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17話

 翌朝、目が覚めるとわたしを挟むようにして眠っていたお医者様とマダムは死んでいました(﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅)


「……え?」


 なにかの間違いだろうと思って、何度も二人に声をかけながら揺すりますが、うんともすんともいいません。

 昨晩に感じていた暖かさはなんだったのか。それこそ夢だったかのように、今は冷たくなってしまっています。唇は青く、肌も血色を失って青白くなっていました。


「だれか……だ、だれか!」


 わたしは急いで家を飛び出しました。

 まだ助かるかもしれない。助けられるかもしれない。そんな(わら)よりも脆く儚い希望に縋り付くように近所の家のドアを力強くノックしました。


「君はお隣の……? どうしたんだい?」


 血相を変えて声を上げるわたしの様子にすぐさま異変を感じ取って、中から出てきた男性が目線を合わせてくれました。

 お医者様のお世話になっておりご近所付き合いもあってか、この男性は顔見知りです。

 要領を得ないながらも事情を説明すると、「君はここで待っていなさい。よく知らせてくれたね」と言ってから男性は慌てて家を飛び出して様子を見に行ってくれました。


「これでもうだいじょうぶ……だよね」


 あとは大人の人に任せればいいはずです。わたしはほっと胸を撫で下ろしました。

 手を組み、目を瞑って祈るわたしの言葉は──誰の耳にも届きませんでした。神にさえも。


 ──そう。結局二人は助からなかったのです。


 もともとマダムは持病を患っていたそうで、お医者様も医者の不養生と言うやつか、ときおり心臓に不調を訴えていたそうです。ここ最近は調子が良かったらしく、わたしはそんな病気を持っていたなんて知りませんでした。

 今回は運悪く、眠っているときに、二人同時に、発作を起こしてしまった。

 あとで話を聞いた限りでは……そういうことのようです。

 速やかに葬儀が執り行われ、あっという間に二人は土の中へ埋葬。瞬きをしたら墓が建っていたと錯覚するほどでした。


「君はうちで預かることになったよ。思うところはあるだろうが、これからよろしく頼むよ。徐々に慣れていこうな」

「……うん」


 親戚の人などが集まって色々と話し合ってくれたようで、わたしの身柄はご近所の男性が引き取ってくれることになりました。




 ──しばらくして、その男性は階段から足を滑らせて転落死しました。

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