表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伊吹 ~雪どけ、そして春は来る~  作者: 春風 すみ
2/12

2.特別なカットバン

お久しぶりです!

最近、テストなどで忙しく、更新できてなくてすみません!

あらすじも、もう少しお待ちください(-_-;)


ー雪兎sideー


「すみれ、大丈夫?ねえ、すみれ!」

「えっ!?」


僕は勇気を出して話しかけた。今まで中学校に入ってからというか、あの日から話すこともほとんどなかった。だけど、あの顔を、小さい頃からずっと見てきたあの泣きそうな顔を見て、つい飛び出してしまった。本当は心臓もドキドキしているし、手に汗をかいている。でも、放っておけなかった。すみれは、僕を見てポカンとしている。それはそうだろう。いきなり、自分を見放したような幼なじみが出てきて驚かない方がおかしい。僕が話しかけてからも、何で会話しているのか、という顔をすみれはしていた。


ーーー・ーーー・ーーー・ーーー・ーーー


雪兎は笑顔だった。まるで、今まであった壁が、氷のように冷たく分厚い壁が崩れるように。何か言わないと。しかし、雪兎をもう一度しっかりと見て気付いた。


「ねえ、雪兎。」


私は2年ぶりに名前を呼んだ。


「何?」


とてもうれしそうだ。笑顔が輝いている。

でも・・・


「あなた、薬指を怪我しているでしょう。」


私が雪兎を見たとき、雪兎は右手の薬指を庇うように手を動かした。彼の悪い癖だ。自分の弱いところを見せようとしない。


「バレちゃうなぁ、折角カッコよく見せようとしたのに。さすがだよ、すみれ。」

「バカなこと言ってないで、さっさと手を出しなさい。」


冷ややかに言うと、雪兎は素直に手を出した。自然の多い神社だ。きっと、お守りを探してくれた時にでも、何かの草にあたって切れたのだろう。綺麗な手だ。だけど、すみれの記憶より、ずっとずっと大きい。2年間。それは短いようで、二人のことを引き裂くには十分な時間だった。薬指を支え、消毒用のガーゼで拭く。触ってみると、少しごつごつしていて、大人の手のように感じた。


「どうしたの?何か傷に入ってる?」


どうやら支えたままフリーズしていたらしい。雪兎が不安そうに覗きこんできた。その顔が思った以上に近くて、自分には眩しすぎて。


「ううん、何でもないよ。カットバン貼るね。」

「カットバンくらい貼れるけど・・・」


雪兎は苦笑している。けれど、これは普通のカットバンではない。特殊な、いや、特別なカットバンなのだ。雪兎の指に滑らすようにして貼る。そして、


「早く治りますように。」


と、呟いた。雪兎には聞こえてないだろう。雪兎は指を掲げるように見て、言った。


「久しぶりにこのカットバンを見たよ。僕が怪我をしたときに、すみれ以外が貼ってくれるのは普通のカットバンだから。この透明なのを見たら、小さい頃に戻ったみたいに感じるよ。」


そう。すみれが貼ったのは、透明で指に馴染むカットバン。小さい頃から祖母に持たされていたものだ。最近はさっぱり使っていなかったのだけれど、雪兎には馴染みがあると思ったのだ。



ちなみに今回出てきたカットバン。実在します!

良ければ探してみて下さい!

ブクマと応援、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ