちにしかできない大切な仕事だわ」
『……わかったニャ。俺たち、ここでしっかりお留守番をしてるニャ』
避難猫たちが納得してくれたのを見て、山猫のリーダーが力強く頷いた。
『おう、お前たちはここでゆっくりしてな! 森の案内と夜襲は、この北の森を知り尽くした俺たち山猫の得意分野だ。人間たちは夜の森では目が見えない。だから、少し離れた安全な場所から、一晩中、気味の悪い遠吠えで威嚇してやるのさ。そうすれば、あいつらは怖くて一睡もできないはずだぜ!』
「みんな……」
山猫たちの提案に、私は感心してしまった。
彼らは自分たちの体の小ささや、正面からぶつかる力が弱いことをよくわかっている。
だからこそ、人間が一番嫌がることを、一番効果的な方法で実行しようとしているのだ。
武器を使って戦うのと同じくらい、いや、それ以上に精神を削る恐ろしい嫌がらせだ。
眠ることもできず、水も食料も奪われれば、どんなに強い騎士でも戦う気力なんてあっという間になくなってしまうだろう。
『ふんっ! そんなちまちましたことをしなくても、我が行って一息に燃やしてくれば済む話ではないか!』
テーブルの中心で丸くなっていたハクが、つまらなそうに鼻を鳴らした。
彼は自分の長いしっぽをパタパタと動かしながら、大きなあくびをする。
『我の超高温の炎があれば、鎧ごと灰にできるのだぞ。何をそんなに面倒なことを話し合っているのだ。我が一鳴きすれば、人間どもなどすぐに逃げ出していくというのに』
「ハク、それは駄目よ。森が火事になってしまうじゃない」
私が慌てて止めると、ハクは不満そうにそっぽを向いた。
「エルフのみんなの大切な故郷の森を燃やすわけにはいかないわ。それに、相手の命を奪うようなことは、できるだけしたくないの。彼らを追い払って、二度とここへ来ないように諦めさせることが私たちの目的なのだから」
『ちっ、人間というのは本当に面倒くさい生き物だな。まあいい、我はここで美味い飯を食いながら、あいつらが勝手に降参するのを待ってやろう』
ハクが偉そうに言うと、食堂に集まったみんなの間から、小さな笑い声が漏れた。
緊迫していた空気が、彼のその一言で一気に和らいだのだ。
こうして、私たちの迎撃作戦は決定した。
屋敷を汚さず、エルフの魔法とクロの魔法で森の中で騎士団の足を止め、山猫たちの夜襲で戦力と気力を削り、最終的に離宮の前ですっかり心を折るという作戦だ。
みんなの顔には、不安よりも、自分たちの家を守るという強い意志が表れていた。
◇
作戦会議が終わった後、みんなはそれぞれ準備に取り掛かった。
エルフたちは森の入り口へ向かい、結界を張るための準備を始めている。
クロは屋敷の周囲を見回り、土魔法の仕掛けに問題がないかを確認していた。
山猫たちも、夜の嫌がらせ作戦に向けて、爪を研いだり、仲間に声をかけたりして気合を入れている。
避難猫たちは約束通り、屋敷のあちこちに散らばって見回りを始めてくれた。
そんな中、私だけは一人、配膳室に残っていた。
私には、エルフたちのような森を操る魔法はない。
クロのような強力な土魔法も使えないし、山猫たちのように素早く動いて敵を翻弄することもできない。
私にあるのは、水属性の魔法と、動物たちの言葉がわかることだけだ。
「私にできるのは、みんなを後ろから支えることだけね」
私は独り言をつぶやきながら、棚から大きなすり鉢とすりこぎを取り出した。
これから戦いに向かうみんなが、もし怪我をしてしまったら。
その時のために、手作りの薬を準備しておかなければならない。
私は冬の間に森で採集しておいた、特別な薬草の乾燥した葉をすり鉢の中に入れた。
そして、すりこぎを使って、ゴリゴリと力強くすりつぶしていく。
普段なら、水属性魔法の『ヒール』を使えば、小さな怪我はすぐに治すことができる。
しかし、今回は相手が大軍だ。
いつ、誰が、どれくらいの怪我をするかわからない。
もし複数の仲間が同時に怪我をしてしまったら、私の魔力だけでは足りなくなるかもしれない。
だから、いざという時のために治癒魔法の魔力を温存しておかなければならないのだ。
ゴリゴリ、ゴリゴリ。
すり鉢の中で薬草が細かく砕かれ、独特の強い香りが配膳室に広がっていく。
腕が痛くなってきたが、休むわけにはいかない。
私は額の汗を手の甲で拭いながら、ひたすらにすりこぎを動かし続けた。
細かくなった薬草に、清潔な水を少しだけ加え、粘り気のあるペースト状にしていく。
これが、傷口に塗るための『冬の薬草ペースト』だ。
小さな木の壺にペーストを詰め込み、蓋をしっかりとしめる。
これをいくつも作り、いざという時にすぐに使えるようにテーブルの上に並べていった。
これだけあれば、ある程度の怪我にはすぐに対応できるはずだ。
私はズラリと並んだ木の壺を見て、少しだけほっと息をついた。
「よし、薬の準備はこれでいいわね。次は、ご飯の支度だわ」
私は手を洗い、かまどの前に立った。
これから厳しい戦いに向かうみんなのために、最高に美味しい料理を作って送り出さなければならない。
美味しいものを食べれば、力も湧いてくるし、気持ちも前向きになるはずだ。
戦いの前には、しっかりと腹ごしらえをすることが一番の力になる。
私は温室で採れたばかりの新鮮な野菜を水で洗い、包丁で手際よく切っていく。
大根、人参、玉ねぎ。
どれも大きく育っていて、切るたびに瑞々しい音がする。
そして、メインとなるのは、エルフたちから交易でもらった『秘伝の極上肉』だ。
普段はもったいなくて少しずつしか使わないが、今日は特別だ。
大鍋にたっぷりの肉を入れ、表面にこんがりと焼き色がつくまで炒める。
お肉の焼ける香ばしい匂いが立ち上り、それだけでお腹が鳴りそうになる。
そこに切った野菜を加え、水属性魔法の『ウォータ』で作り出した澄んだ水をたっぷりと注ぎ込む。
かまどに薪をくべ、火属性魔法の代わりに、火打ち石を使って慎重に火を起こした。
パチパチと薪が燃える音がして、鍋の中のスープが静かに煮立ち始める。
私はあくを丁寧に取り除きながら、みんなが喜んでくれる味になるように、塩とハーブで味を調えていった。
「美味しくなぁれ、美味しくなぁれ……」
鍋をかき混ぜながら、私は小さく声に出して祈った。
どうか、みんなが無事に帰ってきますように。
誰も傷つくことなく、この理不尽な争いが終わりますように。
コトコトと煮込むうちに、配膳室の中は温かいシチューの匂いでいっぱいになった。
それは、王都の屋敷で食べていた冷たくて味気ない食事とは違う、心から安らぐことのできる、本物の家族の匂いだった。
この匂いを嗅いでいるだけで、私は一人じゃないのだという実感が湧いてくる。
どんな敵が来ようとも、私たちなら絶対に乗り越えられる。
そう確信しながら、私はシチューの味見をして、満足のいく出来栄えに小さく頷いた。
◇
外が暗くなり始めた頃、食堂には再びみんなが集まってきた。
テーブルの真ん中には、私が作った大鍋のシチューが湯気を立てて置かれている。
焼きたてのふかふかなパンも籠に山盛りに用意した。
『おおっ! これは素晴らしい匂いだ! 我の腹が待ちきれないと言っているぞ!』
ハクがいの一番にテーブルに飛び乗り、大鍋を覗き込んで鼻をひくひくさせている。
クロも自分の席に座り、上品に前足を揃えていた。
エルフたちも、山猫も、お留守番をしてくれる避難猫たちも、みんな嬉しそうに席につき、私の合図を待っている。
「みんな、今日はたくさん食べてね。極上のお肉をたっぷり使った、特製の決起集会シチューよ」
私がそう言うと、食堂の中に歓声が上がった。
私は深めの木のお皿にシチューをたっぷりとよそい、次々とみんなの前に置いていく。
ハクの皿には、特に大きなお肉の塊をいくつか入れておいた。
『うむ! いただきます!』
ハクは挨拶もそこそこに、お肉に噛み付いた。
『美味い! 美味すぎるぞカトリーナ! この肉の柔らかさといい、野菜の甘みといい、まさに王の食事にふさわしい!』
ハクは口の周りをシチューだらけにしながら、夢中になって食べている。
クロも熱いシチューをふうふうと冷ましなから、ゆっくりと口に運んでいた。
『本当に、心に染み渡る美味しさです。この温かさがあれば、北の冷たい風など全く気になりませんね。素晴らしいお料理です、カトリーナ様』
エルフの青年も、パンをシチューに浸しながら、目を細めて味わっている。
「カトリーナ殿の料理は、本当に不思議な力がこもっています。これを食べれば、どんな困難にも立ち向かえるような気がします。体の奥から力が湧いてくるようです」
『人間の姉ちゃんのご飯は、いつ食べても最高だぜ! これなら一晩中走っても疲れないな!』
『お肉がとろとろで美味しいニャ! お留守番、頑張るニャ!』
みんなの嬉しそうな顔を見ていると、私の胸の中は温かい気持ちでいっぱいになった。
王都にいた頃、私はいつも一人で食事をしていた。
長いテーブルの端と端に座り、無言で冷たいナイフとフォークを動かすだけの時間。
そこには、こんなふうに笑い合い、美味しいねと言い合える相手はいなかった。
でも、今は違う。
私には、こんなにもたくさんの大切な家族がいるのだ。
この温かい食卓を守るためなら、私はどんなことだってできる。
そう、心から思うことができた。
大鍋いっぱいにあったシチューは、あっという間にみんなの胃袋へと消えていった。
籠に山盛りだったパンも、一つ残らず綺麗になくなっている。
お腹がいっぱいになって、みんなの顔には大満足の表情が浮かんでいた。
◇
食事が終わり、空にはたくさんの星が瞬く夜になった。
いよいよ、みんなが出陣する時間だ。
屋敷の玄関ホールに、ハク、クロ、エルフたち、そして山猫と避難猫たちが勢揃いしている。
照明の明かりが、みんなの真剣な顔を照らし出していた。
『おい!我の言葉をよく聞け!』
玄関の大扉の前に置かれた木箱の上に乗り、ハクが偉そうに胸を張って声を張り上げた。
『我の安眠を妨げようとする愚かな人間どもに、我らの恐ろしさをたっぷりと教えてやるのだ! いいか、一人残らず泣いて逃げ出すまで、徹底的に痛めつけてやれ! 我が直々に出向くまでもないことを証明してこい!』
ハクの号令に、みんなが力強く頷いた。
クロは風属性魔法で自分の周囲の空気を引き締め、エルフたちは森に向かって静かな祈りを捧げている。
山猫たちも、しっぽを大きく振って戦意を高めていた。
「みんな、気をつけてね。絶対に無理はしないで、危なくなったらすぐに逃げるのよ」
私は出陣するみんなの前に立ち、一人ひとりの顔をしっかりと見ながら言った。
『心配はいりません、カトリーナ様。執事として、必ず素晴らしい仕事をしてご覧に入れます。屋敷の留守はよろしくお願いいたします』
クロが優雅にお辞儀をする。
「我々にお任せください。森の怒りを、彼らに思い知らせてやります。必ずや、勝利の報告を持ち帰りましょう」
エルフの青年も、力強く頷いた。
『姉ちゃんは、屋敷の中でゆっくり待っててくれ! 明日には、奴らの泣き顔を報告しに来てやるからな!』
山猫のリーダーがそう言うと、山猫たちは一斉に元気な声を上げた。
私は腕の中に、怪我が治って元気になった銀色の子猫を抱きかかえていた。
子猫は私の腕の中で、不思議そうにみんなの顔を見つめている。
足元には、お留守番を任された避難猫たちが、出陣する仲間たちを頼もしそうに見上げていた。
「お願いね、みんな。どうか無事で戻ってきて」
私がそう言うと、クロが静かに大扉を開け放った。
夜の冷たい風が、玄関ホールに吹き込んでくる。
エルフたちが、音もなく夜の暗がりの中へと消えていく。
それに続いて、山猫たちが、素早い動きで森へ向かって駆け出していった。
最後にクロが、私に向かって一礼し、見えなくなるように姿を消した。
ハクだけは、木箱の上に乗ったまま、大きくあくびをしている。
『さて、我はもうひと眠りするとしよう。あいつらが手こずるようなら、後で我が出て行ってやる』
「ハクはここで待機ね。何かあったら、すぐにお願いするわ。ゆっくり休んでいてちょうだい」
私はハクの背中の毛並みを優しくすいてあげた。
ハクは気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロと鳴らしている。
大扉を閉める前、私はもう一度、誰もいなくなった夜の森を見つめた。
木々のざわめきだけが聞こえる、静かな夜だ。
しかし、あの森の奥では、今まさに私たちの居場所を守るための戦いが始まろうとしている。
私にできるのは、ここで彼らの帰りを信じて待つことだけだ。
「大丈夫。みんななら、きっとやり遂げてくれる。私たちは、もう誰にも負けないわ」
私は腕の中の銀色の子猫を抱きしめ、重い大扉を静かに閉めた。
どうか、みんなが無事に帰ってきますように。
私は扉に背中を預け、祈るように両手を組んで、静かな夜の時間を過ごすのだった。




