表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伊吹 ~雪どけ、そして春は来る~  作者: 春風 すみ
3/12

3.雪兎の秘められた想い

m(_ _"m)スライディング土下座ァーーー!!!



雪兎side



「ねえ、雪兎。」


名前を呼んでくれた。もうきっと呼ばれないと思っていた人に。学校でも話すときには「霜鶴君」と、名字だったから。だからはじけるほどの笑顔で応じた。


「何?」

「あなた、怪我してるでしょ。」


言われてしまった。気付かれてしまった。彼女の前では弱いところを見せたくないと思い始めたのは小学5年生のころからか。だから、少し困ったように笑って言ったのだ。


「バレちゃうな、折角カッコよく見せようと思ったのに。さすがだよ、すみれ。」


すみれは少し泣きそうで、でも、冷静に淡々と僕に言った。


「馬鹿なこと言ってないで、さっさと手を出しなさい。」


その言葉には、傷への心配と傷への罪悪感があったのか、すみれの纏う空気に僕は息をのんだ。そして、素直に手を差し出した。すみれは、小さい頃から持ち歩いている救急セットからガーゼとカットバンを取り出した。あのカットバンだ。僕は嬉しくなった。すみれだけが持っている特別なカットバン。そして、手を消毒し始めた。小さくて白い手。昔みたいに手を比べたら、きっと僕より一回りは小さいだろう。ふと見ると、すみれがガーゼを持ったまま固まっている。こうやって話すのも二年ぶりなのだ。すみれも何か思うところがあるのだろう。でも、僕は声をかけた。だって、すみれは僕の手を握ったままなのだ。


「何か入ってる?」


すみれはハッとして、何か焦ったような、照れたのを隠すような早口でこう言った。


「何でもないよ、カットバン貼るね。」

「カットバンくらい貼れるけど・・・」


彼女が譲らないのを知っていて言った。だって、こう言うと彼女は決まって、


「これ、特別なんだから。」


と言って貼ってくれるから。実際にあのカットバンは普通のカットバンとは違い、髪をはがすところが三か所ある。・・・でもまあ、小さい頃からずっと見てきた僕は貼れるのだけれど・・・。


「・・・・・」


すみれが小さい声で何かを呟いた。きっとすみれは聞かれていないと思っているだろう。だが、そんなことはない。僕が怪我をしたときには、絶対にこれを言うから。


「早く治りますように。」


と。僕はすみれの言ってくれるこの言葉が一番『特別』だった。だからこう言ったのだ。


「小さい頃に戻ったみたいだ。」


そして小さな声で付け加える。


「ありがとう。本当に、特別だ。」



ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー



「さてと、で、何で探してくれてたの?」


それだけは聞きたかった。そんなことを言っても、雪兎はなかなか答えようとしなかった。風が吹き、木の葉がひらりと舞う。サァーっとした一陣の風と共に、木々が騒めく。木の葉が、くるり、ひらり、と舞い終わり、地に落ちる音が聞こえるほど静かだった。まるでこの世界に二人しかいないかのように。



大変、大っ変遅くなりました!!!!!

永華の方の更新に気を取られすぎていました!!!!!

本当にすいませんでしたぁっ!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ