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赤穂郡 上郡町 大鳥圭介

作者: 久賀 広一

僕の地元の、兵庫の偉人ですね。


まだ、全国的には(ほぼ)無名だと思います。


ただ功績は素晴らしく、冗談抜きで、渋沢栄一を彷彿とさせる仕事を、日本、そして海外に関するものに残しています。


そんな人物がなぜこれまで無名だったかと言えば、まあよくあることかもしれませんが、敗軍(幕臣)の将だったからだと思われるのですが……



医者の家系であり、跡継ぎにと願われて勉学にいそしむも、緒方洪庵の適塾などで学びながら蘭学、兵学、工学へと興味に駆られて進み、明治には高評価で「寡兵(少ない勢力)ながら、明治新政府軍にとって、大鳥のみで一敵国」というような言葉さえ残されていました。


函館戦争にて五稜郭で榎本武揚えのもとたけあきらと敗戦を迎え、処刑される所を、若かりしころ塾頭だった時の教え子、黒田清隆の尽力によって助命、その後、技術官僚テクノクラートとして、大きく国に貢献しました。


セメントやガラス、造船、紡績、インフラ開発にも深く関わり、外交官としての活躍、ダム技術の普及、漢詩の素養、芸術的才能、その功績は、物語を作る難度が高すぎるほどに多才です。


近後世に沈みがちな元幕臣という立場でありながら、これほどの働きをもってなお無名とされていたのかは、現在のところ、司馬遼太郎の小説の影響だと思われる所もあると思います。


大鳥圭介の研究者(本職は資源工学の、エネルギー関連の調査計画、設計、施行監理、および途上国への政策提言など)である中川由香氏のエッセイに、いかに司馬遼が、一部の資料のみで滑稽に大鳥を描いたかが挙げられています。


現在氏が手に入れられる限りの文献を元に、歴史小説の大家である司馬遼太郎をバッサリ切り捨てている(もちろん中川さんが書かれているように、あくまで部分的にであり、全体的な創作家としては優れたものなのですが)文章は、正直嫉妬を感じていた僕にとって、気持ちが良かった。


多くの後世の歴史小説家に、多大な影響を与えることになった司馬遼ほどの人でも、これほど根拠なくものを書いている部分があったというのは、「小説は難しい」といちいち思ってしまう自分にとって、少しの救いにもなりました。

(ほとんどの人がご存じかもしれませんが、現在、坂本竜馬などの人物も、司馬遼太郎が描いたものと「本来はかなり違う」と言ってもいいほどの資料が上がってきています。日露戦争の前夜、「誓って皇国の御為に帝国海軍を護り奉る」と皇后の夢枕に立った話は真実であり、やはり”何か”を持っていた人物だとは思うのですが)



……いつものことになりますが、そもそも僕が、なぜこのようなものを書いているか。


それは、上郡町の大鳥圭介史料館に詰めている人に知り合いができて、「小説書いてるなら、圭介のことをぜひ!」と呼ばれてしまったからです。


それで、「歴史小説なんて、僕には到底ムリだ。軽文学、コメディー主体なんだぜ?」と思いながらも、これも縁だと感じて、訪ねましたよ。


そして見事、撃沈。

圭介記念館の発起人でもあるらしい、中川由香氏のエッセイ(ふだんは『入潮』というペンネームで活動されている。その同人誌の”大鳥圭介の再評価”)を読んで、仰天しました。


「これ以上、俺が書くことあるかよ!!」


という感じです。

めちゃくちゃに調べていて、本人も、そのあまりに至誠な大鳥圭介の生き方(戊辰当時は放火が当たり前だったにも関わらず、それを行った部下の首を跳ねている。また、「至誠(こと)かんがみて、天これをたすく。誠意をもって進めれば、天の神も必ず助ける。虚偽ほど危険なものはない。誠意を尽くせばやましい事がないから、恐いことはない」という説諭がある)、能力、功績に感銘を受け、いまも氏は生き方の支えとして、研究、発表を続けている模様。


もともと歴史小説などにまったく心が向かない、僕がそれを題材に創作するなど……恥ずかしいものしか出来上がらない!


ということで、このエッセイを書くに至りました。

白旗ですね。要するに。

……現在のところ(と言い訳する)。


でも、その功績をたどればたどる程、「おお……これを地元民で知らないのはどうかな……」という思いになって、中川由香氏が進める、圭介再評価の一助となるべく、筆を取らせて頂きました。


「ハッ! 何言ってんの。よくある、地元自慢でしょ」


と思われる方もおられるかもしれませんが、それをどこか、「なろう」だけではなく、ネット上に僕以外の意見を見かけて、投稿するのはあまりお勧めいたしません。


ほんとに、大河ドラマになるレベルの人物です。……というか、もうしばらく時間が経てばなると思います。(脚本家さんにとっては、非常に料理しづらいとは思いますが)

僕も、どこか馬鹿にしていました。


華美に地元を讚美するんじゃねーよ、と。


でも、参りました。

だからこの話は、言い訳です。


将来僕が作家になれて、「おい、あいつ(久賀)上郡町出身なのに大鳥圭介のことを書いてないぜ」と笑われるのを防ぐための。


でもまあ、やっぱり笑われるんでしょうが、僕のスタンスはそれぐらいでいいのかな、とも思います。


(いつも通り)ありがとうございました!




※大鳥圭介記念館、毎月第一、第三日曜日、9~12時に開いてるから、時間に余裕があって興味を持たれた方は来てね!!《 兵庫県、赤穂郡、上郡町》田舎だから、駅からレンタサイクルで40分ほど(ゆるく長い登り坂あり。帰りはずーっとらく)、タクシーで20分ほどかかるので、大変ご迷惑おかけします!


ものすごい量の資料を読み込んでおられる塾長と(大学からも時々呼ばれて講義されている)、可愛らしく面白い、元教師の女性が迎えてくれますので……! 僕も今は働き出したので行けるかどうかわからないけど、そこの人に、《小説書いてる、高田台で自治会長だった人》と伝えてもらえれば、他の会長を通じて、連絡がつくと思います。

……正直、もう身バレしてるのと一緒なんですが、それでも安易にイタズラしてくる人はいると思うので、この程度の身分表示で。


連絡先(このコロナ禍だから、開いているかどうかの確認)ーー上郡町 赤松あかまつ公民館0791-52-4605〈月曜休館〉


係の人が大変だから、ほんとにイタズラはしないでね!

それでは、ここまで有り難うございました!










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