二話 緊急会議
俺―バートン・ダグラスは頭を抱えた、今先程のレッドドラゴン襲来についての緊急会議が開かれているのだが、
「ふざけるな!たかがレッドドラゴン一匹討伐しただけで金貨五枚だと!?」
「確かにレッドドラゴンの討伐報酬はそのぐらいではあるが、今回は緊急時だったのでは?」
「しかし、彼がいなければこの王宮も無事ではあるまい」
「そうだ、彼のおかげで助かったのだ、報酬は支払っても問題はなかろう?」
今回のレッドドラゴンを討伐したレイに対して王宮側が報酬を支払うべきか話されているが、
「私は支払うべきだと思う」
俺は席を立ち更に話す、
「レッドドラゴン討伐はAランク冒険者でも最低五人は必要な魔物です、北の大陸ではレッドドラゴン討伐の依頼報酬は大体金貨四~七枚であると聞きます、ならば今回の報酬額としても五枚は妥当ではありませんか?」
俺は席に座る、
「私も賛成だ、レイ・テオドールの強さは測り知れない、こんな事で彼の気を損ねるのは得策ではない」
王宮騎士団団長カーティス・ノイレンが後を押す、
「しかし…王よ、どうお考えでございますか?」
どうしても報酬を払いたがらない大臣は王に意見を仰いだ、
「ふむ、払っても良いのではないか?バートンの言った通りであるならばレイの主張は理にかなっておる。」
王都アグネシア第十七代王ウォーグス・アグネシアは堂々と言い放った、
「は、では報酬の方を急いで支払わせます」
大臣は自分の秘書に耳打ちをし、秘書を会議室から出した、
「して、バートンよ、此度の件そなたはどう考えておる?」
「はい、私の推測ではありますが、今回の件はダンジョンが発生したと思われます」
「ふむ、なぜそう思う?」
「本来レッドドラゴンは北の大陸にしか生息していないはずです、それが今回この王都を襲撃してきた、と言う事は魔物を自由に生み出せるダンジョンしか考えられないと言う事です」
「ふむ、なるほど、カーティスはどう思う?」
「私も同じです、更に言えば発生したダンジョンは最低でもAランクであると考えられますね」
「なんと、最低でもAランクとな…」
「はい、なのでダンジョンを早く攻略しないといけません」
「ならば冒険者ギルドに依頼を頼ませよ」
「わかりました」
「よし、では此度の会議は終了とする」
王が席を外し会議室を出ると、
「まさかAランクのダンジョンとはね」
カーティスが話しかけてきた、
「ああ、ここ数年はダンジョン生成されていなかったのだが…」
「まあ、平和は続かないものさ」
「お前はどうするんだ」
「行きたいのは山々なんだけど今回の件でいざという時のために騎士団を強化しないといけないからねぇ…」
「そうか、それは仕方ないな」
「可能ならレイに頼めば良いんじゃないかな?」
「あいつが素直に行くとは思わんのだが?」
「まあ、悪いけど今回は君にダンジョンの件は任せるよ、それじゃ」
そう言いながらカーティスは会議室から出て行った、
「はぁ~、ダメもとで聞いてみるか…」
俺も席を立ち会議室を後にした。