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今日から学校と仕事、始まります。①莞

台風だし、学生も登校しろよ。休日?関係ないし、自分は出勤だぜ!

作者: 孤独

ドンッ


「こんな日なんだ!!女子高生の皆さんは登校しやがってどうぞ!!」

「机ドンの気持ちは俺だって分かるぜ、瀬戸ぉっ!」


ドンドンドン


「「台風なんだし、悪戯の風に透けブラ、絶好調な日こそ、俺達の癒しをよこせ!!」」


厄介な奴等が出勤してしまった……。

しかし、ここは社畜が過ごす会社。今泉ゲーム会社というところ。

台風だから、泊まり込み(まぁいつもの)で作業をしているわけなのってさ。朝から夕方まで天気は荒れ模様だ。


「あのー、騒がないでください。ハモられるとムカつきます」

「瀬戸、松代さん。溜まっている仕事あんだから」

「事務方の弓長と三矢はいいな!営業キャンセルなんだろ!」

「だからって仕事がないわけではありません。あなた達と一緒で仕事は山積み」

「友ちゃんや安西、おっぱい林崎がいないのはどーして?」

「台風で来れないんだから、自宅待機で良いだろ。電車動いてねぇし。あいつ等にも休暇が必要だ」

「男だけのむさ苦しさ!酉さんはまたどっか行ってるしー!ホント、むさ苦しいんだよ!今の作業環境!」


グチグチ言いまくる。

事実天才のデザイナー2人だからこそ、環境の大切さを説きたいんだろう。モチベーションは確かに業務の効率と質に大きく与える。彼等だって、人間なんだから。


「僕、電車通勤なんだよ!通勤の楽しみの一つは、可愛い女子高生、女性を見守ることなんだよ!台風はどーでも良いから、女性は僕のために出勤しなさい!」

「雨で濡れ、風で乱れ、冷えて弱った女性の身体を抱いてやるのが、男のカッコよさだろ!だから、可愛い女性は台風時に出勤してください!!」

「正直、本音の瀬戸。とんでもない言い訳の松代さんだな」

「明日まで待ちなさいよ。それくらいのこと。停電でもない限り、私達は業務がありますよ。別室にいる宮野さんみたく、仕事してください」




◇      ◇




ザーーーーーーーッ


ゴォーーーーーーッ


「凄い雨、風ね。これぞ、台風ってね」

「で?」


シトシト雨だったら相合傘だったろう。

台風で相合傘をやるとしたら、馬鹿野郎共であるが。それをやっている男女が一組がいた。

イカレもん同士。


「俺を会社から連れ出したのはなんでだ?酉」

「なんでって、宮野。朝、何も食べてないでしょ?たまには私と外食するの」

「俺に飯はいらねぇって言ったろ?不眠不休、食事なしで活動できる。松代とは違うんだよ」

「私は宮野に必要でしょ?私の手料理なんて時間なくて振る舞えないけど、一緒にいる時間は作ってもいいんじゃない?」

「…………お前ほど、気長じゃねぇーんだよ。酉」



台風の中。

朝から飯屋に駆け込むなんて、よくやるもんだ。いる店員さんも凄いもんだ。


酉と宮野が店に来ると、店員も驚いたものだ。こんな朝っぱらから、台風の中。やってくるお客がいるとは。ずぶ濡れになってまで……。

しかも、2人でカウンター席を選ぶんか。


「何を頼みたい?お金はあるからさ」

「…………」

「……もうっ、黙っちゃって」

「三矢達も誘えよ」

「照れてる?あんた?」

「バーカ。お前の仲間はあいつ等だろ。俺には関係ねぇー。イカレてることさせてくれりゃ、どーでも良いから。なんでもな」

「そーいう長い言い訳。やっぱ照れてるんだ。三矢くんに読まれちゃってるかもね。彼がここにいたら大変ね」


あー、こいつのペースに巻き込まれると、めんどくせぇ。


「できれば、宮野と違うのが良いんだけど」

「俺はパン。お前はご飯な」

「パンはないじゃない。店屋物しかないわよ」

「じゃあ、俺は肉と卵、玉ねぎ。お前は飯な」

「あら、面白い食べ方ね。すみません。牛丼1人前でー」


2人で1人前の牛丼とか迷惑過ぎる。まぁ、箸はカウンター席に置いてあるわけで。

牛丼がやってくると、本気でこの2人は、1人前の牛丼を上下で分けて食すつもりだ。


「なに見てんだ」


それは店員に言っているかと思ったが、眼中なく。酉に言っていた。


「だって、宮野が先に肉と卵、玉ねぎを食べてくれないとご飯が食べれないでしょ」

「うぜっ」

「決めたのは宮野でしょ」


酉的には、テーブル席を使ったファミリータイプの見つめ合いより、カウンター席で見つめ合った方がロマンがあるとでも思っている。


「箸の持ち方がなってないわね、あんた」

「うるせぇ」


こーいう指摘されると腹立つ。手がイライラして、余計な動作もしてしまう。

こうして見られながら食うのが、鬱陶しいと感じるのは初めてだ。


「ほい。お前の番」

「キレイに食べたわね。箸の持ち方がなってない割に」

「お前は俺のお母さんか?残りは食ってろ」


飯だけになった牛丼をいただく酉。宮野はやり返す気などなく、酉に背を向けて。ずーっと、店の時計を見ていた。


「つまんない奴ね。胸にご飯粒、頬にご飯粒か……」

「そーいうくだらねぇ冗談やるのがお前だろ?そんなお前は、俺は好きになれねぇ。松代にやってろ」

「はいはい。ど直球ありがとうね。あなたの前では、そーいう一面。協調してあげないとね」


分かっていて、普通に食べていた酉。

関係が悪そうに見えて、実際のところは、メンバーの中で一番強固な絆というか、似たイカレ具合で噛み合っている酉と宮野であった。


「ありがとうございましたー」



ガーーーーッ



「……会社に戻るわけだが、松代には何を言うんだ?ウザく問い詰められるぞ」

「台風でブラ透けしてきたし、着替えたいし、シャワー浴びるわー。で、うやむやに」

「そーか」

「今、確かに気づいたわ。私のブラ透け、確認したでしょ。宮野」

「お前が風邪を引かないか心配しただけだ。んなのはどーでもいい」



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