黄金色の勾玉
「一哉お兄ちゃん開店祝いありがとう」
僕、光物好きなんだよなー。
ちょっと突いてみよう。
カチッ カチッ
石の音だ。
転がしてみよう。
石より重い感じがする。
裏側もきれいな黄色。
この穴は何だろう。
そうだ!
ヒモに通して枝にぶら下げてみよう
温めたら何か出てくるかな?
ふぁーあ 眠くなってきた。今日はいっぱい働いた。この黄色の勾玉を温めながら眠ろう。
ヒモをこちらに引き寄せてっと
- - - - -
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気になって眠れないや。
フフッ だいぶ温かくなってる。
ぼくは、辺りが真っ暗になっているのも気付かないほどに、時間を忘れて黄色の勾玉と遊んでいた。
すると、なんだか勾玉の真ん中が少し光っているような気がする。
ずっと見つめていると、ほんの少しずつだけど光が強くなってきた。
確かに光っている。
しばらくすると、足元が黄色に照らされる位の丸い光になった。
ん? 何か動いている。 何だろう。 薄羽陽炎?
ぼくは、反射的にクチバシで挟もうとした。
「やめてよ!」
小さな体の割には大きな声で言ったからビックリ!
「君は誰?」
ぼくは羽を震わせ後退りしながら聞いた。
黄色の光の中から完全に姿を現した薄羽陽炎・・・(にしか見えない)
「私は、選ばれし者が使命を果たすための知恵となり力となる勾玉の精。」
「厳かな感じで答えても、どう見ても薄羽陽炎だし。」
「失礼ね! そのようなものと一緒にするのであれば、明日の朝、他の者がこの黄金勾玉を持つことになる!そして、今あった事は、全てそなたの記憶から消えるのだ。」
ぼくは、話すのをやめて考えた。
何だろう、この昔っぽい話し方。女の子かと思えば急に声色が変わるし。
石が光ることだって不思議なことだ。
ぼくは選ばれし者なのかな? んなら使命って何?
ぼくは黄色の丸い光を食い入るように見ながら考え込んでしまった。
続く