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この『アイなき世界』で僕らは  作者: 京 高
2 新装備でパワーアップ!
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16 いろんな人を巻き込んで

 ボクはクジカさんにテイムモンスターであるイーノとニーノ用の武器や防具を探していることを話した。


魔物(モンスター)用の武具じゃと……?」


 なんかプルプル小刻みに震えてる!

 ?え?え?怒らせちゃった!?

 もしかして「魔物用の武器なんて作れるか!」っていうタイプの人だった!?


「魔物に武器や防具を装備させるなんて考えたこともなかったわ!まったく、冒険者という連中は本当に面白いことを考えるな!」


 ぐわっはっはっは!って笑ってるよ!?


「良かった。怒らせたのかと思っちゃった……」

「ん?どうしてそう思った?」

「テイムモンスター用の武具だから、職人のプライドが傷ついたのかなって……」

「ああ。そういう頭の固い連中もいるだろうな。安心しろ。わしはそんなことでは怒らんよ。むしろそんな考えがあったのかと、痛快じゃわい」


 そしてまたぐわっはっはっは!と笑う。

 そういえば、先輩テイマーやサモナーのプレイヤーでも仲間のモンスターに何かを装備させているのは見ていない気がする。


 あれ?ボクって変わり者?


「しかし残念だが、わしだけではどうにもならんな」

「えっ!?」

「嬢ちゃん、その子たちのレベルはいくつだ?」

「えっと、どちらも四レベルです」

「そうすると、大きくなるのはまだこれから、ということだな」

「大きく?……あ!」


 言われて思い出したのは二匹のお母さんだ。


「気が付いたようだな。今でこそそのサイズだが、ワイルドボアは成体になると数メートルから、大きいものであれば十メートル近くにもなる。体格変化といった特殊技能を習得したとしても、大きさが変わることには変わりがない。つまり、今のその子たちに合わせて作っても、すぐに使えなくなってしまうという訳だ」


 なんということでしょう!やっと乗り気な職人さんに会えたのに、この仕打ち……。

 運営さんはいぢわるだ。


「錬金術なら何とかできるかもしれんな……」

「本当ですか!?」

「落ち着け嬢ちゃん!そっちは門外漢だから確かなことは言えん!」

「それでもいいですから何か情報を下さい!」

「こんにちわー。クジカ老……って老師が女の子に襲われている!?」


 貴重な情報を得ようとクジカさんに詰め寄ったところで入口の方から失敬な台詞が聞こえてきた。


「襲ってないよ!」

「ご、ごめんなさい……」


 ガルルルルとかみつくような勢いで言うと、素直に謝ってくる。

 うん。脅したようになったことは認めます。


 ふと新しくやって来た人の視線がボクの頭の上に向く。


「あれ?ウリボウを頭の上に乗せている、ということは『ウリ坊ちゃん』?」

「う……、そ、そうだけど……」


 好んでいないあだ名で呼ばれて、怯んでしまう。

 ボクが女の子だと周知されたから一応『ちゃん』付けにはなったけど、何度聞いても慣れないなあ。だけど、その呼び方をするということは、


「それを知っているあなたはプレイヤー(冒険者)さん?」

「うん。僕はロヴィン。君と同じプレイヤー(冒険者)だよ」


 やっぱり。NPCの人たちの場合、反応するにしても二匹を見ても可愛いと言うだけだ。


「なんだロヴィン、この嬢ちゃんと知り合いか?」

「あ、この人――」

「リュカリュカ」

「……リュカリュカさんは最近プレイヤー(冒険者)の間では有名なんですよ。だから、僕の方が一方的に知っているということです」

「そうなのか?まあいい。嬢ちゃん、運が良かったな。そいつが錬金術師だ」

「はい?」


 事情が分かっていない――そりゃ当り前だよね――ロヴィン君に、改めてイーノとニーノの二匹の装備品を探していることを説明する。


「という訳で、この子たち用の装備品を錬金でいい感じに作って」

「ぷきゅ」

「ふご」

「主従揃っての無茶振りがきた!?」


 確かに無茶振りだとは思うけれど、何とかして欲しいなと思う今日この頃です。


「お前じゃまだ無理か?」

「むっ!その言われようは心外ですね。と、言いたいところですけど、実際かなり厳しいと思います。リュカリュカさんの要望だと、二匹が大きくなるのに合わせて、装備品も自動で大きくなる必要がありますよね?」

ステータスの割り振り(成長のさせ方)で、一応はあまり大きくならないようにできるかな」

「しかし、そうはしたくないんじゃろう?」


 クジカさんの言葉に頷く。


「無理矢理成長を抑制しているみたいでボクは嫌かな。もちろん今の可愛いサイズも好きだけど」


 むしろ街中では今のままの大きさでいて欲しい。

 体格変化の特殊技能については後できちんと調べておいた方が良さそう。


「ロヴィンでも無理となると厳しいのう……」

「僕よりも錬金のレベルが高いプレイヤー(冒険者)ならいくらでもいますけど?」


 ロヴィン君が不思議そうにクジカさんに問いかける。確か十日ほど前に見た外部サイトの自慢大会では、錬金のスキルは五十五レベルの人がいたはずだ。


「錬金術に精通しているかどうかよりも、発想の問題じゃ。装備の大きさが変わるなんていうぶっ飛んだ付加効果を付けられる錬金術師なんてそうはいないからな」

「その言い方だと僕もぶっ飛んだ発想の持ち主だって言うことになるんですが……」

「あんな面白いものを作っておいて、そうではないと?」

「すみません、自覚はあります……」


 ボクの知らないところで何かやらかしたのか、ロヴィン君が凹んでいた。


「やっぱりダメなのかな……」


 気落ちするボクの声に合わせるかのように「きゅう」「ぷきゅう」と二匹も物悲しげな鳴き声を上げる。


「うーむ……。おっ!そうじゃ!『はぐれ者』がいたな!」

「『はぐれ者』?誰ですか、それ?」


 尋ねるロヴィン君にクジカさんが呆れたような目を向ける。


「お前が錬金を教わった相手だ」

「うえっ!?あのおっさん、そんなすごそうな二つ名を持っていたんですか!?」


 おっさんて……。


「すごそうなも何も、あいつはこのラジア大洞掘でも五本の指に入る実力者だぞ」

「マジッすか!?」


 ロヴィン君、キャラ変わってるよ。


「お前なあ……。まあ、そんな態度だったから教えた可能性はあるかもしれないな。『はぐれ者』の名前の通り『賢人の集い』にも属さないで世界中をフラフラ歩き回っている奴だからな」

「ええ!?それじゃあ、もういなくなっている?」

「かもしれん。とにかくロヴィンに『はぐれ者』と会った場所に連れて行ってもらえ」

「え?僕?え?」

「ありがとうございます。それじゃあ早速行ってみます!」


 クジカさんにお礼を述べると、ロヴィン君の腕を引っ掴んで工房の外へと向かう。


「素材が見つかったら持って来い!格安で武具に加工してやるからよ!」


 後ろから聞こえてくる声に手を振ることで応えて、ボクは走る速度を上げていった。


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