7.雪兎の告解
そろそろ永華の方も更新しようと思ってます。
すみれは雪兎の見たことや、謝罪を聞いた。そして、静かに聴いた。
「それが全部?」
「うん。」
二人とも、小さな子供のように言った。
「なら、雪兎は私のこと嫌い?」
太陽が一瞬、雲に覆われた。
「そんなことないっ!!」
雪兎の大きな声。すみれはジワリと目を見開いた。
「そんなわけないっ! すみれのことを心配しなかった日が一日でもあったと思う? 僕は、ずっと君を、すみれのことを心配してた! すみれと話そうともしたよ? でも・・・でも、逃げていくじゃないか! すみれ、もっと僕に話してよ・・・。 確かに僕は役立たずかもしれない。 僕も避けてたかもしれない。 でも、もっと頼ってよ。 僕はずっと、想っていたんだよ。 あの四月の日、すみれと話せなくなったあの日から、ずっと!」
雪兎は泣き出しそうな目をしていた。彼の美しい焦げ茶色の瞳から、涙が零れ落ちそうになっていた。なぜ泣きそうなのか、すみれには分からなかった。ただ呆然として、雪兎を見上げていた。
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雪兎side
言ってしまった。雪兎は、呆然と座るすみれを見ていた。言ってしまったのだ。初めて出会ったときから十二年間、ずっと想っていたことを。僕はきっと泣きそうな顔をしている。でも、言わないといけないと思った。たとえ、涙が零れてしまったとしても。そうしないと、本当に遠く、儚く、散っていってしまいそうだったから。僕が君を嫌いになるなんて、ありえない。君には仲間がいるんだ、と気付いてほしかった。下から支えるでもなく、上で引っ張り上げるんでもない。ただ隣で、何かあったらすぐ、『何?』と聞ける位置にいたかったから。だから、僕は、君に言う。
ー僕が想ったすべてのことを。ー
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「何で? どうしてここまで想うの? 構うの? 昔から泣き虫で、人見知りで、引っ込み思案で。 ずっと迷惑しかかけ―――」
「迷惑なんかじゃないっ!!」
どうしたんだろう。今日の雪兎はとても感情的だ。いつも冷静で、優しく話を聞いてくれる彼とは正反対だ。それも、すみれと離れていた二年間のせいだろうか。
「ねえ、すみれ。今から君が驚くことを言うよ。僕が心の中で想っていたこと。」
すみれは戸惑っていた。冷静になった彼が何を言うのかと思えば、ずっと思っていたこと? 迷惑なのでも、嫌いなのでもない? 一体何を言われるのだろうか。
「僕はね、君のことが好きなんだ。 初めて会ったとき、仲よくしようって言ってくれたときから。 だから、嫌いになるなんてありえない。 分かった? すみれ。」
すみれはポロポロと涙を零した。雪兎は微笑んでいた。だから、すみれは、立ち上がって言った。
「ねえ、雪兎。 私はね、ずっと一人だった。 あの四月の日から。 一日一日、雪兎が離れていく気がして寂しかった。 だから、あなたには罰を受けてもらわないといけない。」
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