5. 進化
進化ボタンをタップした途端、凄まじい睡魔が襲ってきた。どうやら寝ている間に進化するようである。体が変形して進化していく様を見られないのは少々残念ではあるが仕方がない。私は睡魔に飲まれて深い眠りの底へ落ちていった。
『進化が完了しました』
『種族名:ブラック・アントに進化しました』
『ステータスが上昇しました』
『複数の特技を獲得しました』
『特技:黒糸が消失しました』
『SSポイントを5ポイント MGポイントを5ポイント STポイントを5ポイント獲得しました』
私は頭の中で突如響いた声に叩き起こされた。例の謎の声である。どうやら進化完了のお知らせだったようだ。進化完了以外にも色々と言っていたような気がするが面倒なので後にしよう。とりあえず進化した体の感触を確かめる。今までなかった手足が生えており、口には立派な牙がついていた。鏡はないのでどんな見た目になっているのかは分からないがきっと立派なアリになっていることだろう。
(とりあえず外に出よう)
私は繭を牙で切り裂くことにした。生まれた時に聞いたジャキジャキという音が自分の口元で鳴っていた。
(無事脱出!!)
結構時間がかかったが繭の外に出ることが出来た。人間だった頃は当然牙なんてなかったので、扱うのは結構骨だったのだ。だがこれでようやく自由の身だ。
(まずは美味しいもの探しだ~!)
早速子育て部屋を飛び出したのはいいものの一つ問題が存在した。題して"ここは何処?"問題である。タマゴ部屋から子育て部屋までの道しか知らないので、巣から出る方法が分からないのである。ステータスの画面にマップの項目がなかったかを見てみたが残念ながら存在しなかった。
(そういえば特技が増えたと言っていたような気がするな 何か役立つものがあるかもしれない)
ステータスの特技の項目を見てみる。
【特技】
・マーク
効果:匂いをつける
・サーチ
効果:匂いを探す
・アシッドインジェクション
効果:継続ダメージ(微小) ステータス微小低下
1番最後のものがすごく気になるが、とりあえず真ん中のサーチが巣から出るのに有用そうだ。早速使ってみよう。
(【サーチ】!!)
発動すると視界に桃色と紫色を足した色のモアモアが見えた。あれがフェロモンというやつだろうか。よく見ると一方向に向かって伸びている。私はモアモアが伸びている方向に向かっていくことにした。
道なりにしばらく歩いていると大きな部屋に出た。分岐点になっているようで沢山の道に分かれていた。沢山のアリ達が行き来している。口に何かを咥えているアリ達が向かって行っている先は食料庫だろうか。他にも岩を咥えて運んでいるアリなどもいた。
(【サーチ】!!)
もう一度サーチを使うと全ての道に対してフェロモンが伸びていた。
(あの道だけフェロモンの量が多いな)
沢山ある通路の一つだけ他の道に比べてフェロモンの量が多かった。恐らくあれが出口への道だろう。
道を進んでいくとだんだんと道幅が広くなっていった。そしてようやく道の終わりが見えてきた。
(やったー!)
私は遂に出口にたどり着いたのだった。しかし出口にはたどり着いたが残念ながら出た先は太陽の下ではなく相変わらず光る苔が光源代わりの薄暗い洞窟の中だった。早く美味しいもの探しをしたいところだが、未開の地を考えなしに進むのは危険だ。
(ここは慎重に進もう 暗くて視界も良くないし)
やはり石橋を叩いて渡るというのは重要である。
(とりあえず周囲を探索しよう!!)
まず重要なのは巣の周囲の生き物の探索である。危険な生き物がいる可能性もある。私は壁伝いに探索を開始した。




