4.雪兎の回想1
はい、また更新期間が空きましたね。すいませぇぇぇんっ!!!!!
本当に、申し訳ありませんでしたぁぁぁっ!!!!!
「それは、すみれが心配だったから。」
雪兎が静かに口を開いた。
「あの頃みたいに。いや、あの頃よりずっとずっと苦しそうな、悲しそうな顔をしていたから。」
風がまたザーッと吹く。今度は雪兎を応援するように暖かく。一人、すみれを追いかけてきた雪兎に声をかけるように優しく。
雪兎はポツリ、ポツリと話し始めた。すみれが先生に呼び出されている間、誰かがすみれの荷物を見ようとしていたこと。雪兎が止めようとしたが、雪兎自身、他の先生に呼ばれてしまって声をかけられなかったこと。雪兎が急いで教室に返ってきたときには、もうその人はいなくなっていたこと。カバンのところに帰ってきたすみれがカバンのポケットを見て、そのまま駆け出して行ったこと。
「ごめん! 僕が止めたら良かったんだ、先生に待ってもらえば良かった。でも、僕も、僕も見ない振りをしようとしてしまった。あの時のみんなみたいに。あの4月の日のように。」
ー雪兎の回想ー
すみれは一人泣いていた。あの神社の裏で。二年前のことである。
すみれの祖母・梅が亡くなった、と聞いたのは、ちょうどサッカーの試合の日だった。雪兎は一年生ながら、試合に出場する予定だった。その試合前の時間、母にそのことを聞かされた。雪兎は今すぐにでも帰りたくなった。いや、帰ろうとした。でも、試合がある。出たくない。雪兎は生まれて初めて、母親に本当のお願いをした。
「母さん、今日の試合、出なくていい? せっかくのチャンスなのは分かってる。でも、出たくない。いや、出ないことにしてください。ごめんなさい。すみれのことが心配なんだ。怒るんだったら、後でしっかり叱られる。だから、だから行かせてください!」
思いっきり頭を下げた。二人の間には痛いほどの沈黙が流れた。それを破ったのは、母の笑い声だった。
「ふふふ。」
なぜ笑っているのだろう・・・?
「ふふっ、雪兎、そんなに頭を下げないで、親子なんだから。」
そっと頭を上げると、優しく微笑む母の顔があった。
「梅さんのことを伝えようと思ったときからわかっていたわ。あなたはすみれちゃんを心配するってね。もし、雪兎が何も言わなかったら逆に怒ってたわ。だから、行ったらいいわ。いえ、行きなさい、雪兎。監督さんにはいいように言っておくから。誰も怒りなんてしない。ね、雪兎。」
「っ! ありがとう、母さん。」
雪兎はそのまま神社へと駆け出した。なぜだか分からないけど、絶対にすみれはそこにいると、確信していた。雪兎は、まだ背丈はすみれと同じくらい。足の速さも速い内に入るくらいで、特別速いわけではなかった。だからもどかしかった。
(´;ω;`)
誤字報告ありがとうございます・・・!(リアルの方)