プロローグ〜奏人〜
「○○○ちゃん。何で、泣いてるの?」
公園の片隅にある水色のベンチの横で、1人の女の子はうずくまって鼻をすすっていた。
男の子が話しかけると女の子は目を赤くして、区切れ句切れに話す。
「わ、私ね…明日、ひっこし、することに、なったの。そしたら、もう、奏人君と会えない…。私、そんなのっ、嫌なの。ここに…奏人君とまだ一緒にいたいよぉ…。」
また、女の子は目に水を浮かべてほおに流す。
「○○○ちゃん。大丈夫だよ。どこに居ても離れて居ても、会えるよ。」
「そんなのっ嘘!お母さんも言ってた。離れても心は繋がってるって…でもそんなの、あり得ないよっ!」
また、女の子は膝と腕で顔を隠した。
「空、○○○ちゃんは、好き?」
「…うん、好き。」
「僕も。空って何処までも続いているよね。」
「…うん。」
「僕はね、いつも空を見ると、こう考えるんだ。」
「この空は何人の人が見てるんだろーって。だから僕らは同じところにいるんだよ。」
女の子は顔をあげ問かける。
「…近くに奏人君が居なくても?」
「うん。だから、会えないなんて言わないで…。」
男の子は顔を見せないように女の子に背を向けて言った。
「きっと会えるよ。うぅん。絶対会えるよ!」
女の子は男の子の背中を見てくしゃくしゃになった顔で、笑顔で、涙をこぼして、答えた。
「うんっ!」
プロローグなので短いですがこれから頑張って行きたいと思います。