表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
19 邪神をやっつけろ!
336/574

327 数の暴力アタック

 そんな経緯もあったので、ソウルイーターを無事に倒せてホッと一安心なボクだった。

 いやあ、あれだけ大見えを切っておいて死に戻ったりしたら、生暖かい目で見られるだけではすまなかっただろうね。


 ……うん、本当に倒すことができて良かったよ。


 おっと、稼働しているソウルイーターは全部で五体もいるのだ。まだボクたちが担当した一体しか倒しきれていないようだし、応援に向かわないと!


 ボクたちと違ってプレイヤーにNPCが入り混じってソウルイーターに当たっていた。そのためなのか、なかなか連携が上手くいかずに手間取っていたらしい。

 どのグループにも魔族さんや神殿騎士さんが含まれていたので、戦闘力で言えば、個々、パーティー共にボクたちをはるかに上回っていたはずなんだけれど。即席野良パーティーが上手くいかないというのがよく分かったよ。


 それでも互角かそれ以上の戦いに持ち込んでいたので、ボクたちが乱入したことでギリギリの均衡を保っていた天秤は、あっさりとこちらの勝利へと傾くことになったのだった。


「ありがとう、お陰で助かったわ」


 と、安堵の息を吐いていたのは最初に乱入したソウルイーターと戦っていた姉御くらいのもので、最後には総勢四十名を超える大人数で乱入したこともあって、そちらの担当だったタクローさんたちは苦笑いになっていた。


「それにしても、まさか一番に倒してしまうなんて、さすがは自分から一体を受け持つと言っただけのことはあるね」

「あはは。実はけっこう危ないところもあったりして。うちの子たちの動きや連携の良さに助けられました。そういう意味では砦で訓練して(あそんで)くれた皆のお陰ですかね」


 多分、あれがなければ負けていた可能性が高いです。そして活躍した度合いからすると、一番の役立たずだったのはボクに間違いない。

 これからはもっと色々と頑張らないと……。


「とにかく、これでソウルイーターの核は全て確保できたのよね?」


 姉御の言葉に核を持っていた五人がそれぞれのアイテムボックスから取り出す。


「うん。ちゃんと五個あるし、どれも『使用中のソウルイーターの核』となっていますね」


 ちなみに魂が封じられていない状態だと、ただの『ソウルイーターの核』と表示されるらしい。そしてこの『使用中の核』さえあれば、魂を肉体に戻すことができるようになっているとのこと。

 ソウルイーターそのものに関してもそうだけど、なんだか今回はやけに戦いやすい環境を整えてくれている気がする。つい、運営さんに何かあったのかと邪推してしまいそうになります。


「それでは、この場は我々が引き受けますので、皆さんは神殿の方へ」


 追加でソウルイーターが出現するかもしれないので、監視のためにこの場に残る二人の魔族さんに促されてボクたちは町への入口へと走り始める。

 二人なのは緊急時に片方が連絡役となるためだそうだ。それで足りるのかと不思議に思っていたら、魔族さん同士であれば短距離ならテレパシー的な連絡手段があるので問題ないと教えてくれた。

 魔族全員が魔王様のようなチート性能を手に入れる日はそんなに遠いことではないように思えて、ちょっぴりドキドキしてしまったボクなのでした。


 さて、計画通りに事が進んでいるなら『平定チーム』によってホルリアの市街地は解放されていて、神殿へと向かう際の邪魔になる存在も取り除かれているはずだ。

 さらに『潜入チーム』によってソウルイーター起動のために魂を提供した人たちの体も救い出せている頃合いだろう。


 まあ、これはあくまでも計画が最も順調にいったときの話だ。実際にはもう少し面倒なことになっているのではないかな。

 そんなことを考えていると南東にある門が見えてきた。ホルリアは町の北側が全て神殿関連施設となっている関係からか、入口が全て南側に集中しているのだ。


 ちなみにボクが最初にソウルイーターと戦っていたのがホルリアの北西に当たり、そこから東へと進みながらソウルイーターを各個撃破していった。

 さらにそこから南へと向かったため、結局町の外壁に沿って半周してしまったことになる。

 運動不足のつもりはないけれど、さすがにこれだけの距離をリアルで走ることはできないと思う。


「こんなに走っても息切れしないなんて、ゲーム様々よね」

「俺はリアルでなら息ができずにぶっ倒れている自信があるぜ!」

「威張るな!というか死にかけている!?」


 どうやらボクと似たようなプレイヤーさんも多いみたいだ。そんな無駄口を叩きながら南東の門をくぐり、聖地ホルリアの中へと侵入していく。


「『潜入チーム』は上手くもぐりこんだらしいが、その分こちらは神殿へと入る正門前の大広間に陣取った敵の排除に時間を食っているそうだ。気をつけてな!」


 すれ違いざまに情報提供してくれた監視役のプレイヤーに手を上げて応えると、そのまま道沿いに中心部の大広間を目指す。


「何がどれだけいるかによって変わってきますけど、基本は全員一丸になって乱入していくという方向でお願いします」

「了解!!」


 名付けて数の暴力アタック。もちろん万が一のことがないように、前方はプレイヤーで固めております。

 これについては当初、神殿騎士のNPCを中心に反論があったのだけど、「『ミュータント』と戦った時と同じです」と言い包めたり、「邪神を倒した後、『神殿』を再建していくのに一人でも多くの手が必要になるはずです」と説得したりして、なんとか納得してもらった。


 そして大広間へと突入したボクたちの目に入ってきたのは、つい先ほどまで戦っていたはずのソウルイーターの姿だった。しかも二体。予想通りと言うか、やはりあれで終わりではなかったらしい。

 外のものよりも大きいような気もするけど、それは比較対象になる建物が周囲にたくさんあるからなのかもしれない。


「全速前進!このまま手前にいるソウルイーターに突撃ー!!」

「おうっ!!」


 戦っている人に聞こえるようにわざと大きな声で叫ぶ。

 ボクは会議で参加していなかったのだけど、サウノーリカ大洞掘の砦での訓練中に、声かけを怠ったせいで味方を巻き込んでしまうことが何度かあったのだそうだ。そのため、集団行動の基本として声かけが徹底されるようになったのだとか。

 そのかいあってか、それとも五十人近い集団が押し寄せて来るのがみえたのか、ソウルイーターと切り結んでいた数人が慌てて離脱していった。


 その直後に数の暴力アタックが炸裂し、あわれなソウルイーターはプチッとやられることになったのだった。

 残るもう一体がどうなったのかについては、あえて言う必要もないよね。こうしてボクらは町中にいた『神殿』の勢力も排除することに成功したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ