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この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
19 邪神をやっつけろ!
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318 ジャマナイ平原の戦い、決着!

 連合軍といえば聞こえはいいけど、結局のところはそれぞれの国からの寄せ集めだった。

 それは精鋭部隊であっても変わることなく、むしろ精鋭部隊であったからこそ余計なプライドが邪魔をして他国との連携をとることができずに、攻撃を受けるとあっという間に瓦解してしまったのだった。


 加えて『賢人の集い』から派遣されてきた魔法使いたちが、先陣を切って突撃したプレイヤーたちを囮にして彼らもろともこちらの先陣部隊を壊滅させようとした――柳眉さんの機転によって敵プレイヤーだけが壊滅することになったけど――ことで、お互いへの不信感が増大した、という要因もあったのだそうだ。


 ともかく、何が言いたいのかというと、


「あっという間の大勝利?」

「だな。予想通りと言えば予想通りの展開か」


 ジャマナイ平原での戦いは『大豆畑を守ろう会』が数名の怪我人を出しただけで、圧倒的な大差によって完勝したのだった。

 一方、敗北した北西地域諸国連合は、死に戻りをしたプレイヤーを除く八百八十六名のNPC全員が武装を解除されて捕虜となっている。重傷者は魔法や回復薬を用いて軽傷程度までは回復させているので、命の危険もなくなっていた。


「リュカリュカちゃん、これ本当に全部俺たちが貰っていいのか?そのままでも使える物も多いし、壊れている者も鋳つぶせば材料になるぜ?」

「それにあの魔法使い連中が持っていたマジックアイテムとか、かなりのレア物もあるんだが……」


 ちなみに、装備品を含めて彼らの持ち物は全て没収され、『大豆畑を守ろう会』に報酬として渡すことになっている。

 その辺りの交渉の権限は調整役としてのボクに一任されていたから問題ないのです。


「殺さないでっていう無理を聞いてもらったお礼なんですから、気にしないでください」


 そう、さっきも言った通り、今回の戦いではNPCの誰一人として死んではいないのだ。それを可能にしたのが、手加減や不殺といったちょっと特殊な技能だった。

 三つの『大傭兵団』の人たちは、様々な勝利条件を設定しては大規模な集団戦闘を行っている。その勝利条件の中には、「殺すことなく目標地点を制圧する」とか「捕虜にした数を競い合う」といったものもあったためか、多くの人がこの手加減や不殺の技能を所持していたのだ。


 せっかくなので、その技能を生かして全員捕まえてしまえ!ということにしたのだ。

 だって、ゲームの中だからといって人殺しとかしたくありませんし。せっしゃ、ころさずのちかいをまもるでござるよー。


「なんだか悪いな、リュカリュカちゃんには前にレイドボスっていうでっかい玩具までもらっているのによ」

「いえいえ、あれは成り行き上そうなっただけですから。それに見ず知らずだった皆さんに押し付けちゃった訳ですから、誉められたことでもお礼を言われるようなことでもないですよ」


 アッシラさんの情報を解禁したことで、必然的に西部地域に出現したスライムのレイドボスの登場にボクが関わっていたことがバレてしまっていたのだ。

 それにしても玩具って……。予想はしていたけど、やっぱりそういう扱いになっているのね……。


「ところで、あいつらはどうするんだ?装備を引っぺがしているからそのまま放置しておく訳にはいかないんじゃないのか?」

「あ、もうすぐ魔族の人たちがきてくれることになっていますから、もう少しだけ待ってもらっていていいですか?」


 捕虜にした人々のこの後の処遇などは全てこちらで受け持つことになっていた。さすがに千人に近い数の人を連れて、しかも守りながら移動するというのはプレイヤーには厳し過ぎる。そこで『聖神教』と協力関係にある魔族さんたちの出番ということになったのだった。

 余談だけど、今はスゴイシというアイテムを使ってセーフティーエリアを作っている――なんと一回使い捨てではなく、何回か使えるそうです!名前の通り凄い石だ!――ので魔物に襲われる心配はない。


 魔族がやって来ると聞いて驚くかと思ったのだけれど、これまでの魔族の境遇なども公開を始めたこともあってか好意的な反応が多かった。

 ただ、「戦ってみたいな……」と呟きながら物欲しそうにこちらを見るのは止めて欲しいんですけど!?特にギルド長であるお三方!


 そんな若干のゴタゴタはあったものの、数分後には到着した魔族さんたち――実はもしもの場合に備えて少し離れた場所で待機してもらっていた――へと捕虜たちの引継ぎは問題なく終わったのだった。


「それじゃあ、リュカリュカちゃん。後は任せたぜ」

「はい。協力してくれてありがとうございました」

「俺たちは好きにやらせてもらっただけさ。まあ、ちょっと消化不良のやつや不完全燃焼気味のやつもいるけどな」


 正味の戦闘時間となると十分くらいなものだったから、思ったほど戦えなかったという人は案外多いようだ。


「まあ、そういうやつには戻ってから大暴れしてもらうさ」

「あはははは……」


 検索さんの台詞に乾いた笑いしか返すことができなかったよ。


「次に機会があったらリュカリュカちゃんのテイムモンスターたちとも一緒に戦ってみたいもんだな」


 そんな言葉を残して、三つの『大傭兵団』のドリームチーム、『大豆畑を守ろう会』の面々は西部地域へと帰って行ったのだった。


 さてと、ここからはボクたちのお仕事の時間だ。

 実はこの役目を引き受けたのは、ミロク君やジョナさんからちょっと気になる話を聞いていたので、捕虜となった彼らには確認しておきたいことがあったためでもある。


「各国の最上位者をこちらへ連れてきてくれ。残りには目隠しをつけておくように。それと、負けて自棄になっている者がいるかもしれないから、くれぐれも注意しておくように。戦いに勝った後で怪我をするなんて間抜け過ぎるからな」


 ミロク君の指示を受けて、魔族さんたちが捕虜たちの集まっている場所へと向かって行った。


「これで何かが分かるといいのだけど……」

「そうだな。だけど、ここにいる連中も所詮は下っ端だってことも考えられるし、過度の期待は禁物ってところかな」


 と言いながらもミロク君の顔には、これで少しは物語の核心へと迫ることができるのではないかという想いがにじみ出ていたのだった。


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