3.雪兎の秘められた想い
m(_ _"m)スライディング土下座ァーーー!!!
雪兎side
「ねえ、雪兎。」
名前を呼んでくれた。もうきっと呼ばれないと思っていた人に。学校でも話すときには「霜鶴君」と、名字だったから。だからはじけるほどの笑顔で応じた。
「何?」
「あなた、怪我してるでしょ。」
言われてしまった。気付かれてしまった。彼女の前では弱いところを見せたくないと思い始めたのは小学5年生のころからか。だから、少し困ったように笑って言ったのだ。
「バレちゃうな、折角カッコよく見せようと思ったのに。さすがだよ、すみれ。」
すみれは少し泣きそうで、でも、冷静に淡々と僕に言った。
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと手を出しなさい。」
その言葉には、傷への心配と傷への罪悪感があったのか、すみれの纏う空気に僕は息をのんだ。そして、素直に手を差し出した。すみれは、小さい頃から持ち歩いている救急セットからガーゼとカットバンを取り出した。あのカットバンだ。僕は嬉しくなった。すみれだけが持っている特別なカットバン。そして、手を消毒し始めた。小さくて白い手。昔みたいに手を比べたら、きっと僕より一回りは小さいだろう。ふと見ると、すみれがガーゼを持ったまま固まっている。こうやって話すのも二年ぶりなのだ。すみれも何か思うところがあるのだろう。でも、僕は声をかけた。だって、すみれは僕の手を握ったままなのだ。
「何か入ってる?」
すみれはハッとして、何か焦ったような、照れたのを隠すような早口でこう言った。
「何でもないよ、カットバン貼るね。」
「カットバンくらい貼れるけど・・・」
彼女が譲らないのを知っていて言った。だって、こう言うと彼女は決まって、
「これ、特別なんだから。」
と言って貼ってくれるから。実際にあのカットバンは普通のカットバンとは違い、髪をはがすところが三か所ある。・・・でもまあ、小さい頃からずっと見てきた僕は貼れるのだけれど・・・。
「・・・・・」
すみれが小さい声で何かを呟いた。きっとすみれは聞かれていないと思っているだろう。だが、そんなことはない。僕が怪我をしたときには、絶対にこれを言うから。
「早く治りますように。」
と。僕はすみれの言ってくれるこの言葉が一番『特別』だった。だからこう言ったのだ。
「小さい頃に戻ったみたいだ。」
そして小さな声で付け加える。
「ありがとう。本当に、特別だ。」
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「さてと、で、何で探してくれてたの?」
それだけは聞きたかった。そんなことを言っても、雪兎はなかなか答えようとしなかった。風が吹き、木の葉がひらりと舞う。サァーっとした一陣の風と共に、木々が騒めく。木の葉が、くるり、ひらり、と舞い終わり、地に落ちる音が聞こえるほど静かだった。まるでこの世界に二人しかいないかのように。
大変、大っ変遅くなりました!!!!!
永華の方の更新に気を取られすぎていました!!!!!
本当にすいませんでしたぁっ!!!!!