11.雪兎、圧に屈する
まだまだ寒いですねぇー・・・
皆さま、体調にはお気を付けください。
「・・・っていうか、何でそんなに食いついてんの?」
確かに僕ら四人は、成績的にも外見的にも、よく注目される。それにすみれも男子の間では、密かに注目されていた。どちらも、いい意味でも悪い意味でも。
「当り前だろ、俺らの親友と。」
「あの秀才、天才、薄幸の美少女、春野すみれが。」
『付き合ったんだぞ!!』
「やってらんない。 まったく・・・コロㇲ・・・」
「ちょっ、やめてよ。 わかった、わかったから。 全部話すから。 だから、手を離して・・・儚人。」
「ふんっ。」
儚人に掴まれていた胸倉を離され、けほっと小さく咳き込んだ。昨日あったことを話している途中、殴られかけたり、どつかれかけたり、共感されたりと、カオスな展開になりつつも話し終わった。
「・・・ってことだから。 うん。 言葉にすると恥ずかしいね。 というか・・・僕、何段階飛ばした?」
僕が思いっきり照れていると、
「雪兎。 お前、放課後ヒマだよなぁ? なぁ。」
地を這うような、でもそれを抑えるような声がした。 正直言って、恐怖。
「・・・うーんと。」
今日はサッカーの自主練があったような・・・
「来れないなんてことがあるのかい?」
「まさか、そんなことあるわけがないじゃないか! ねえ、我らが親友・ゆきとくん?」
圧がすごい。強い。
「はい行きますヒマです教室います。」
『よろしい。』
うぅ、何でこんなことに・・・
「ああ雪兎、もちろん愛しのすみれちゃん付きでな。」
「ちょっと璃来? 何を言」
「いやぁ、僕ら話したことないし?」
「いや、でも・・・」
「幼なじみ、なのに? 俺らに会わせない? ハッ! 世も末だ!」
「ハイ分かりました連れてきます分かりました。 で、でも、すみれが嫌って言ったら?」
「バカなのか? 嫌がる女子を連れてくるなんて、言語道断! というか、あの心優しい天使なすみれさんは、残念なことにお前が言ったら来るよ。 残念なことにな!」
「はい、すいません。」
今日は本当に圧が強い。でも、よく考えるといつも四人でいるときは、いつもこんな感じだった気がする。最近集まらないから忘れていた。
『じゃあ、放課後に。』
僕は、どうやってすみれに声をかけようか、悩んでいた。
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――放課後――
いつものように一人、帰り支度をしていた。今日はいつもよりも静かだから、教室に残って読書もいいかもしれない。
「すみれ、あのね、」
「ひゃあ!」
「・・・ひゃあ?」
ビックリした。雪兎が後ろにいたなんて。
「でね、すみれ。」
「な、なに?」
朝のことがあったせいか、まともに話せない。
「この後空いてるかな? ちょっと用事があるんだけど・・・」
とてもすまなさそうに言っている。
「だっ、大丈夫です!」
なぜに敬語!?自分でもどうなっているのかわからない。
「良かった~! じゃあ行こうか。」
パァッと笑顔になり、手を繋がれた。
「ひゃ。」
驚いて、小さく叫んでしまった。
「すみれ?」
「ごめん、何でもないよ。 行こう。」
朝のことをどうしても考えてしまう。でも、雪兎のお願いなら聞かなくては。
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