『クイーン』の過去
「チッチよありがとう」
精霊の祈りにより力を取り戻したゴルドスさんはもう一度立ち上がることが出来た。
しかし、先程までと同様に魔獣王レオパルドは落ち着き我々を見ていた。
「命までは取らないと言っただろう。お前は王を守りたいが為に大事なことを見失っている」
「なぜ俺がここにいて貴様らを5秒もあれば皆殺しにできるのになぜそれをしない?」
「その意味をもっと単純に考えてみてはどうだ?」
このレオパルドの問いにゴルドスさんは答えた。
「そんなことは知らない。お前がこの城に壁を壊して入ってきた時点でお前は俺の敵でありこの世界の敵でもあるのだ!」
この答えに魔獣王レオパルドは少し困った様子だったが、すぐにその意味を理解した。
「お前は何も知らないのだな。この世界に『クイ
ーン』がある理由もその過去も!」
「いいだろう……全て俺が話してやる」
そう魔獣王レオパルドが言った瞬間にゴルドスさんは魔獣王レオパルドに斬りかかった。
「これが精霊の力だ!獣よ!くらえぇぇぇ!」
ゴルドスさんの全身全霊の剣を魔獣王レオパルドが腕で受けた。
「人がまだ話をしている途中だろうが!」
「そんなに死にたきゃ殺してやるよ! 俺にとってはこんな剣ただの棒切れのようなものだ!」
ゴルドスさんの剣を受けた腕で薙ぎ払いすかさず魔獣王レオパルドは蹴りを入れ三発ほど拳でゴルドスさんを殴りつけた。
確かに俺はゴルドスさんが魔獣王レオパルドの腕に剣を入れたのを見たがその腕は全くの無傷だった。
「俺に勝とうなど無駄なことだということはこれでわかっただろう人間共よ!」
「世界最強の聖騎士が精霊の力を使い俺に勝負を挑んでも勝てはしないし、傷一つ付けることもできない。」
「もはや聖騎士も声一つ出せない状態だ」
「なぁ、王よ。いつまで人間共を騙し続けるのだ?」
「皆聞け! 俺が王の代わりに全てを話してやる」
ーー「これは300年ぐらい前の話だ」
先代の勇者5人により魔神は打ち滅ぼされた。
魔神『クイン=クロノス』は人間界へ持ち運ばれた。
先代の5人勇者の内の科学の勇者と魔法の勇者によりお前らがライフラインとして使っている魔力供給装置『クイーン』として我らの魔神は封印された。
お前ら人間共が当たり前のように使っている『クイーン』は魔神の魔力によるものだ。
我々魔界の者たちは2代目の魔神ヒカル様の命令により『クイーン』を取り返しに来た。ーー
「ここまで話せば王も何か言うことがあるだろう?」
「お前がここは来てから『クイーン』の警護をしているシルバーンとブロンズがここへ来ないことに疑問を抱いてはいたよ」
「『クイーン』に関する過去は全てお前の言うとおりじゃ」
「ここにはお前と戦える者はもうおらん。国民の命を取らんと言うのならお前の好きにするがよい」
その王様の答えに兵隊たちも落ち込んでる様子だった。
無理もない、世界最強の聖騎士ゴルドスさんが手も足も出ずやられ、王様までも降伏を認めてしまったのだから。
「好きにしろと言われてもな、俺も別の隊が行なっている『クイーン』奪還の任務が終わるまではここから出られねぇんだ」
「俺の任務はゴルドスを抑え込むことだからな」
ーーそう言うと魔獣王レオパルドは再び王座に座り頬杖をついていた。