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彼らは歌う自分のために  作者: 高月水都


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 当たり前すぎた。

 傍にいるのが当然で、いつもその行動に助けられていたのにそれも感謝すらしないで空気のように受け入れていた。


 自分の側にはユゼルがいる。

 離れないと無意識に思っていたのが壊れた。


 思い出してみると【完璧な人間】を目指していたのは主に対しての恩ではなく、ユゼルと一緒にいるための手段だった気がする。


 その時点でそれは【完璧な人間】ではない。


(だけど、それでいい)

 完璧じゃなくてもいい。完璧にならなくてもいい。


 自分の側にはユゼルが居て、ユゼルの側に自分がいる。


 それが真理。


 それでいいのだと今更思う。だから、使い魔の契約という形で斬れない絆を作るのはいいと思う。


(だけど………………今更ながら)

 使い魔の契約を書き換える。


 その負担がユゼルに掛かるのは納得いかない。ユゼルはずっと自分を守ってくれていたのに。ユゼルにばかり負担を掛けて………。


 そんなことばかり考えていた。


 そんなことをぼんやりと考えていたからか。身体………ではなく魂に何かが絡みつくような感覚がしたような気がした。


 遠慮するような僅かな気配。慎重に慎重に絡みついてそれは中に入ろうとする。

(ユゼル……)

 ふとそれがユゼルの気がした。


 そっと呼び掛けていたのだろう。絡みついたそれがそっと応えるようにこちらに意識を向けるような感覚……。


――リューちゃん………

 呼びかけられる。


 苦しそうでも、辛そうでもなく。嬉しそうな思念。


 ああ、苦しくないのならいい。辛くないのなら大丈夫。良かった。


 そう思ったら矢先に、ふと自分の視界の中に自分が見える感覚がした。


 ああ、これが使い魔の契約か。


 それがユゼルを通して見える世界だと説明される前に察したのだった。

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