七夜の質屋
冬の童話祭2021に向けて打ち込みを始めましたが、七夜の旅が思った以上に長くなって、締め切りに間に合いませんでした。しかし、筆者としては入院、手術、化学療法から10年の時を経過し、また集中して童話を書くことができた記念の作品ですので、大切にしたいと思います。中学年から高学年生に、また、童話が好きな方々に読んで頂けたら嬉しいです。
・・・・・カラスの七夜は質屋を営むことにしました。お兄ちゃんから開店祝いを貰って大喜び。それは初めて見た黄色の勾玉。全部集めると7色あると聞いた七夜・・・・・
ぼくは七夜
7番目に生まれたからってこの名前だよ!
お兄ちゃんは一哉とか言ってかっこいいのにさ。
カラスの世界では、1歳になるとそれなりの仕事をして、カラス界の役に立たなければならない掟があるんだ。
ぼくは、名前に因んで質屋を営むことにした。『質屋の七夜』 これならカッコいいだろう。
早速、冬でも葉が落ちない樅の木のてっぺんに看板を立てた。
お客さんが、何か自分の宝物を持ってきて、ほかの何かに交換するって事は???
そうだ! 交換する物を集めておかないとなー。
大体カラスって奴は良く食べる。くるみだろ?小柿だろ?葉っぱも色々集めてっと。
果物も用意しなきゃ。りんごはベトベトになって腐るぞ!どこかに干そう。
お客さんから見えない枝に吊るしていい感じに乾いたら店に並べよう。ミカンも。 バナナも。
良ーし!これだけ集めたら商売開始!
「さー いらっしゃいいらっしゃい! 『七夜の質屋』だよ! じゃない『質屋の七夜』だよ!
???『七夜の質屋』かな? どうでもいい質屋だよー。」
おー!早速お客さんが来たぞ!
「なーんだ!一哉兄ちゃんか。」
「なーんだ!とはご挨拶だな!どうでもいい質屋さん!開店おめでとう!」
「どうでもいい質屋じゃないよう。どっちでもいい質屋!」
「どっちとどっちがどっちでもいいんだい?」
「七夜の質屋。それとも質屋の七夜。」
「それを言うなら七夜の質屋だろ。」
「そうか!じゃー決めた!これからは七夜の質屋だ!」
「七夜の質屋さん、開店祝いだ。これは勾玉と言ってな、全部で7色あるそうだ。俺が持っていても良く分からねーから七夜。お前が取っとけ!」
「わー!不思議な形だね。ありがとう!一哉兄ちゃん! ぼく、こう言う物だーい好き!」
続く