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この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
5 帝国との抗戦
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65 戦いが終わって

「ば、バカな……。たかが冒険者どもに我が帝国軍が敗退しただと……?」


 各門や広場から伝えられた情報を教えてやると、自称皇帝のおっさんは呆然とした顔でそう呟いた。

 嘘をつく必要もなければ、バレた時のリスクが大き過ぎるから十中八九は本人なのだろうが、影武者という可能性もある。俺一人くらいは怪しんでいてもいいだろう。

 その皇帝のおっさんだが、現在三人の部下と一緒に仲良く縄で縛られて一塊にされていた。


 非合法ギルド『ナンジャニンジャ』のゴニンジャーに殺された二人は、お忍びの皇帝と一緒に行動していたくらいなので、いずれも帝国の要人だろうと推測された。そのため、助けにやって来た神殿騎士の一人が『復活』の奇跡を行使して生き返らせたのだった。

 ううむ、彼らには世話になってばかりだな。

 その神殿騎士たちが見張っているので、自称皇帝たちはおかしな真似はできないはずだ。そもそも、おっさん以外は未だに気を失ったままだったのだが。


 本当はさっさと中央区画に連れて行って、ナウキの権力者たちに押し付けたい、ではなく身柄の引き取りをお願いしたいところなのだが、多恵やマイたちの、戦力を分散させるのは危険だという判断から保留となっているのだ。


 南門を抜かれた時の対策としてこの広場にいる必要もあった。

 帝国軍の各広場への到達が俺たちの敗北条件だ。そして敗北した場合、当然おっさんたちは奪い返されてしまうだろう。それなら、この広場でいた方が良いということになったのだった。


 しかし、それも結局杞憂に終わったようだ。

 西と北の門ではそれぞれ『魔法美女ビューティーレイ』と『わんダー・テイみゃー』の各ギルドメンバーによるワンサイドゲーム――蹂躙戦とも言う――になったと報告があり、東門でも神殿騎士のプレイヤー――なんと、タクロー以外にも神殿騎士になっているプレイヤーがいたのだ――とその同僚たちの協力のお陰で、多少手間取ったが、快勝と言える出来栄えとなっているらしい。


 そして、途中からPKギルドや非合法ギルドが参戦してきたため、一番の懸念となっていた南門の戦いでも、複数の犠牲者が出たものの、何とか撃退することはできたようだ。

 連絡係が不思議そうに口にしていた、女王さまだのお姉さまだのという言葉は聞かなかったことにする。


 たかが冒険者と侮っているからこういう結果となった――ゲームとして見れば、プレイヤー側が勝つことのできる難易度にするための、典型的ではあるが悪くない理由付けだと思う――訳だが、裏を返せば帝国の精鋭部隊を投入されていれば負けていた、ということでもある。

 そして今回の敗戦から、次は必ず帝国軍本隊が差し向けられることになる――プレイヤー全体のレベルの底上げが必要となってくるので、しばらく後になるはず――だろう。


 幸いにもこちらには皇帝のおっさんの身柄という最強のカードがある。ウッケンたちNPCには、帝国が侵略してこないように政治的、外交的に上手く活用してもらいたいものだ。


「戦いも終わったようだし、そろそろ皇帝のおっさんたちを引き渡しておかないか?」

「そうだね。それじゃあウチとマイっちで行ってくるわ。悪いけれどバックスさんはここに残って警戒しておいてくれる?」

「了解。それなら神殿騎士の人たちに一緒に行ってもらうといい」


 さっきの『ナンジャニンジャ』のように、おっさんを狙って襲ってくる連中がいるかもしれないからな。


「うん、分かった。……神殿騎士の皆さん、お手数というか御足労ですけど、ウチたちと一緒に、この人たちを連れて中央区画に行ってもらっても構いませんか?」

「問題ない。それでは早速行くとしよう」

「ぐぎぎ……!貴様ら、必ず後悔させてやるぞ!」


 おい、帝国。最高権力者がこんな下っ端な台詞を吐いているが、大丈夫なのか?それとも、やっぱり怪しんだ通りこの男は影武者なのだろうか?


「はいはい。その前にあなたがしっかり後悔して反省して下さいな」


 そんな捨て台詞も多恵には適当に流され、その他の者たちには相手にもされなかった。

 こうして、おっさんたちは一塊にされたまま――もちろん気絶していた三人は叩き起こされている――、中央区画へとドナドナされて行ったのだった。


 そして十数分後、


〈モーン帝国皇帝とその配下三人を、ナウキの有力者たちに引き渡しました〉


 というインフォメーションが流れ、さらに、


〈おめでとうございます。大規模イベント、防衛戦はプレイヤーの皆さまの勝利です。

 参加者全員にレベルアップアイテムを進呈させて頂きます。

 また、各攻防戦での限定イベント四種が全てクリアされましたので、その特別報酬として、任意の能力値を上げるアイテムを三個、任意の技能レベルを上げることのできるアイテムを三個進呈いたします。

 プレイヤー個々の獲得経験値や、各限定イベントクリアのボーナスなど、詳しいことはメニュー画面にある大規模イベントの項目を参照してください〉


 と表示された。その瞬間、街の中や外、色々な所で歓声が上がった。

 俺も連絡係として広場に残っていたプレイヤーと「お疲れ様」と(ねぎら)い合ったのだった。

 それにしても、大規模イベントの最中(さなか)に限定のイベントを入れてくるとは……。イベントやクエストをコンプリートしようとしている連中がブチ切れそうな話だ。


 そして都合により戦場に出られなかったのは少々残念ではあるが、事前の調査の通り敵のほとんどが低レベルだったようだし、楽しめたかどうかは微妙なところだ。

 PKの連中とも戦闘スタイルが違い過ぎるので、噛み合わなかっただろうし。

 むしろ特別報酬などは、労力以上の見返りだったと言えるかもしれない。まあ、祭りの準備からの一連のことに対する報酬だとすれば妥当ではあるか。

 各種催しのための材料集めには、かなりの時間を費やすことになったからな。


 余談だが、この素材集め、材料集めをレベルアップの隠れ蓑にしていたので、帝国と通じていたプレイヤーたちにもこちらの戦力拡大を悟られることはなかった。

 奴らも多少のレベルの増加はあると考えていたようだが、トッププレイヤーたちの協力の元、パワーレベリングが行われていたとは想像もしていなかったようだ。


 なんにせよ、今は勝てたことを素直に喜ぶとしよう。

 フレンド登録をしている面から次々と送られてくる喜びのメールを見ながら、しみじみとそう思うのだった。




―=―=―=―=―=―=―=―=――=―=―=―=―=―=―=―=――=―=―=―=―


 大規模イベントの報酬について。


 勝利報酬。

 参加者全員、共通。レベルアップアイテム一個。



 限定イベント四種オールクリアによる特別報酬。

 参加者全員、共通。任意の能力値アップアイテム三個、任意の技能レベルアップアイテム三個。



 戦闘による獲得経験値。

 各プレイヤーの行動に依存する。



 限定イベントクリアボーナス。

 各攻防戦に参加していたプレイヤーのみ。


 東門。

 『神殿』や『神殿騎士団』から依頼されるクエストが解禁される、称号『準神殿騎士』を取得。

 この称号は行動内容によってランクが上下し、場合によっては剝奪もあり得るものである。

 任意の技能レベルアップアイテム一個。


 西門。

 不可視の魔物を発見し易くなる、称号『不可視発見』を取得。

 任意の技能レベルアップアイテム一個。


 南門。

 プレイヤーからの被ダメージを軽減する、称号『耐プレイヤー』を取得。

 任意の技能レベルアップアイテム一個。


 北門。

 モーン帝国ズウォー領内に限り移動の制限がなくなる、称号『ズウォー名誉領民』を取得。

 この称号は行動内容によってランクが上下し、場合によっては剝奪もあり得るものである。

 任意の技能レベルアップアイテム一個。




 補足一、レベルアップアイテムの効果について。

 レベルアップアイテムで得られる経験値は現在のレベルの次のレベルから、さらにその次のレベルへと上げるための必要経験値と同数値となる。

 〈例〉現在のレベルが二十五の場合、レベル二十六から二十七に上がるために必要な経験値、となる。


 補足二、帝国側に付いてイベントに参加したプレイヤーについて。

 敗北扱いとなるので、諸々の報酬は没収。今回の戦闘で得た経験値も五割減少となる。

 さらに『神殿』および『神殿騎士団』から要注意人物として警戒される、称号『危険人物』を強制取得。

 ギルドは『闇ギルド』扱いとなり、ナウキの警護隊と敵対関係となる。


どうしようか迷いましたが、これから先の話で必須になるので、クリア報酬の一覧というゲーム的な部分を入れました。


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