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彼らは歌う自分のために  作者: 高月水都


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タイトルに迷っていた。もしかしたら変更するかも

 彼には理解できなかった。

「ここの計算が間違っているのはお釣りを間違えているからだろう」

 何で”完璧なはずの”人間が間違えを犯すのか。





「リューちゃん。また首になったの?」

「ユゼル」

 帰路の途中に紙袋を抱えたユゼルと合流する。


「見て見て。仕事の途中で迷子のお婆さん見つけてさ~。お婆さんをおうちまで送り届けたらお礼って言われてたくさんの果物もらったんだ~」

 紙袋にはたくさんのミカンやリンゴなど。


「リンゴとミカンを一緒にすると発酵速度が速まるぞ」

「もって帰る時までは一緒の方が都合いいじゃん♪」

 その方が楽だしと言ってくる様に呆れるしかない。

「そんな態度だといつまでたっても”完璧な人間”になれないぞ」

 だからお前は駄目なのだと忠告をすると。


「なあ、完璧な人間ってさ……」

 ユゼルが何か言おうとしたが、それより前に家に到着する。


「今戻りました」

「ただいまっす」

 家というよりも工房の中に入り、ユゼルが貰った果物が机に置かれる。机に置かれたのを見てすぐにリンゴとミカンを分ける。


「お帰り」

〈オカエリデスデス〉

 迎えてくれるのは一人の男性と鳥かごの鳥が一羽。


 男性が鳥かごを開けると同時に鳥がかごから出てきて、

「なんデスか? 果物デスか?」

 金髪の少年に姿を変える。


「そっ、セッくんリンゴ好きだよね」

「好きデス。今は人間の姿ですから兎の形にしてほしいデス」

 先ほどまで翼だった右手を挙げてお願いするのにユゼルは頷いて、包丁であっという間に兎リンゴを作っていく。


「リンゴはすぐに塩水につけろ」

 茶色くなるんだぞと注意をして塩水を用意して兎リンゴを入れていく。


「酷いデス。下さいデス」

「お前もだ。セッテアール。”完璧な人間”は食べる前に手を洗い、うがいをするものだ」

「”完璧な人間”……」

 今すぐ食べようと手を伸ばしていた鳥になった少年――セッテアールはこちらの言葉を聞いて手洗いうがいに向かう。


「お前もだユゼル。帰ってきたら手洗いうがいを……」

「リューちゃんは厳しいな~。切る前に手を洗ったし、うがいもそんな急いでしなくても俺ら【使い魔】だから風邪ひかないじゃん」

「お前はっ」

「リュースティンの言うとおりだ。僕の作る完璧な人間になるためには人間の決まりを守ってもらう」

 男性の声にユゼルは何か言おうとして口を閉ざす。


「僕こそが”完璧な人間”を作るのだから」

 男性の言葉に当然だとばかりに頷く。




 リューステインとユゼル。後、セッテアールの他にも数体いる【使い魔】の主である男性は不老不死を謳歌している魔法使いの一人である。

 かつて不老不死を研究して成してしまった多くの魔法使いは暇をもてあそばない様に時折集会を開いて、課題を出し合っていた。


 そして、数年前に出された課題は【完璧な人間】


「お任せください」

 どんな方法でもいい。ただし、本物の人間を使うのは禁止という課題でリューステインの主は動物を大量に使い魔にして、完璧な人間として振舞うように命じたのだ。


 敬愛する主君のためなら【完璧な人間】になってみせる。


 そんな返答をするリューステインにユゼルは冷めた眼差しを向けていた。



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