2.特別なカットバン
お久しぶりです!
最近、テストなどで忙しく、更新できてなくてすみません!
あらすじも、もう少しお待ちください(-_-;)
ー雪兎sideー
「すみれ、大丈夫?ねえ、すみれ!」
「えっ!?」
僕は勇気を出して話しかけた。今まで中学校に入ってからというか、あの日から話すこともほとんどなかった。だけど、あの顔を、小さい頃からずっと見てきたあの泣きそうな顔を見て、つい飛び出してしまった。本当は心臓もドキドキしているし、手に汗をかいている。でも、放っておけなかった。すみれは、僕を見てポカンとしている。それはそうだろう。いきなり、自分を見放したような幼なじみが出てきて驚かない方がおかしい。僕が話しかけてからも、何で会話しているのか、という顔をすみれはしていた。
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雪兎は笑顔だった。まるで、今まであった壁が、氷のように冷たく分厚い壁が崩れるように。何か言わないと。しかし、雪兎をもう一度しっかりと見て気付いた。
「ねえ、雪兎。」
私は2年ぶりに名前を呼んだ。
「何?」
とてもうれしそうだ。笑顔が輝いている。
でも・・・
「あなた、薬指を怪我しているでしょう。」
私が雪兎を見たとき、雪兎は右手の薬指を庇うように手を動かした。彼の悪い癖だ。自分の弱いところを見せようとしない。
「バレちゃうなぁ、折角カッコよく見せようとしたのに。さすがだよ、すみれ。」
「バカなこと言ってないで、さっさと手を出しなさい。」
冷ややかに言うと、雪兎は素直に手を出した。自然の多い神社だ。きっと、お守りを探してくれた時にでも、何かの草にあたって切れたのだろう。綺麗な手だ。だけど、すみれの記憶より、ずっとずっと大きい。2年間。それは短いようで、二人のことを引き裂くには十分な時間だった。薬指を支え、消毒用のガーゼで拭く。触ってみると、少しごつごつしていて、大人の手のように感じた。
「どうしたの?何か傷に入ってる?」
どうやら支えたままフリーズしていたらしい。雪兎が不安そうに覗きこんできた。その顔が思った以上に近くて、自分には眩しすぎて。
「ううん、何でもないよ。カットバン貼るね。」
「カットバンくらい貼れるけど・・・」
雪兎は苦笑している。けれど、これは普通のカットバンではない。特殊な、いや、特別なカットバンなのだ。雪兎の指に滑らすようにして貼る。そして、
「早く治りますように。」
と、呟いた。雪兎には聞こえてないだろう。雪兎は指を掲げるように見て、言った。
「久しぶりにこのカットバンを見たよ。僕が怪我をしたときに、すみれ以外が貼ってくれるのは普通のカットバンだから。この透明なのを見たら、小さい頃に戻ったみたいに感じるよ。」
そう。すみれが貼ったのは、透明で指に馴染むカットバン。小さい頃から祖母に持たされていたものだ。最近はさっぱり使っていなかったのだけれど、雪兎には馴染みがあると思ったのだ。
ちなみに今回出てきたカットバン。実在します!
良ければ探してみて下さい!
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