港にて
馬車に乗り港へ着いた俺たちは王様が用意してくれた船を探していた。
「船どこだよ!!」
「バット、怒ったらダメだよ〜」
「そりゃ世界一の国の港町だよ?仕事の船から娯楽の船、お金持ちの人のプライベートな船様々な船がここへ来るんだから〜」
「気長に行こうよ〜」
「時間ねぇって言ったのはお前だろうが!!」
そんなことをチッチに愚痴っていた時だった。
「勇者様〜〜!」
スピナッチ国の軍服を着たロングヘアの女の子が俺を呼んでいた。
「我が国1番の操舵手を派遣したとは王様から聞いてたが女の子だったのか!!」
「女ですが、私はこう見えてもバトルレースで3年連続優勝してるんですよ!!」
「バトルレースって言ったら海上の格闘技って呼ばれるあれか!」
「そりゃ、王様も自信満々で言ってきた訳だな」
「…で船はどこなんだ?」
「これですよ! じゃじゃーーん!!」
「なんか思ってたより小さい船だな…」
「何を言ってるんですか勇者様!!」
「外装には一般的な鋼の魔法を施し、動力には上位の風の魔法を使っている魔法船なんですよ!!」
「確かにサイズは小さいですが、世界最速最強の魔法船です!!」
「ま…!魔法船!?」
「魔法船って言ったら富の象徴って呼ばれるくらい高価な船じゃねぇか!」
「あの王様なかなか気前がいいんだな…」
「勇者様には世界を救って頂かなくてはいけないですし、これくらいは安いものだと言っておりましたよ!」
「そういえば王様から聞いたんだがお前はジャンペイン出身なんだって?」
「ジャンペインってどんな国なんだ?」
「お前って言わないでください! 私にはクレアという名前があります!!」
「そうですね、ジャンペインは別名『時の止まった国』と呼ばれております」
「国民のほとんどが魔法が使えず魔力ももっておりません」
「ですが、ジャンペインには『刀』と呼ばれる剣がありまして、その中には固有の能力を持っている物もあるとか聞いたことがあります!」
「あと、ジャンペインには鬼と呼ばれる固有種のゴブリンが住んでいる国としても有名ですね!」
「スピナッチ周辺でも出没するゴブリンと同じで夜行性です! ただ、強さは桁違いです」
「ですので夜は外出なさらないほうが良いかと思います」
「あと、スピナッチとジャンペインは同盟国なので入国には手続き等は必要ありません!」
「軽く説明するとそんなところですね!」
「なるほどな…ありがとう!」
「『時の止まった国』ってのはどういう意味なんだ?」
「スピナッチと比べると田舎すぎてそんな呼ばれ方をしているだけですよ」
「そういうことね…」
「いきなりそんな強い魔物のいる国に放り込まれるのは少し不安だな…」
「大丈夫だよ! バット!」
「君は魔獣王レオパルドをぶっ飛ばしたじゃないか!」
「チッチもありがとな!」
「でも怖えもんは怖えよなぁ」
「とりあえず船に乗って出発しましょうか」
クレアの呼びかけに俺たちは船に乗り込んだ。
「さぁ、出発しますよ! 勇者様!」
「ちゃんと掴まっててくださいね!」
「うぉーー!!」
「……ってくらい速いけど風を全く感じないんだな」
「自然の風を風の魔法を使って相殺していますからね!」
「さすがは魔法船だな」
「ところで、どれくらいでジャンペインに着くんだ?」
「そうですねぇ〜、普通の船なら2週間はかかりますが、この魔法船なら2日で着くと思います!」
「クレアはジャンペイン出身なのに魔法が使えるのか?」
「私はスピナッチとジャンペインのハーフなんですよ」
「ちなみにですが、得意なのは視覚強化の魔法です」
「あと、風と水の魔法を少々使えます」
「戦闘向きではないですが、船の操縦に関してはピッタリの魔法ですよ!!」
「魔法に合わせて職業を選ぶ時代ってよく聞くが、そういうことなんだな」
ーーこうして俺たちはクレアや精霊達と雑談でもしながらジャンペインへ向かった。