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第7話 法則を探せ


「ちょっと気になることがあるんだけど………この鍵束、色々な鍵があるんだけど、何本か数字が刻んである鍵があるんだ」


「それは光一郎様が鍵束に追加した鍵ですな。元々光一郎様が金色の王より鍵束を譲り受けた際に元々付いていた鍵と、後に光一郎様が追加した鍵とが混ざっています。私が把握している鍵はその中でもほんの一部です。中には危険な場所に通じている鍵も有るとの事で、興味本位で開けるものではないと、光一郎様からはお聞きしています」


「ただ、坊っちゃん、いえ、輝様には進退窮まる際には飛び込む事に躊躇はするなとの光一郎様よりの御伝言です」


 ────坊っちゃんって言ってしまったね。まだ、言い慣れないんだね、ノマドさんも。

僕もまだ言われ慣れてないからおあいこかな。


 ────年上のノマドさんには失礼だけど、少しかわいいと思ったよ。


────でも、ここは本題を続けよう。


「伝言の事は心に刻んでおくよ。………話を戻すけど、鍵の事で気になることがあるんだ。鍵に数字が書いてあるのだけど、通し番号に見えて、何個か数字が抜けている番号があるんだ」


「それは気にしたことはありませんでしたな」


「あと、鍵にはマークがいくつか付いているものがあるね。それも同じマークの物もあるね。それから全く無地なもの、宝石が付いた豪華なもの、あと、これはノマドさん達が言うところの現世の鍵だね。家の鍵とか、かな。こちらは基本的には無地だね。番号ははいっているけど、これは祖父が掘ったものじゃなくて、現世の各メーカーの管理用の番号だね。これはまぁ、今回は気にする必要はないね」


「その他の鍵には何か法則とかあるかな?ノマドさんが知っている鍵と行き先を教えて貰えないかな?」



「まずこのアジトの鍵が、こちらにになります」


「このアジトには鍵が3つあるんだね。でも3つともマークが違うね」


 3つの鍵にはそれぞれ星と亀と鳥の様なマークが入っていた。


「この白い星のマークの鍵は今日ここに来るために使った鍵だね。───あれ、この亀の裏はなんだろ?蛇?龍?────でも鳥の裏は鳥だなぁ………裏表で違う図番のものと同じ図番の物があるんだね。何か謎がありそうだね………」


────何だろう?メーカーの模様(エンブレム)?製作者の趣味?───情報が少なくて今はまだ全然わからないけどね。

「───他にノマドさんが知っている鍵はある?」


「これが車の鍵で、こちらは船の船倉の鍵です」


「船まで持ってるの?」


「そうでございます。光一郎さまは海賊であった時代もありましたから。────ただ、海賊と言っても少し輝様が思っている海賊とは違っているかもしれませんが………」



「───やっぱり、前に聞いた昔話は祖父の若い頃の話なの?」

ノマドさんが昔してくれたおとぎ話の中には、祖父の話ではないかと思わせる話がいくつもあった。

その中には祖父が海賊となって、荒らす略奪者を懲らしめる話なんかもあった。

ちょっと前から確信はしていたけど、あらためてその辺の事をノマドさんな聞いてみた。



ノマドさんは僕の問いに大きくうなずき、話を続けた。

「自己の利の為に船を襲う………そう言った海賊とは程遠いものでした。光一郎様はある島の島民に求められて海賊になったと聞いております」


「ある島?」


「────宝島でございます」


────宝島!なんかどんどん凄そうな話になってきた!


「────宝島!?大きな島だったの?そこには住んでいる人もいたの?」


「はい。いくつもの小さな島々からなる群島の内の一つが宝島でした。その島々にはそれぞれ住民が住んでおり、勿論宝島にも住民がおりました。ただし、宝島の住民は他とは少し違う特徴が有りました。彼らの事は『宝の管理者』と皆は呼んでおりました」


「宝島には昔から問題が多く有りました。その中の一つに、昔から宝島にあるという宝を求めて島にやって来る者達が後を絶たず、島々を荒らし回っていたことがあげられます。宝を見つけることができない者達の中には、島を荒らし始める者達が多くおりました。中には宝島の島民をガレー船の漕ぎ手や、連れ帰って奴隷として売り払おうと考える不届きものも出で参りました。それに対抗しようと立ち上がったのが光一郎様でした。海賊から奪った船を操り、島民を連れ去ろうとする不届きものを見付ければ何処までも追いかけ、奪いかえしました。」


「そんな事を繰り返していた光一郎様の事を、海賊達は『海賊の中の海賊』と呼び恐れました」

そう言ってさっきの鍵を指差した。

「これがその時の船団の旗艦の船倉に繋がる鍵になります」


「彼らはいつでも自由に光一郎様が出入り出来るように、船倉の一つにはいつも鍵をかけておりました。それは今でも変わらないことでしょう。彼らは光一郎様に永遠の忠誠を誓っておりますから………」



「なるほど………」


僕は車の鍵と船倉の鍵を見比べた。

どちらも形は違うが、マークや数字など特別な印は入っていない。



「それから、これらが他のアジトに通じる鍵になります」

じゃらじゃらと鍵束から外した鍵達がテーブルに並ぶ。

アジトは何ヵ所もあるようだ。


「───いち、に、さん…30個位かな。みんな模様が入ってるね。でも法則はあるのかな…数字が書いてあるのもあれば、無いのもある、さっきの亀とかの図柄の他にも絵があるし、裏表での組み合わせもめちゃくちゃだ。

ここまで来ると法則とか関係なく、適当って事もあるかな?正直言ってわからないや」



「────でも、こんな形の違う鍵でも鍵束に付ければ鍵穴に入るんだから不思議だよな………。色々謎が多いよ………」

テーブルに並べた30個程の鍵と、鍵束に未だ付いたままの大量の鍵を見つめ、ため息をついたのだった。




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