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この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
4 またまた開催!プレイヤーイベント!
46/574

43 パーティープレイ

新章スタートです。

 ドン!

 鈍い音が響いて、矢が突き刺さった魔物がどさりと地に倒れる。


「そこだ!」


 それに気を取られてできた隙を見逃すはずもなく、巨大な戦斧が別の魔物に襲いかかった。


「グギャアアア!!」


 断末魔を上げて巨大な体躯が沈んでいく。残るはボクたちが相手取っている一体だけ。


「『飛礫』!『飛礫』!こっそりと、『氷針』!」

「ギャウ!?」


 狙い通り鼻先へと命中した水属性魔法によって、顔周辺が凍りついていく。


「皆、今だよ!」


 ボクの言葉にそれぞれが行動を開始する。


「ぴよっ!」


 まずはコッカトリスであるビィトの片割れのワトが麻痺の吐息を吐きかけて、魔物の動きを阻害する。すると今度は


「しゃー!」


 ビィも負けじと近寄ってガブリと後ろ脚へとかみつくと、魔物に毒の状態異常が追加された。


「ぶ!」

「ご!」


 そこに止めは任せろと言うように、ワイルドボアのイーノとニーノの二匹が突進していく。

 ザクッ!ドゴッ!と、両側から腹部への攻撃を受けて、ついに魔物は息絶えた。


「こーんぐらっちゅれーしょーん!!」


 格上の魔物を倒した喜びに沸くボクとテイムモンスターたち。

 ボクたちが戦っていたのはグレイグリズリーという熊型の魔物――あれ?グリズリーって灰色(・・)熊って意味じゃなかったっけ?灰色灰色熊??……あれ?――だった。体長五メートルと大きく、その上凶暴という危険な相手で、個体差はあるけれど、ソロで戦うならレベル二十後半は欲しいと言われている強敵だ。


「やっぱりテイムモンスターたちと一緒なら、一頭は問題なく倒しきれたようだな」

「ですね。連携も上手くいっているし、僕たちが助けに入る必要もありませんでしたから」


 そんな強敵をそれぞれ一人であっさりと倒しきった二人がボクたちの近くへとやってくる。

 ブレイカー――ファイターの上位職の一つ――のバックスさんと、ハンター――アーチャーの上位職の一つ――のロヴィン君だ。あのラーメン騒動で知り合ったボクたちは、時間が合えばこうしてパーティーを組むことがあった。

 解体作業(アイテム化)も終わっているのか、倒した魔物の姿は見えなくなってる。


「二人ともお疲れ様。でも僕たちとパーティーを組んでも良かったの?」


 テイマーとサモナーは連れているモンスターたち一体につきパーティーの枠を一つ使う上に、経験値も分割されてしまうので敬遠されがちなのだ。


「ああ、それは気にしなくていい。実はこの前のメンテナンスでアップデートがあったんだが、その時に『引率者ボーナス』というのが追加されたんだ」

「簡単に言うと、自分のレベルより低いプレイヤーやモンスターがパーティーにいた場合、そのレベル差に応じて経験値のボーナスが発生するようになったんだよ」


 なんと!?


「もうすぐ新しいプレイヤーの受け入れが始まるっていう話だし、新旧プレイヤー間の格差を減らすためだろうな」

「ベータ経験者と正規版第一陣プレイヤー、それに第二陣プレイヤーではかなり差が付きましたからね」


 ちなみにバックスさんとロヴェル君は正規版の第一陣プレイヤーで、ボクは第二陣プレイヤーになる。

 確かに総プレイ時間からくる差は大きいものがあるよね。


「あれ?でも引率者ボーナスがあると、差が縮まらなくならない?」

「レベルの差は縮まらなくなるかもしれないが、死に戻りする危険性は圧倒的に低くなる。ソロでもクエストをこなしたり魔物を倒して経験値や金を稼ぎやすくなるから、かなり有用だ。引率者ボーナスはご新規さんの手伝いをしてくれる高レベル者を増やすことなのさ」

「パワーレベリングに連れて行く側にもメリットを作ることによって、新旧プレイヤーの交流を図るという狙いもありそうだよ」


 ふうん。色々と考えられているんだ。まあ、ボクがその立場になることはまずなさそうだけれど、ね。


「さて、特に問題もないようだし、もう少し狩りを続けるか?」

「はい。よろしくお願いします」


 おっとその前に解体解体。格上の魔物だからとれるアイテムにも期待大だね。

 そんなこんなで、僕たちはしばらく狩りを続けていった。




「そういえば、リュカリュカは新しくテイムモンスターをテイムしないのか?」

「ふえ?」


 休憩を兼ねて食事を取っていると、バックスさんが突然そう尋ねてきた。


「ああ、さっきレベル十五に上がっていたっけ。新しくテイムできるようになったんだ」

「ロヴィン、違うぞ。ワトとビィは一匹のテイムモンスターとして扱われている。だから今は二匹のモンスターをテイムできる状態なんだ」


 魔獣の森への同行者だったバックスさんが説明してくれた。

 テイマーは初期で二匹、以降レベルが五の倍数になるごとに一匹ずつテイムできるモンスターの数が増えていく。

 そのため、レベル十五になったボクはパーティーの最大数である五匹――ボクを含めて六名ね――までのテイムが可能になっていたりする。


 この仕様はサモナーも同様なのだけど、注意点が一つ。テイマーの場合、六匹目以上をテイムする時や、多くのプレイヤーとパーティーを組む時にはテイムモンスター専用の収納ボックスを持っている必要がある。

 つまりパーティーメンバーに入りきらないテイムモンスターは、全て収納ボックスに入れておかなくてはいけないという訳。


「それなんですけど、実はボクのテイムモンスターって皆、クエストやイベント関連でテイムしているんですよね」


 バックスさんも知っての通り、ワトとビィは魔獣の森での隠しクエストで仲間になった。

 そしてイーノとニーノの二匹もテイマー専用のイベントクエストで仲間になったのだ。


「つまりこれからもクエストやイベントでテイムできる機会があると考えているってこと?」

「うん。多分、ううん、絶対にあると思う」

「確かに、ここの運営ならそのくらいのことはやりそうだな」


 ボクが自信満々に言いきると、バックスさんも納得したように頷いていた。


「それに、テイムモンスター専用の収納ボックスも安いものじゃないし」

「ああ。それなりなお値段だよね、あれ……」


 と、二つ目の理由を述べると、今度はロヴィン君がしみじみ頷いた。

 ある程度の規模の町であれば収納ボックスを取り扱っている店はあるんだけれど、結構お高いんですのよ、奥様。


「それじゃあ、収納ボックスを買えるように、頑張って稼ぐとするか」


 休憩は終わりとばかりに、バックスさんは『湧水』の魔法で焚き火を消した。


「便利そうですよね、生活魔法」

「おう。外での活動時間が長くなると必須になってくるな」

「パーティーにも参加し易くなるし、覚えておいて損はないよ」


 そんなことを話しながら、ボクたちは再び狩りに精を出すのでした。


プレイヤーは抽選ではありませんが、特定の新規プレイヤー受付期間中のみ、ゲームを始めることができる、という仕様です。キャラクターの作り直しに関しては問題ありません。


正規版第一陣の受け入れ期間はリリースから二週間で、その三カ月後に一ヶ月間の第二陣受け入れがスタートしました。

それから半年後、第三陣の受け入れが始まる、という予定になっています。


ちなみに、一周年を目途に受け入れ期間を撤廃して自由にゲームに参加できるようにしたい、と運営さんは告知しています(ただしできるとは言ってない)。

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