三話 条件
「断る」
俺はクエストの依頼を頼みに来たバートンに答えた、
「Aランクのダンジョンかもしれないんだ、お前も分かっているはずだ先日のレッドドラゴン襲来、あれはダンジョンが生成された事を意味するということを」
「ああ、レッドドラゴンは基本北の大陸に生息しているはずだからな、こんなところまで来る事はまず無いからな」
「それを知っておきながら見て見ぬふりをするのか?」
「まるで俺が悪者みたいな感じで言うな」
「気を悪くしたのならすまない、だが我々も悠長に構えてはいられないからな」
「この王都にはAランクの冒険者はそこそこいるはずだが?」
俺はテーブルの上のカップに注いだコーヒーを啜った、
「確かにAランクの冒険者はいる、だがダンジョンというものは我々の予想を上回るものだろう?」
「冒険者を信用しないのか?Aランクはかなりの実力者だと思うのだが?」
「冒険者は信用している、だがダンジョンに潜れば死者は必ず出る、被害は最小限に抑えたいのだ」
「はぁ~分かった…」
俺はため息をつき、後ろ頭を掻きながら続ける、
「ただし条件がある、Aランクの冒険者が3人ダンジョンで死んだ場合に俺が行くそして報酬は白金貨三枚だ」
「なんだと!?」
バートンが憤然として席を立つ、
「さっき俺は被害を最小限に抑えたいと言ったはずだぞ!人の命を何だと思ってるんだ!!」
「嫌なら帰ればいい」
「それでもSSランクの冒険者か!!失望したぞ!!!」
「冒険者になった以上死ぬ覚悟は出来てるはずだ、そうでなければAランクにすら成れていない」
「白金貨なら払えるだろう…だがなぜ三人も死なせる必要がある!!」
「覚悟を見るためだ」
「覚悟?」
「お前らがいかなる犠牲を払ってでもダンジョンを消したいのか、その覚悟だよ」
「…ならば三人犠牲を払えばお前はダンジョンを攻略するのだな?」
「ああ、約束しよう」
「その言葉、忘れるなよ」
バートンは静かに部屋を出て行った、
「せっかくコーヒー淹れてやったのに一口も飲まないで帰るなんてな」
俺はテーブルに残されたコーヒーカップを片付けながら帰っていくバートンを窓越しに見つめた