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1-1 感動の再会と宣戦布告

いつもより桜が散るのが遅いのか桜が舞う2012年4月7日の朝。この日は市内の小中高校で入学式が行われるため市内の学校の前で入学祝いの記念撮影をしたりしている。


「今年は桜が入学式に間に合ってよかったわ〜」

母がフロントガラス越しに桜並木を眺めながら声を弾ませる。


「本当にそうですね、おば様。桜って……気持ちを新しくしてくれますよね」

雫葉は少し緊張した声で答えた。丁寧語なのに、語尾がほんの少し揺れる。慣れていないのが丸わかりだ。


向かっている先は俺たちが入学する市立【ミサゴ中学校】。

懐かしいがもう二度と足を運ぶことは無いだろうと思っていたがまさかこんな形でまた来るとは思ってなかった。不意に俺の中に昔の記憶が蘇る。


―――

「ミサゴ中学校の名前ってダサいからオスプレイ中学校にしたらいいのにな〜」

「お前本気かよ?オスプレイって米軍の輸送機だろ?たしかにかっこいいけどアメリカじゃないからダメだな」

「でもカッコイイからいいだろ!」

小学校からの腐れ縁で28でもニートの俺でもネット上では繋がっていて俺を雑多オタク沼に落とした超オタク男谷川 彰(たにがわ あきら)との会話を思い出し吹き出してしまった。


「何笑ってるのあーくん?」

雫葉は不思議そうに見つめてきた。それより今なんか変な呼ばれ方していたような気がしたが気のせいだろう。

「えっなんでもないよ、ちょっと昔のことを思い出しただけだよ」

「昔って小学校の時のこと?そんな昔じゃないでしょ、あーくん変なこと言わないで……じゃなかった朝陽、中学生になっても変なことしないでね」

「いや、偶然だと思うけど……昔みたいに呼ばれると、ちょっと照れるだけだ」

「……っ! そ、そんなつもりじゃないよ……」

雫葉は小さく咳払いして、視線を逸らした。」

少し声が荒い感じで言ってしまったのかビクッと雫葉は肩をすくませた。

「あさひ、しーちゃんが昔のあだ名で呼んだくらいで 変な風にいわないの。それにあんたは小学校の時は落ち着きなかったからしーちゃんはあんたがやらかさないか心配してんのよ」

「ごめんなさい、雫葉。心配してくれてありがとうな。でも、俺はもうやらかしたりしないから心配すんなよ」

雫葉は「ありがとう!」と言って笑顔でまた母と清楚な口調のまま話している。

こんなチョロいやつだったけこいつ?

もっと、見た目に反したツンデレ女子だった気がするし清楚口調も使ったがここまでは無かった。

ただのタイムリープではなく別の過去に転生したのかと疑いはじめてしまう。

「ついたー!2人とも入学式に行くわよ!」

母はかなりのハイテンションで体育館に向かうが気になったことがあったので雫葉に聞いた。

「あれ、雫葉のお母さんは入学式来ないのか?」

「朝陽、しーちゃんのお母さんは高校の先生だから入学式でいないのよ。忘れたの?」

「そうだったのかごめん。」

「ごめんね、しーちゃん……」

「いえ、大丈夫ですよおば様。あーく、朝陽が忘れっぽいのはいつもの事なので」


母が言うまで普通に忘れていた。


学校に到着すると既に新入生とその保護者達でごったがえしていた。


「これより入学式を始めます!入学される生徒と保護者の方は受付に来てください!新入生は張り出してある紙にクラス一覧表に名前が書いてありますので名前の確認をお願いします!」


案内役の若い女性教師が大きな声で生徒や保護者を案内していた。


「俺達も行くか」


俺はクラス一覧表クラスは1-E、雫葉と同じクラスだった。雫葉は嬉しいのか眼鏡を上げて小さいガッツポーズをしていた。

「また、1年E組か……浅倉達もいるのか……。うん?彰に玲央もいるじゃん!これは勝ちだな。」

1番見たくない名前がクラス一覧表に書かれていた。

だが、これが過去ならクラスメイトも同じだろうと思ったが雫葉に彰、そして小鷹野玲王(おだかのれお)がいるから安心だ。

俺が24歳の時に玲央が結婚してから音信不通になっていたがそれまでは親友の1人だった。

クラスの人間が俺に有利に変わったのは【チート】みたいなもんなのだろうか?

だが、俺は中1の終わり頃に浅倉大我に本格的にいじめられた傷が中々癒えず惨めなニート生活を送っていたがこのチート能力【生前の記憶と知識と技】を活かして奴らに復讐すると誓った。

♢♢

俺達は席につき入学式特有の校長の長い挨拶と、来賓の祝辞、そして新入生の担任紹介といった通過儀礼が終わり全校生徒の拍手が体育館に響く。


「以上をもちまして、平成年度入学式を終了いたします」

担任の先生に促され、俺たちは体育館からぞろぞろと立ち上がった。ここからはクラスごとの移動時間――つまり自由時間だ。

クラス一覧表に書かれていた教室に各々でクラスに向かっていた時だ。早く彰と玲王に会って久しぶりに話したい、そう思っていた時だった。


突然、訳の分からないやつに襟首を捕まれて絡まれた。


「おい、朝陽!調子にのんなよ、今度調子に乗ったら兄貴呼ぶからな」

「は?誰だよおまえ?」


ついドスの効いた声で絡んできた奴に返す。

一瞬、少しガタイが良く目つきの悪いパーマがかかった髪の男子は怯んだがすぐに怒鳴ってくる。

「は?オレは岩崎雄太(いわさきゆうた)だ、お前舐めてんのかよ...」

岩崎の趣味の悪い笑いが含んだ不快な声が気持ち悪いのでよく岩崎のことを見た。


「あああ!あの岩崎か〜ごめん忘れてた!あと学ランの襟が乱れるから触らんでくれるかな?」

パシッと学ランの襟首を掴む岩崎の手を払う。

「テメェ...本当に覚えとけよ、終わったら体育館裏な」


岩崎は捨て台詞を履いてDクラスに入っていった。

なんだ同クラじゃないのかと少しガッカリ気持ちと安堵した気持ちで心が疲れた。

岩崎は小6のときに友達付き合いはしていた同じ小学校出身だ。いじられてはいたがいじめられた記憶はない。

中学も他クラスで高校も別だったので存在を忘れていた。それにしても俺は調子に乗るようなことはしてない。中学当時の俺はケータイもPCも持ってない非ネット少年だった。それにLINEといったSNSもまだ普及してない時期だ。何に対しての怒りか分からんが宣戦布告もされたわけだし、早く自分のクラスに入ってやり直し生活を満喫するか。


♢♢


午前10時 1-E。

生徒が多い市立ミサゴ中学は1年から3年まで6クラス合計18クラスある生徒数が多い学校だ。3つの小学校から生徒が集まってくるため生徒数が多い。

「皆様初めまして〜1年間担任を務めます、一色永奈(いっしきえな)です!担当科目は国語です!1年間が、頑張りましょう!」

入学式に案内をしていた若い先生が担任になった。

24歳ぐらいだろうな。俺が知っている過去だと中1の時の担任は40代の女性数学教師だった。やっぱり、俺の知っている過去とは少し違う。

席は名前順なので教室を真ん中にして右の前から2番目で右の席だ。隣は廊下のガラス窓になっている。

1年生があるのは北校舎の1階だ。

外から見える中庭ではしゃいでる先輩たちがいた。

今日は入学式なので2年生、3年生は休みだ。彼らは”ヤンキー”と呼ばれる先輩方だ。

どうやら先輩風紀委員や生徒指導の先生方と”お遊び”しているみたいだ。若いっていいなァ。いまのおれも若いけどと心の中で突っ込む。

「机の上に教科書や保護者の方への書類があるので不備がないか確かめてくださいね!明日は始業式が終わったあとのLHRで自己紹介をしてもらいます!今日はこれで終わりです。ありがとうございました!

「「ありがとうございました!」」


こうして入学式からクラスの担任紹介の通過儀礼も終わり解散となる。


「朝陽!待てよー!同じクラスなんだし記念撮影してから帰ろうぜ!ってどうした朝陽涙なんて出して?

「そうだよ朝陽、雫葉さんも待ってるんだ一緒に記念撮影しよ?おい、どうしたんだよ?

玲王と彰とようやく話せた俺はつい目頭が熱くなる。


「ごめん、なんでもないんだ。お前たちに会えて嬉しくてな、ついな。」

「そんなこと言ってもお前も彰も先週遊んだばかりじゃん?変なやつだな〜」

「とりまそれより撮影しようぜ、ちょっと母さんにメールするね!」

彰はガラケーを取りだし彰母にメールを打っていた。ちなみに中学校はガラケーは持ち込み禁止だ。

でも、そんな校則を守っているやつは前の人生でも今でも居ないみたいだ。一色先生が教室から出たあとみんなガラケーいじってる。大丈夫なのか?

そんな俺もこれからちょっと呼び出し受けていたので顔を出してくるから人の事をいえないか。

「悪いけど2人とも待ってくんない?用事があるんだすぐ終わらせるからさ」


2人のキョトンとした顔を他所におれは隣のDクラスに乗り込んだ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


第1話では、過去によく似た世界に立つ主人公が、“もう一度始まる中学生活”の扉を開きました。

次回はバトル回!


引き続きお楽しみください!

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